とても良い / 口コミ件数 : 9件
価格 : 5,319 円
この作品が、被写体の古さにもかかわらず現在の鑑賞にも耐えるのは、競技でなく、広く人間を描いているからに他ならない。それは単に、2000ミリというお化けのような望遠レンズで捉えた選手のクローズアップばかりではない。冒頭で展開する「破壊される東京」から、その視点はグローバルである。そして、時にシリアスに、時にコミカルに。後にソウル・バスが「グラン・プリ」のタイトルバックで真似たという、市川崑ならではの映像テクニックも全編満載だ。その後、「札幌オリンピック」「日本万国博覧会」等の記録映画が制作されたが、どれもこの作品に影響を受けつつ“本家”を越える・・・どころか、足元に及ぶ作品すら出なかった。
市川の華麗なテクニックは、いまどきの映像に氾濫しすぎていて珍しくないかもしれないが、40年も前に、新しい映像の創造についての挑戦と実験を積んできた大先輩の偉業を、是非いまいちど見直して欲しい。
1964年の東京オリンピックの記録映画。巨匠市川崑がカメラ技法の粋を駆使してくみ上げた、前衛的記録映画。ただの記録映画ではない、というか、これこそ記録映画だ、というべきか。オリンピックという祭典の哲学、意義さえも包含した上で、普遍的な映像表現となっている。あの日あの時の記録性という部分は幾分薄れるが、その分時代を越える。
現在のオリンピックに比すれば記録も、規模も、動くお金も小さいであろう40年も前のオリンピック。なのに、今以上に輝いて見える。全ての人が祝福しているように見える。選手と観客が近く、国の垣根を越えた瞬間がたくさんあるように思える。
これら感想も、そのように演出された映像が生み出す幻想なのかもしれない。
それでも、オリンピックの目指すところはここにあるのだと、あるべきだと、封じ込められた声が聞こえる。
「人類は四年に一度夢を見る」
語られるこの台詞が、幸せで、切なくて。まごうこと無い、名編です。
劇場公開版とディレクターズカットですが、公開版の方が長々としているものの、大作感は強いので、自分の好みはそちらの方です。
あまり大きな違いはないように感じました。
タイトルまで書いてクドイようだが、あえて書くが(市川昆監督の東京オリンピック)はオリンピック映画として、最高の出来ばえで、面白く愉快であり又感動もあり、風景描写も美しく、広角・望遠・どアップ・スローモーションを使い飽きさせない作品に仕上がっている。 映画監督でなくてはここまで編集が出来ないだろうと感心させられた「映画」東京オリンピックです。
個人的にはこれが市川映画の最高傑作。 完成当時は記録映画になっていないなどの批判もあったらしいが、彼の人間を見る目や、グラフィカルなセンスや、音に対する拘りなどがこれだけのでかいスケールで爆発しており、とにかく『映画』として素晴らしい。 そしてあの奇跡の閉会式シーン。 どんな反戦映画より、あのシーン以上に平和を求めるメッセージのある映画を私は知らない。 そこだけでも何度観ても泣いてしまう。 昭和史の遺産ではなく、ある意味「今こそ」見られるべき映画である。
アベベが走りゆくその後ろをゆっくりゆっくり流れていく沿道の人々、音楽がピークを向かえると、不思議なすがすがしさをいつも感じることができる、実際には相当バタバタした光景だったと思うのですが、それを視るだけで最高の作品だと思います。それに、開会式の選手入場と音楽、国名のさりげない出し方等がたまりません。