良い / 口コミ件数 : 4件
価格 : 3,470 円
『民衆の敵』(1931)で名高いウィリアム・A・ウェルマン監督がヘンリー・フォンダ主演で撮り上げ、アカデミー作品賞ノミネートされた1943年製作の西部劇。 2人の放浪者がある町を通りかかったとき、地元の農民が殺され、牛が盗まれたという報せが入る。町民たちは自警団を組織し大捜索を開始。やがて牛を引き連れていた3人組を捕らえる。西部の無法の町を舞台に集団リンチの問題を硬質な筆致で描き、第2次大戦中の〈赤狩り〉の風潮を暗に告発した異色作。 それにしても、リンチの場面では思わず目を背けたくなるほどの強度なエモーションが満ちている。 この映画についてクリント・イーストウッドはこう語る──「集団の暴力、またそれがいかに伝染するものかについての映画だ。死刑はあっても裁判がない状況を描いていている。これはとてもつらい映画で、最後には無実と分かっていてもっとも親しみの持てる人物がみんな縛り首になるんだからね。でもこのつらい終わり方が、私は好きだ。もし最後に誰かが助けに来たら、このメッセージは単に言葉だけのものになってしまう。この終わり方なら、このメッセージやその悲痛さが伝わる」。『ミスティック・リバー』の悲痛な終わり方は、『牛泥棒』のラストを見事にいただいているとしか思えない。
日本未公開のウエスタンです。 ウエスタンといっても銃の撃ち合いなんてほとんどありません。 ただひたすら人間ドラマ。 76分という短い映画だが内容はかなり深い。 間違った正義があるから無実の人間が死ぬ。 自分勝手で独りよがりだから悲劇が起きる。 偏見や差別があるからこの世は平和じゃない。 この映画のメインテーマは本編の中で読まれる手紙にあると思う。 それこそがウェルマン監督が伝えたかったことだと思う。 そしてこのテーマは同じヘンリー・フォンダ主演の『十二人の怒れる男』に繋がっている。 今度日本に裁判員制度が導入されるが、裁判員に選ばれた方はこの作品と『十二人の怒れる男』を観て欲しい。 決して間違った正義を振りかざしてはいけないことが理解できるはずです。
西部劇と戦争映画のスターいえばジョン・ウェインとヘンリー・フォンダがすぐに思い出されるが、前者は動で、後者は静といえるぐらい対象的な役者でした。 ストーリーとしては、とてもシンプルで銃での打ち合いがあまりなく退屈しそうな作品にみえますが、観ている側に対して大きなメッセージが発せられている。 犯罪に町民が団結して立ち向かうところは好感が持てますが、犯罪者(牛泥棒)を見つけて縛り首にするまでの過程に問題があるのは現在の私達が見ていても明確にわかります。日本でも近い将来始まる陪審員制にも考えさせられる。 犯罪者を裁くのは司法のみあらず、庶民が庶民を裁くということはある意味では個人的な犯罪に対する感情が入る場合もある。多数決による決定はアメリカの場合意見が2分されることが多く、イエス又はノーがはっきりしているが、日本の場合は満場一致ということで決着することが多く、それが美徳のような扱いがある。いいかえれば、みんなが賛成であればそれに従う。これはあまりにも危険であり、この作品のように完全な証拠もなければ目撃者もいないのに犯罪者と決め付ける恐ろしさがある。カーター(ヘンリー・フォンダ)を含めた7人が処刑に反対する行動にでた行為は、さすがに勇気が必要であったが、この勇気こそがこの作品の最大のメッセージとなっている。 最後は、あの『怒りの葡萄』でお馴染みの名曲レッド・リバー・バレー♪がオルガン演奏で流れて町を去っていくシーンはいつまでも忘れられない。
作品そのものは★★★★★。地味な小品ながら傑作。派手な立ち回りがあるわけでなく、お値打ちでなければ意味がない。いかにもアメリカ人好みのstoryです。ちょっと「十二人の怒れる男」を思い出させます。法、正義、リンチ、良心、責任、・・・。はたして自警団に捕らわれた3人の運命は?。アンソニー・クインがかっこいい。