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「英雄」---それはつねに悲劇的な宿命を背負う。ギリシャ悲劇のオイディプスのように、宿命に翻弄され、われしらず宿命の只中へ飛び込まずにはいられない英雄---その現(うつつ)の姿こそが、王羽その人です。『大刺客』の主人公は、まさに宿命の命じるままに悲劇に身を投じたヒーローの真骨頂で、『獨臂刀』(『片腕必殺拳』)に続く王羽(ジミー・ウォング)の当たり役でしょう。家族と野望のいたばさみに悩む姿や、幼なじみの恋人とのリリカルな情愛を、時に激しく、時に切なく演じた王羽。その痩せた長身のどこにこんな情熱を、カリスマを秘めているのでしょう?『史記』「刺客列伝」中の一挿話を下敷きに脚色されたストーリーは、張徹作品の中でも際立って複雑で哲学的でさえあります。劉家良による素晴らしい武侠アクションと、物語の魅力が見事に融合し、おどろくべき傑作を生んだ例と言えるでしょう。敵国の服を脱ぎ捨て、故国の純白の衣装に身を包んだ王羽が、真っ赤な返り血をあびながら闘う、あまりにも有名なラストバトル。武侠映画史上に残る名場面です。王羽さん、スクリーンに刻まれたあなたの美しくも哀しい英雄像は、永遠に不滅です!