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ションヤンの酒家 [DVD]

ションヤンの酒家 [DVD]

良い / 口コミ件数 : 8


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口コミ件数:8 1 2 次ページ
1.  とても良い ゲバジジさん 書き込み日: 2004年09月06日

フォン監督の待望の新作、主演女優のタオ・ホンの魅力・存在感が最高

「山の郵便配達」でフォン・ジェンチー監督のフアンになりました。新作公開を待っていたところ、。この春、封切られ、すぐ見に出掛けました。前作同様、懸命に働く庶民の生活を描いています。タオ・ホン演じるションヤンは重慶の場末の飲食街でアヒルの首を揚げたものを売りにした小さな飲屋(酒家)を1人でやっている。この女優が素晴らしい。情感があり、存在感が素晴らしい。年のころ30くらいか。複雑な家庭環境。父は母を捨て、別な女性と暮らし、勝手な兄嫁と麻薬に溺れて更生施設に入っている弟に悩ませられる。そんななかで懸命に彼女は働き、弟の自立を支えようとする。働くだけの日々の中で、夜ごと通ってきていた中年の男に心引かれ、恋めいたこともあるが、相手の男が飲食店街の再開発の地上げやのような存在と知り、この恋はあっけなく終わる。物語としてはこれだけだ。日常の反復とその中で起きるちょっとしたズレ、変事としてのはかない恋、ただ、それだけだが、ちょっと小津監督の世界を思わせる。映画を通して現代中国の庶民の生活の質感が面白い。そして、なによりも主演女優のタオ・ホンの魅力がこの映画を支えている。地味な映画だが、私はこういう映画大好きです。



2.  とても良い 茉莉花さん 書き込み日: 2007年02月03日

変わりゆく中国下町での「生き様ショー」

 ヒロインを演じた陶紅は歌手の一青窈に似た
なめらかで艶のある美貌で屋台の女主人を演じ切っています。

 ヒロインが束の間恋に落ちる中年男性が
観客の目から見て外見的にも最終的に人格から受ける印象にも
あまり魅力が感じられないのは残念ですが、
気丈かつしたたかに振舞っていても
そうした男性にある瞬間寄りかかってしまうのは
女性ゆえの脆さということでしょうか。

 実際、この映画に登場する男性はこの中年男性ばかりでなく
かつて家庭を捨てて別の女性に走った父親といい、
身勝手でヒステリックな妻に尻にひかれている兄といい、
麻薬に溺れ更正施設に入っている弟といい、
ヒロインの計略に上手く乗せられる住宅管理所長といい、
その息子の精神を病んだ青年といい、
どこか根本において頼りない人格を与えられています。
最後に現れる青年画家にしてもその職業からして生活力に欠いた印象を残します。
ヒロインが母親の様な愛情を注ぐ幼い甥の将来にも不安な予感が漂っています。

 女性登場人物に関して言うと
「生活秀」(生き様ショー)と題された原作小説で
ヒロインと対照的な生き方をするやや軽薄なインテリ女性として登場する実妹の挿話が
映画では丸ごとカットされ、
変わりに妹的存在である使用人の少女との挿話が深く描かれていました。
しかしこれはこれで良い改変だと感じました。
 泣いてばかりいてヒロインに叱咤されていた気弱な少女が
ヒロインの差し向けで不幸な結婚をしたにも関わらず
訪ねてきたヒロインには事実を押し隠して明るく振舞うくだりでは
正にサブヒロインと形容するに相応しい重みを備えています。
 
 立ち退きを間近に予感しつつ今日も店頭に佇むヒロインばかりでなく
無責任な兄夫婦の下に帰って行った幼い甥や
結婚に破れ身ごもったまま店に戻ってきた少女と弟のその後など
敢えて想像の余地を残す形で終わらせた点は見終わった後に余韻を残し味わい深いです。



3.  とても良い tesuさん 書き込み日: 2005年12月22日

永遠の反目

決して演じたものではない寂しげな横顔を見ることがある。それは、決して正面から見ることは無い。女は誰かを意識しない時にだけ、自分の闇を覗く。
心の中に空いた満たされないままの穴。ふとした瞬間、その深い穴から冷たい風が吹き上がってくる。その風に吹かれた瞬間なのだろうか。女は、寂しげな顔をする。
この女の闇に、自分の存在価値を見出すとき、男は女に本当の色気を感じる。

ションヤンは寂しさの多い女性である。
冷たい世間の風に吹かれながらずっと誰にも頼らずに生きてきた。

彼女の満たされない心の闇を見つめ続ける男。ションヤンの心が少しずつ動き出す。
もう失敗したくない。どんなことがあったってもう傷つく少女じゃない。だけど、怖い。
やっと、心を開いたションヤンに何が起きるだろうか。。。

男が与えたいものと、女が欲するものとの決定的な乖離。

求めても得られなかった幸せの墓場。それが心の闇をいっそう深くする。
その穴を塞ぐことの出来る愛とは、本当に存在し得るのだろうか?
永遠の反目。それが男と女なのか。。。



4.  良い あべまりあさん 書き込み日: 2004年07月09日

艶っぽい美人おかみから,さわやかな風が吹いてくる

 アヒルの首を甘辛に炒めた料理とビールを,もっぱら売り物にしている,屋台に毛が生えたような店。ノスタルジックでしかも異国情緒をさそうような街並みに店はあるのだが,暮らしている人にとっては,何でもあるけど情緒だけはない街,らしい。

 たいそう美しく艶っぽいヒロインである店の女将が,アヒルを熱湯にいれて毛をむしり取ったり,中華包丁で豪快にアヒルの首を3分割したり,そのほか忙しく店をやっていく姿が,とても魅力的である。そして,疲れて店先でものうげに煙草をふかしたり,閉店後アパートにもどり長いすに倒れ込んでためいきついたりする場面も。

 忙しいのが大嫌いな怠け者を自認するものにとっても,忙しく働かざるをえない人びとの,懸命に生きる姿は美しくみえる。とくに主人公が美人である場合はなおさらだ。

 主人公は,計算高くちょっとしたやり手の計略家であり,他方で弱い目下に対しては面倒見も良い。客あしらいをふだんに職の一部としているから,男を捌くのにもなれているが,反面で少女のように初々しかったりもする。そしてもつべき誇りをもって,とおすべき筋をとおす。強いからではない。かざらないからである。それは見事なもので,だから端麗な容姿にふさわしくないような,ぶざまな姿をさらすときですら,なおさらその存在には威厳すら感じられるのだ。

 たいそう人間くさい美人女将の,とりたてて語るべきこともないような日々の暮らしの偉大さが,鮮やかな手際で描かれている,少し悲しいけれどもけっしてみじめではない作品だった。見終わったあと少し経つと,ヒロインのおかげで心に気持ちの良い風が吹いているような気がする。



5.  良い butterfishさん 書き込み日: 2005年01月17日

鴨の首美味しそう ビールに合いそう

舞台は北京でもない上海でもない都市「重慶」
にぎやかな屋台街の一軒を切り盛りする
ションヤンを中心に様々な立場の中国人が登場します。

屋台、家鴨料理、自営業、麻薬中毒、一人っ子、血縁、
自殺未遂、精神障害、文化大革命、教育費、愛人、都市開発、
田舎、都会などなど、現代中国のキーワードがいたる場面に。

屋台を女手ひとつ(+手伝い)で続けてきただけあって
ションヤンは努力家で誠実、かつ気性の激しい性格で、
独身ながら女と母の顔を持つという色鮮やかな女性です。

私は中国の屋台の温もりを思い出しながら、
ションヤンのような女性がきっと中国の下町のどこかに
いると確信しています。
下町が喪失すれば、このションヤンのアイデンティティは
あいまいに、街の表情は消えうせてしまうのではないでしょうか。
そんな寂しさが残る作品です。



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