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破滅の美学に彩られる、狂おしいほどに愛らしい宮沢りえ |
文化文政の江戸の町は「鬼」が跳梁する魔都と化していた。「鬼」たちを滅する為に組織された裏奉行「鬼御門」の副長だった病葉出門(市川染五郎)は、ある事から鬼御門の職を辞し、中村座の看板役者として人気を博していた。白川夜船と洒落込んだある日、取り方に追われる忍装束の美少女と出会う。彼女こそ江戸の街を騒がす義賊「闇椿」の頭領、つばき(宮沢りえ)であった。 一方、鬼どもの不穏な動きを察知した鬼御門筆頭国成(内藤剛志)は、鬼の頭領美惨(樋口加奈子)を追い詰め、鬼の王阿修羅の復活が近づいていることを知る。だが、阿修羅の力を我が物にしようと企む阿部邪空(渡部篤朗)は国成を亡き者とし、美惨と結託するのであった。 「最も強き漢が阿修羅を目覚めさせる」という美惨の言葉に、野心と自己陶酔をたぎらせた邪空は、阿修羅復活の鍵を握るつばきを拉致しようとするが、つばきが逃げ込んだ先は、舞台稽古の最中の中村座。元の同僚同士がつばきを巡って合間見えることになった。かつての「鬼殺し」出門と、鬼に魂を売った邪空、鬼の世を来らしめんと画策する美惨、三者の思惑が、失われた記憶を求め流浪するつばき中心に、世界に破滅を齎す渦を巻き始めた。 舞台劇がベースなだけに、CGも含めた美術の力の入れ具合やカメラワークのケレンが素晴らしい。そしてそれらは、宮沢りえ演じるつばきの艶に収斂されているのだ。三十路を過ぎて久しい彼女だが、十六七の小娘の愛らしさからサロメの如き激しい女に至る変遷を見事に演じている。クライマックス、恋焦がれながら、互いが己がものにならない事を知っているつばきと出門は、いっそ相手を殺めてしまおうと、刃で愛撫しあう。この戦いの結末には、世界や、それを構成する彼らの近しい人々の行く末なんぞ、これっぽっちも配慮されていない。これぞ、破滅の美学!究極のエロス! |
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