とても良い / 口コミ件数 : 6件
価格 : 11,800 円
〜待ちにまったジャン・ガブリエル・アルビコッコの「わかれの朝」が発売された。1971年に上映されて以来、ビデオ、DVDで観ることの出来なかった幻の名画だ。第二次世界大戦中、フランス西南部のランド地方の荘園がドイツ占領軍に接収され、そこの美しい娘の白い愛馬を、勝手に乗り回すドイツ士官を憎む内、激しい恋仲となり、やがて別れの朝が訪れる。広〜〜角レンズを多用した美しい映像と、フランシス・レイの音楽がクリスティーヌ・ド・リボワールの傑作小説「le petit matin」をせつなく美しい、これ以上にない耽美的な作品に作り上げた。〜
クリスティーヌ・ド・リヴォワールの原作を読み、アルビコッコ監督による本作のリバイバルを強く望んでいました。今回の初DVD化は実に嬉しい限りです。この珠玉作も同監督の「さすらいの青春」の作風そのまま、眩しいほどの木漏れ日や霧に煙る林と草原、暗く淀んだ海といった自然の移ろいを、幻想的な映像美で見せてくれます。ヒロイン・カトリーヌ・ジュールダンの小悪魔的な色香、彼女と許されぬ恋に落ちるマチュー・カリエールの少年の様な無邪気さと繊細さを併せ持った魅力も言わずもがなで、特に、彼がナチス将校の軍服に身を包み、白馬に跨った姿は貴公子然として、惚れ惚れするほどです。バックに流れる巨匠フランシス・レイの甘美な音楽、劇中、ナチス将校が奏でるベートーヴェンの「月光」の翳りある旋律も映画を一層印象深いものにしています。
まわりでこの映画を知っている人ってほとんどいないんですよ。もっと、このDVD化を機会に再評価されてよい作品と思います。実際、これほど質の高いフランス映画って最近見てないですもの。夢幻的…という表現がぴったりな独特な映像は30年前当時の記憶通りでした。全篇、流れるかのように自由に動きつつ対象を的確に捉え、太陽をも堂々と写しこんでいく”ひかり”の魅力に満ち満ちた撮影はまさしく天才の技です。どうして、この親子はこの作品を最後に撮らなくなってしまったのか…最高に脂がのってきたところで引退とはまことにもって残念ですねえ。「金色の眼の女」といい、この作品といい、貴族独特の繊細さ、残酷さを秘めた内容の作品を実に魅了的なものに仕上げる才が、アルビコッコ監督にはおありだったようですから。
主人公の美貌の男女が二人とも、眉毛がない。清らかな少年のように痩せた眉毛のない美少女が馬に乗っていたら、それはもう宇野亜喜良のイラストだ。あの手の嘆美が好きな人は観なさい。中古盤がいかに高価かろうと、観なさい。ああ、こんな美しいものを見るために私は生きているのだ、って思える映画は、ざらにはないのだから。 それと、第二次大戦中のフランスにおけるユダヤ人蔑視の状況が描かれているのも興味深い。こういう側面は、ハリウッド製の戦争映画だけ観ていたら、なかなかわからない。ヨーロッパ映画、もっと観ようよ。
DVD化を待っていました。30年前の冬にNHKで観ましたが、その時には、ラヴシーンなどカットされていました。マチュー・カリエールの美しさに圧倒されたものでした。いま改めて見直しますと、同性愛への偏見、ドイツ人将校の類型化、フランシス・レイの音楽の、美しいけれどスノッブな響きなど、欠点も目立ちますが、それはそれとして、やはり、ヨーロッパ映画独特の切なさと残酷さがあります。マチュー・カリエールのこの頃の代表作『風の季節』のDVD化も希望します。