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「Don't fight it , feel it」 |
40年ぐらい昔、今のおじいさんおばあさんたちがセンスの悪い肌着で「戦争反対!」などと言い合って踊り狂っていた恥ずかしいムーブメントがありました。
時代がすすんで90年代に入る頃、イギリスではセカンドサマーオブラヴと言って、やはり若者たちが、当時画期的だったテクノ・アシッドミュージックに踊り狂い、「俺たちのこのダンスの輪が、時代の何かを変えるんだ」と思い合っていたこれまた恥ずかしいムーブメントがありました。
当時、前身のバンドに愛想をつかして自分のバンドを立ち上げたのはいいものの、二枚のアルバムが全く売れず、「このままじゃダメだ・・何とか一発当ててやるぜ・・・」と思っていた稀代のヤク中、ボビー・ギレスピー。
彼はプロデューサーたちの力を借り、(その志向は幾分尻軽ではあるものの)時代をど真ん中に撃ち抜くようなこのアルバムを作り上げました。
このアルバムは実はシングルコンピの詰め合わせでして、元から一枚のアルバムとしてコンセプトされたわけではないのですが、そう思われても十二分なほどの全体の統一感が、何故かあります。
この傑作によってストーン・ローゼズの不在を埋めた彼らは、一躍シーンのトップレベルに躍り出ます。
一つ一つの楽曲の完成度は素晴らしく、もちろん捨て曲など一つもありません。
前二枚で見せたストーンズやバーズへの愛を表出させながらも、アシッドダンスなハッパの高揚感をも練り混ぜ、素晴らしいグルーヴが繰り広げられています。
プライマルが本物だったのは、そこに埋め込んだものが必ずしもただの快楽性だけではなく、セカンドサマーオブラヴの(みんな目をそむけていた)無力感からくる、もの悲しさを、音楽に表現できたという所でしょう。
普通ダンスミュージックは楽しむためだけにあってしかるべきものですが、このアルバムはどこか失望感とか、過ぎ去っていくものを希求するような倒錯した快感が備わっているのです。
すぐにオルタナティブロックというもう一つの革命がアメリカからやってきます。サマーオブラヴの夢は、ゆっくりとチルアウトしていきました。
80年代以降のロックで、僕は間違いなく五指に入る名盤だと思います。
結局、プライマルスクリームはキャリア通してこのアルバムから逃れることはできず、エクスターミネーターもこのアルバムのアンチで作られた秀作でした。 |
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