良い / 口コミ件数 : 5件
価格 : 3,526 円
川本喜八郎さん監修のすばらしく凝った人形たちは多摩美術大学のキャンバスで大勢のスタッフにより時間をかけて撮影されたそうです。学生さんも一部参加されているそうです。 映像的にすばらしいのはもちろん、岸田今日子さんの雰囲気たっぷりのナレーション、黒柳徹子さんのうまいとしか言いようのない声の演技、 観世銕之丞さんの地の底からわきあがるようなバリトン、イメージにぴったりの宮沢りえさん、などなどこれでもかというすばらしい声優陣! そして、 フルートやハープの美しい効果音、銕之丞さんとそのお姉さんのすばらしい謡も挿入されています。エンディングは鼓と笛のお囃子も。 なので音だけ聞いても十分楽しめます。 ものすごいかずのすごい人たちが総力を挙げて作られたというだけあって 圧倒されるほど中身の濃い作品になっています。 他の方も書いておられましたが死者の書は難解な作品ですが、 川本喜八郎さんが長年温めておられただけあって、見るたびに新しい味わいを感じさせる深い内容になっています。 副音声には川本さんによるメイキング解説が入っていて違う楽しみ方もできます。 個人的には大津の皇子の亡霊の姿と声がとてもセクシーで好きです。
『死者の書』の原作でイメージを描きにくかった人でもこれをみるとなるほど、という実感を持てるかもしれない。郎女が彼岸の中日に二上山の上にみた俤(おもかげ)を思い描く気持ちは、人を恋いこがれる気持ちとどこか似ているようにも感じた。誰かをおもうからこその魂の鎮めであることを幻想的な映像が後からじわじわと教えてくれる。 そこで人形に大切な声の出演が絶妙だった。ことに岸田今日子の静かな語り口調、黒柳徹子の語り部の媼の声が今でも耳に響いている。
川本喜八郎さんの人形が素晴らしいですね。死者の書(折口信夫)は難解であるが故に映像化は不可能と言われ続けていましたが、このテの手法がありましたね。内容については前の方が詳しくレビューしていらっしゃいますので省きますが、私も語り部のお二人とCVの江守徹さん、観世銕之丞さん、宮沢りえさん、榎木孝明さん達の静かで力強い語りが素晴らしいと思います。
DVDを持っているのですが、時々見たくなるのです。どうもこの作品には中毒性があるような気がします。 原作にもある「妖しい」魅力。その魅力は健全なものではないような気がするのですが、それと同じ質の魅力が川本氏の人形にもあるような気がします。だから相性がいい。生身の人間だととてもあの妖しい美しさや幻想性は出せなかったでしょう。 そして物語はまさに「執着の浄化」。ラストの郎女の涙にはいつも感動してしまいます。自分はなすべきことをなし終わった。大津皇子は成仏する。それは我が恋(死者への恋!)の終わりをも意味する。自分は出家しよう。そういう涙なのだと思うのです。 この映画は奈良時代という、めったに視覚化されることのない世界を見せてくれます。日本の伝統芸術を生かして美しく。それが私にはうれしかった。万葉歌も生かされています。若い人に万葉の世界に親しんでもらうにはいい作品だと思います。また、原作は時系列に沿って書かれていないので、分かりにくいのですが、この映画は時系列にそって話が再構成されています。従って、ずっとわかりやすくなっています。 「健全ではないような」と書きましたが、「陰翳礼賛」という言葉があるように、日本の芸術の内にはそういうこともあるでしょう。源氏物語なんて不健全なことだらけですし。この映画は実に日本的な芸術作品の風格を持っているように思えます。
人形、映像、全てが美しく、見事な物語世界を創出している。 声優もぴったりで、独特の世界にどっぷり没入できる。 あの折口信夫の『死者の書』の映像化を試み、 素晴らしい映像作品に仕上げた川本喜八郎監督はやはりすごい。 しかし原作と幽玄で陰気でおどろおどろした世界の中での一瞬の美に 比べると本作はちょっと“美し過ぎる”。そこが惜しい。 (勿論、原作は原作だし、映像は映像、贅沢な意見であることはご容赦を)