この映画版は、映画自体としては一級の出来とは言え、ローザシャローンの死産、最後に行きずりの男に彼女が乳を与える、という原作のクライマックスが省略されているのは残念だ。だが、時代を考えると、それらを映画で描くこと自体が困難を伴うことだったのだと思う。ヘンリー・フォンダのトムは見事で、さすがの存在感だ。独立自営農民というフロンティアの理想を裏切る形で進んだ、アメリカの産業資本主義を指弾する作品と見られ、原作が発表された当時は、スタインベック自身共産主義者のレッテルを貼られるようこともあったが、大恐慌期のthe other halfを描いた作品の映像化として、この作品も映画史上不滅の輝きを放っている。