とても良い / 口コミ件数 : 2件
価格 : 1,739 円
『太陽と戦慄』から本作にいたるキング・クリムゾンの作品が 巷間言われるほど破壊力があるともメタリックとも私は思わない。 メタリックなとんがり具合ならジョン・マクラフリン&マハヴィシュヌ・オーケストラ 『火の鳥』の方が凄まじいし、破壊力や禍々しさなら デミセミクエーバーが「マジック・マザー・ホール」一曲でこの作品を凌駕している。 大体、ロバート・フリップ大先生は正攻法のインテリ過ぎて面白くないのだ。 同じインテリならジェスロ・タルを率いるイアン・アンダーソン爺さんの方が、 知性の限りを尽くしてバカなことをやってくれるのではるかに楽しい。 とは言うものの、この作品の魅力は否定しない。 ロバート・フリップのギターは時に怪獣の咆哮、時に悲嘆の呻き声。 ジョン・ウェットンはヴォーカル、ベースともに文句なしの重量感。 ビル・ブラフォードのドラムはロックらしいダイナミズムに今一つ欠けるけど (実際ジャズ指向の強い人で、最近のインタヴューではロックをボロカス言ってる) この人のドラムでなければエネルギーと叙情性ばかりが暴走して こうも緻密な作品にはならなかっただろう。 浮かず引っ込まずエキサイティングにバンドを引っ張る ゲスト・ミュージシャンのヴァイオリンやホーンも素晴らしいし、 どう見てもリスナーにメンチを切ってるジャケットもナイス。 やけっぱち寸前のエネルギーと叙情性で、リスナーを レッド・ゾーンの更に向こう側までトリップさせてくれる作品。
フリップがスタジオで即興的に作曲した「Red」。へヴィーなギター・リフよりもパワー漲るリズム隊に魅かれる。 クリムゾンらしからぬシンプルなギター・リフで始まる「One More Red Nightmare」。この時クリムゾン解散を決めていたフリップの投げやり感がこの曲にも表出しているが、あまり煮詰めすぎていない分ストレートなのが良い。メタリックなアルペジオに導かれる間奏がスリリングだ。ビートルズの「I Want You」みたいにいきなり終わる。そういえばちょっと似てる? ファイナルは必殺のキラー・チューン「Starless」。いつ聴いても泣ける。ほろ苦いロマンチシズム。フリップの激情ギター・ソロ。この世の終わりみたいな歌詞。クリムゾンの別れの鎮魂歌−最高の有終の美−じゃなかったか。