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決起工作に奔走する、青年将校たちの熱意と狂気を描く傑作!! |
近衛師団長惨殺シーン、三船敏郎演じる阿南陸相の自決シーンは目をそむけたくなるほどの迫力がある。この作品が白黒で良かったと思う。
決起工作に奔走する青年将校たちの軍服の、脇から背中を黒く染める汗の描写。額に光る玉の汗。参謀飾緒をはねあげながら、長い坂道を自転車で駆け上がる彼らの異様なエネルギー。おそらく実戦経験がなく、目の前に広がる本土空襲の災禍も国民の窮状も理解しようとしない彼らが、なお、国家のためと終戦阻止の決起に情熱をかける。ここには「敵を知らず、己を知らず」自分の都合のままに主観的感情的な戦争指導に暴走した昭和の陸軍軍人の典型が浮かび上がる。目をむいて、激情のままに行動する畑中少佐を黒沢年男が力演。「貴様の純粋な心には感銘する」と不本意ながら決起工作に協力する井田中佐の言葉は、畑中少佐ら決起派将校の心情を解く「鍵」となっている。彼らの決起工作は「こうなるであろう」「こうあらねばならない」という主観に立って構成され、国を思う我々の工作が成功しないはずがない、という自己陶酔に支えられている。名作である。
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