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若さ故の過ちみたいなものと向き合うことを要求されるアルバム。 |
85年リリースの4thアルバム。ここからは「ピープル・アー・ピープル」が全米トップ20およびドイツで一位という大ヒットになり、デペッシュが世界的バンドとなる足掛かりを築いた記念碑的作品と言えるだろう。 制作時には『倒錯』というタイトルが考えられていたというのもうなずける。単に「マスター・アンド・サーヴァント」でSM的な関係性を歌っているからではなく、デペッシュ史上最も甘口で分かり易いメロディとノイバウテン直系のメタルパーカッションを多用した尖鋭的な音作りのミスマッチというか、極めていびつな相乗効果のためである。ただし今となってはメロディ的にも音作りの面でももっと落ち着いてストイックな方向にシフトしているので、今日的な感覚から言えばそういった「過剰さ」が鼻につく面は否めない。 また、現在との比較で言えば最も変化したのは歌詞だろう。「ピープル・アー・ピープル」では国家や民族の対立を、「ブラスフェマス・ルーモアズ」ではキリスト教の持つ偽善的な側面をそれぞれ糾弾しているが、その切り口は何とも優等生的というか、ちょっと幼稚な印象を受ける。現在ならばもう充分人としての業の深さなり、自分自身の抱える心の闇の重たさみたいなものを自覚しているだろうから、M・ゴアにもこういった無邪気なエスプリをかます余裕はないはずである。 リリース当時はシングルヒットした3・6・7・9曲目のような派手な楽曲に目が向きがちだったが、今聴くと2曲目と4曲目がなかなかいい感じで熟成している。2曲目に関しては、彼らの音楽がアメリカの黒人(特にデトロイトやシカゴあたりでハウスやテクノのオリジネイターとなるクラバー/DJ関係者)に熱烈に支持されたというのがよく理解できる。4曲目もアレンジの過剰さを抜きにして楽曲だけを取り上げれば後に黒人音楽(特にゴスペル)の要素を積極的に取り入れたり、M・ゴアがソロ2作目でジョン・レノンのソロの曲をカバーしたり、という展開の予兆とも言えるような楽曲である。 最後に。とてもロマンティックでリリカルな美しさの漂うピアノ・バラッドに乗せて、極めてエゴイスティックで身勝手な恋愛観を歌い上げる「サムバディ」。これを聴く度に自分が高校生の時、相手にとっては迷惑でしかないような形で一方的に想いを寄せていたことを思い出す。 あたかも自分の振り返りたくない過去を踏み絵として差し出されたような感じ。たぶん、デペッシュというバンドは多くの人にとってそういう存在なのではないだろうか。 |
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