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2. とても良い |
☆usa☆さん |
書き込み日: 2004年08月07日 |
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戻ることのないあの夏の日 |
謎に包まれたイヴァンとの奇妙な共同生活は、 戦争という悲惨な現実から隔離された不思議なものだった。 閉ざされた生活の中で次第に変化していくオディールとイヴァンの心の動きを 丁寧に描いた作品。 豊かな自然と戦争との対比は、辛い現実を生きている本作の人物たちの 心の変化を浮き彫りにしていると思う。 子どもたちを守り気丈に振舞うオディールの不安定さ。 心の隙間にストレートに飛び込んでくるイヴァンの強引さ。 母であると同時に父でもあらねばならなかったオディールがイヴァンと出逢い 次第にそのしがらみから解き放たれていく。 既に実力を認められているエマニュエル・ベアールの存在感は抜群で、 理性と本能の間で揺れるオディールの表情、行動がどんどん変わっていく様はさすが。 母であると同時に女である。というオディールの人物像を鮮やかに見せている。 安定感もあり鮮度もある。すごい女優だと思う。 一方、これが映画初主演となるギャスパー・ウリエル。 荒っぽく大胆で言葉を知らない反面、ナイーブで傷つきやすい面を持っている。 オディールたちから頼りにされる存在である一方で幼さも感じさせる。 そのアンバランスな魅力はこの作品の象徴とも言えるかもしれない。 ギャスパーは繊細さと激しさを交互に見せ、つかみどころのない不思議な存在感を示した。 そしてオディールの息子フィリップを演じたグレゴワール・ルプランス・ランゲの目の強さが フィリップの心のまっすぐさを体現していて印象的だった。 戦争の終わりを告げる二人の訪問者の訪れによって楽園での生活に終わりが訪れる。 戦争をベースにしながらも美しい自然とそこに偶然出逢った二人を描いているので悲惨さはなく、 また、映像の美しさに加えて音楽も情緒的なアコーディオンの音が美しく、 鑑賞後に深い余韻を残す作品となっている。 原題「LES EGARES 」は“道を踏み外した人”とか“迷い人”という意味。 |
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3. とても良い |
葉桜さん |
書き込み日: 2004年12月17日 |
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仏映画らしい一枚の絵。 |
ドイツの侵攻により、息子と娘を連れてパリから逃げている美しい未亡人オディールと(ある理由があるのだが→)17歳という年齢の割には生きる力にたけているかと思えば、字を読むことも出来ず突然精神不安定ともいえる状態に陥る青年イヴァンとの閉鎖されたある意味「楽園」での関係を軸に物語りは進む。 オディールは中学生ぐらいの息子とまだ小さな娘を連れ、夫は戦死している為「優しく教育者たる母」「強く威厳に満ちた父」の両方を演じようと肩肘を張り続けている。このエマニュエル・ベアールの演技が秀逸。美しく、頑ななまでに子供達には母であり父である自分を演じ続け、知的な持ち味を鎧のように纏っている。 ご覧になれば分かると思いますがイヴァンの「爆発するかのような暴挙」。かと思えば好いた女性に急に「妻になってくれ」と手をとるような純粋な子供のような面、笑顔、存在感があり明るいのに何故かふっと「かげろう」のような儚い印象を与える。無垢さと相まって圧倒的な存在感。 そして、息子役の少年も母と兄のように慕うイヴァンの間で意外としっかりと年頃のインテリ少年らしい個性を発揮していて物語りのスパイスの一つにはなっている。彼もまた父親代わりたらんとしていたのだろう。 完成された一枚の絵のような作品です。最後を予感させつつ、その期待を裏切らずふっと切れる仏映画の特徴もしっかり踏まえている。「かげろう」という日本語タイトルはぴったりだ。ほんの週数間のユメ物語を物悲しくも美しい音楽と共に・・・途中で切らずに一気に味わいたい作品です。 「エロティックドラマ」と書かれてしまっていますが、基本はストイックとプラトニックが混ざり合った複雑な感情を軸に物語が進むので、こうした作品は「苦手」と思う方も抵抗無く見て貰えると思います。余談ですが、DVDのメニュー画面が物哀しくもお洒落ですよ、ご覧になって確かめて下さい。 |
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