とても良い / 口コミ件数 : 24件
価格 : 3,189 円
この作品の面白さは、皆さんすでにお書きの通り。黒澤明の作品群の中で1・2を争う、”面白い”・”楽しい”アクション映画の傑作である。初めは太兵(千秋実)と又七(藤原釜足)の漫才さながらユーモアあふれるやりとりに笑い、次には真壁六郎太(三船敏郎)のカッコ良さに痺れる。そして回数を重ねるうちに、雪姫(上原美佐)の気高い美しさに心打たれる。 とかく”スターウォーズの原点”と言う表現はされるが、身分の高いお姫様がひょんなことから庶民のありのままの姿を見て自らも体験する、という観点から見ると、”黒澤版『ローマの休日』”とも言える作品である。貪欲な百姓コンビとの出会いから、宿場町で戯れる子供たちを見る優しい眼差しなざし、上田吉次郎演じる卑しい人買いに対する怒りを秘めた眼差し、火祭りでみんなと踊るときの楽しい表情、そして逃亡中に一息ついて鳥のさえずりをしみじみ聴いているときの何ともいえない美しさ(一瞬、三船演じる真壁六郎太が見とれてる?)、これらの体験が「たとえ打ち首になっても悔いはない」という台詞につながってくると思うと、これらの何気ないシーンが非常に心に響く。 そして人知れず涙を流しつつも、秋月家の後継ぎとして厳しい運命を背負う覚悟をしている凛々しい姿が心を打つ。主を守るために命を投げ出す家臣に対しては「命に何の代わりがあろうぞ!」と怒り、秋月家の領民が不幸な身分に身をやつし見過ごすことができない場面では「お主は姫の心まで唖(おし)にするつもりか!」と憤る。そして極めつけは、いよいよ敵に追い詰められ真壁六郎太から(秋月家ゆかりのものと思われる)小刀を受け取る瞬間の誇り高く凛とした表情である。上原美佐の演技のつたなさに対する批判をよく目にするが、男勝りでありながらも気品があふれ、誇り高くも優しい心を持つという、非常に難しいこの役柄を見事に演じることが出来るのは、古今を通じて彼女をおいて他にないだろう。また、まったくの素人であった彼女を抜擢した黒澤明の慧眼にも、ただただ感服するばかりである。
主人公の三船敏郎と、敵方の侍大将(藤田進)が槍で一騎打ちをする場面がある。 かなり長い。 若いころにみていたら、「もういいよ、長すぎ!」と思っただろう。 だが、いま改めてじっくり見てみると、二人の立ち回り、演出、槍の取り回し、 実に見事。 まるで舞や能を見ているような美しさがある。 CGではなく、生身の芸だからこそ、マネしようったってできるものではない。 これはあくまで一例だが、要するに、リメイクったって、できるわけないじゃん。 ジャニーズのタレントに、両手で刀構えて馬で全力疾走できるのか? 結局、新春スターかくし芸大会になってしまうのは目に見えている。 長澤まさみ?大河ドラマならいいと思いますが…。
太平(千秋 実)と又七(藤原釜足)の凸凹コンビが、互いに悪態をつきながら道を行く出だしのシーン。ジョージ・ルーカス監督の映画『スター・ウォーズ』のC-3POとR2-D2のロボット・コンビのモデルになったふたりの、飄々としてコミカルな会話が愉快愉快。くすりとさせられました。 勝気な雪姫(上原美佐)のきりりとした美しさもよかった。枝のムチを振るう姿、ぽろぽろと涙をこぼす姿、六郎太(三船敏郎)を叱責する姿。魅力的でしたねぇ。 それから、国境の関所を突破するシーンと、敵の騎馬武者を六郎太が馬を走らせて追跡するシーン。前者の「機知・計略」、後者の「疾風迅雷のスピード感」。わくわくしました。 黒澤監督が、「しんどいものを二本やったから(『蜘蛛巣城』と『どん底』のこと)、ひとつ追っかけ形式のおもしろい時代劇を作ってやろう、そんなきっかけでした」と語っている作品です。 1958年(昭和33年)製作、公開。本編139分。理屈ぬきに楽しめる一本。
今まで黒澤作品のDVDは値段が高く設定されていたことが不満だったが、手を出せる価格のものが出たことは非情に嬉しい。 この作品が「スターウォーズ」の元ネタであることは超有名だが、それ以上に大活劇というジャンルを日本において(世界的にも?)確立した先駆的な作品でもある(この作品中で三船らの居場所を知らせに馬で走る敵兵を馬上で一刀両断する名シーンを活劇の代名詞になった「インディージョンズ」も拝借している)。 黒澤作品の時代劇の中ではこの作品は「用心棒」や「七人の侍」に比して話題にのぼる頻度は少ない(ある意味地味である)が、私にとっては黒澤作品のなかで最も好きな作品だ。その魅力はお金のかけ方と登場人物のキャラだろう。普通の作品なら太平(千秋実)と又七(藤原釜足)の2人の百姓が六郎太(三船敏郎)と繰り広げる冒険シーンに最もお金をかけるが、黒澤は見事に期待を裏切り2人が隠し砦に遭遇するまでの城での合戦シーン等に金をかけ作品の設定にリアルさを持たせている。ここが凄い。 登場人物の設定も六郎太や2人の百姓はもちろん魅力的だが、六郎太の旧友で宿敵の田所兵衛(藤田進)のキャラクターが最もカッコ良くこの作品を引き締める役割をしている。彼等の繰り広げる痛快大活劇は今観てもワクワクする。クライマックスの「裏切りゴメン!」の一言を初めて聞いたときは、思わず「ヤッター!」と叫び拍手しそうになったことを今でも思い出す。そして、この言い回しは日本語でしか味わえない表現であり、日本人としてこの場面を観れて最高と感じた。是非一度は観て欲しい痛快大活劇だ。 2008年に、松本潤と長澤まさみ(姫)、阿部寛(六郎太)のキャスト、「日本沈没」の樋口真嗣監督でリメイクするそうだが、オリジナルのイメージを崩さないことを望むばかりだ。
昔見て面白かったので、今回大画面テレビで再度見たが、やっぱり評判通りのとても面白くて楽しめる作品です。 ストーリーは、三船敏郎扮する武将と金塊目当ての二人の百姓の3名が、戦争に敗れた国のお姫様と金200貫を隣国に連れ出すという割と単純な内容ですが、その過程では、絶体絶命の危機を一瞬の機転で乗り切るところや、敵に捕らわれた百姓が反乱兵に紛れて階段を駆け下りるど迫力のシーンや、三船敏郎が逃げる敵兵と猛スピードの馬上で繰り広げる迫力満点の戦闘シーンなど見所満載です。 勝気な雪姫(上原美佐)のきりりとした眼差しの美しさもよかったし、猿回し役の二人の百姓(千秋実と藤原釜足)のとぼけた掛け合いも楽しめました。