とても良い / 口コミ件数 : 7件
シリーズ最高傑作か。ひろったじいさんが画家だったなんて、ばればれの展開と馬鹿にしちゃいけません。画家役は宇野重吉。ぼろを着ても、スーツを着ても絵になるねぇ。大雅堂の店主に大滝秀治、龍野市の市長に久米明と脇役にもこの懲りよう。いるだけでなんだか可笑しいひと満載です。映画のラストは、胸がスカッとします。あー、日本に生まれてよかった。
シリーズを通して『とらや』のシーンはイケてるけど、旅のシーンはイマイチ…という印象が拭えないが、今回は全編を通して大爆笑。日本画の巨匠(宇野重吉)を「じいさん」呼ばわりする寅さんが痛快。薄幸の芸者ぼたん役の太地喜和子もとっても素敵です。
この作品こそ涙と笑いの寅さんの真骨頂と断言しましょう。 有名人と知り合いになり、偶然再会するストーリーはありがちですが、なんとも痛快な内容で、配役もすばらしい。 マドンナの太地喜和子がなんともチャーミング。 それにも増して宇野重吉の存在がキーポイントです。 今回は特にラストシーンが感動です。 涙、涙・・・・あぁ満足。
正直言うと、実は山田洋次作品には嫌悪感を抱いていた。それは私が日本映画を観始め、当時心奪われていった作品群とあまりに毛色が違った事と、数少なく観た山田作品「幸福の黄色いハンカチ」と「同胞」に蔓延していたいかにもエセ・ヒューマニズム的なモノに辟易してしまったからだった。当然、この有名な人気シリーズについても、好印象はなく、生涯観る事もないだろうなと思っていた。ところが最近、あるエッセイに書かれていた太地喜和子に興味を覚え、この夭折の名女優の軌跡を追おうと思い、彼女のフィルモグラフィーを紐解いた処、各賞を総なめしていたのが今作の温泉芸者役だった。で、観てみたのだが、これが意外に良いんですね。東京柴又と播州竜野を中心に展開する寅次郎と日本画の大家と温泉芸者の物語。キャラ強烈の渥美清を受けとめる偏屈で飄々とした宇野重吉と色気と弾けっぷりが粋な太地喜和子の噛み合いがまず魅力的。童謡「赤とんぼ」を生んだ竜野の日本的情緒溢れる街並と夕焼けの風景を切り取った美しさと、登場人物が右往左往する際のカメラ・アングルの巧さ、人情喜劇でありながら、瞬時シビアな現実感が顔を覗かせる見事さ、オーソドックスと言えばオーソドックスだが、長年に渡って松竹大船の屋台骨を支え続ける名匠の仕事ぶりに相応しい実にかちっとした貫禄ある出来栄えに感心してしまった。76年のキネ旬ベストテンの第2位にランクされている今作、同ベスト1だった「青春の殺人者」や同じくベストテン入りした「やくざの墓場・くちなしの花」や「愛のコリーダ」、「犬神家の一族」派だった自分も、こういう映画を認めるようになったのかと思う。やっぱり、食わず嫌いはいけません。
『この道と 決めて進んで また思案 すれば良かった しなきゃ良かった』