とても良い / 口コミ件数 : 31件
価格 : 2,450 円
●ヒトラーをこれほどまでに正面きって描いた作品は、私の知る限りこれまでなかったので、そういう意味でも画期的。反ナチス・反戦という紋切り型の作品ではなく、ひとつの夢の終焉で、人はいかに生き、いかに死ぬものかを訴えている映画だと思います。その意味では、ヒトラーも将軍も周辺のドイツ人たちも人間として等分に描かれているといってよい。史実を丹念に研究した跡も見られるので、映画としては充分な説得力を持つものでしょう。●ちなみに、この映画に登場した現存する唯一の生き残りローフス・ミシュ(Rochus Misch、1917年7月29日‐)は、この映画について大げさすぎると批判的だったそうです。確かに演出過剰な部分は散見されますが、ドキュメンタリーではないのだから、そのあたりは止むを得ないでしょう。●ひとつ肝心なことは、この映画では言語がドイツ語であるということ。これが何にもまさるリアリティを演出しており、ハリウッドでは作れない本物の味を出しています。サンクトペテルブルグ(旧スターリングラード)で撮影されたという不思議な因縁の市街戦ロケも秀逸です。●俳優たちは・・・これはもう素晴らしいのひとことではないでしょうか。ヒトラー、将軍、兵士、秘書、市民、そして子供たちの迫真の演技に拍手! 美し物哀しいサウンドトラックも心に残りました。●2年前、仕事で2週間ほどベルリンに滞在しました。裏通りの古いアパートの壁には当時の銃弾が生々しく残っていましたが、新しいビルがどんどん建って、赤軍が侵攻したティアガルテンの森もブランデンブルグ門も時を知らぬかのようにたたずみ、わずか60年前にこの町で赤軍と独軍の死闘が繰り広げられたことなど、いまでは一条の夢のようです。
ブルーノ・ガンツの名演技が素晴らしい。姿や声がそっくりなだけでなく、パーキンソン病で背中が曲がり、手が震える様も、当時の記録を記した本を見ると驚くほど忠実だ。下敷きになった秘書の証言をはじめ、ヒトラーの最期のエピソードを記した本はいくつもあり、ヒトラーの発言や周囲の行動、戦況などの推移、幹部の裏切りなどは、それに概ね忠実だ。虐殺や戦争責任への言及が足りないなどの批判が上映当時のドイツではあったようだが、むしろ描写をヒトラーとその周辺にしぼったことで、ヒトラーの生の人間性と断末魔のナチスドイツの醜態があぶりだされて来るようだった。
序盤、ヒトラーがぼんやりとフリードリヒ大王(プロイセン王)の肖像画を眺めていたシーンが印象に残っている。 フリードリヒ大王と言えば18世紀、オーストリア継承戦争・七年戦争を戦い抜き、辺境の国プロイセンをヨーロッパ五大国の一員にまで引き上げた軍事の天才だ。特に七年戦争ではロシア・フランス・オーストリアの列強三国を敵に回しておきながら負けはせず、自国に有利な結果を残して戦争を終結させた。 そしてプロイセンこそ、後に鉄血宰相ビスマルクを輩出し、かの第二帝国・「ドイツ帝国」を成立させた国である。 そのことを踏まえて件のシーンを思い返すと、色々とこみ上げてくるものがある。 歴史教科書のユダヤ人虐殺に関する詳細な記述・戦争被害者への無期限の賠償等、戦後ドイツは愚直なまでに誠実に、ナチズムという負の遺産の責任を取り続けている。 それは即ちナチスの犯した罪を、そしてそのナチスを熱狂的に祭り上げたという罪を忘れないことだ。本映画もその、ドイツが果そうとしている戦争責任の一環のように感じられる。 一概にわが国がドイツを見習うべきとは言わないが、日本で東条英機や昭和天皇を主人公に、本映画のような映画が作られる日は来ないだろうと思った時、矢張り暗澹とした思いにはなる。 とかく日本人は過去を忘れたがる傾向にあるが、果たしてそれは正しいのだろうか。 ブルーノ・ガンツの演技がとにかく素晴らしい。とても「ベルリン・天使の詩」で天使役を演じた人物と同じとは思えない。
実にリアリティー溢れる作品です。特にあからさまに何かを訴える訳でも無く、ただ淡々と事実(時間)が流れています。見終わってから色々と考えさせられる作品でした。
2時間ちょいと割と長めの作品ですが、飽きません。 ぐいぐい引き込まれます。 メインはヒトラーの秘書の視点ですが、様々な立場の人たちにエピソードがあり 群像的な作品。ヒトラー最期の12日間と言うよりは、ナチスドイツ最期の12日間 と言ったところ。 今でこそタブーとなっているナチスドイツが 正義の一つと認識されていた時代が感じられる稀有な作品です。 第二次大戦、ナチスドイツ、国防軍、親衛隊など、知識が前提にあれば 尚楽しめるかと思います。