とても良い / 口コミ件数 : 2件
価格 : 4,935 円
子供の頃に読んだジュール・ベルヌの小説(少年少女版)にはエッチングで描かれたような繊細な挿絵がほどこされていた。その挿絵のような幻想的で魅惑的な世界がこのカレル・ゼマンの作品には展開する(そういえば、子供の頃に良くTVの映画名場面集には必ず魚のような小型潜水艦の水中シーンが放映されていた)。全体的に縞模様を多用しエッチング的な絵柄のデザイン(モノクロ映像のためかそのときの本の挿絵とかなり重なるのだが)や繊細なアニメーションで描かれた船や建物と実写との融合、古風な音楽(チェンバロを使用した音楽)などファンタスティックな展開にはジュール・ベルヌが好きな人でなくてもうっとりとするだろう。 この映像は現在のCGと同じ効果をコンピュータを用いずに行ったと考えれば画期的な映像であることは間違いない。そう考えると、逆に今のCGを多用した映像が薄っぺらに感じてしまうのは私だけだろうか。 ストーリーは現代の核開発に通じる最終兵器の開発にかかわるジュール・ベルヌの予言的な原作の映像化だが、そこは映像ファンタジー性が重視されたものとなっている(原作自体がSF冒険小説なので、ファンタジー的なこの作品の創りでも違和感はない)。 ジュール・ベルヌをこよなく愛し、既存の映像表現にとらわれずにアニメーションや絵、実写を巧みに合成したカレル・ゼマンの夢の世界は今の世にも通用する素晴らしい世界だと思う。
☆チェコ・スロバキアで製作された作品で監督は人形劇映画で有名なカレル・ゼーマンが監督を担当。原作はジュール・ヴェルヌの小説。舞台は19世紀頃。内容は世界制服を狙う悪玉がある孤島で空を飛ぶ潜水艦や今でいえば原子爆弾みたいな核兵器や風変わりな武器などを製造。着々と計画を練っていた。その悪玉は頭脳明晰な科学者とその弟子を誘拐してきて一緒に組まないかと話を持ちかけるが、その申し入れを断固、拒否。師弟の二人はこの恐るべき陰謀を食い止めるために活動を開始した!。というような物語だが、昔懐かしの絵入り本をめくるような感覚が興味深い異色の一篇で、登場人物たちがまるで挿絵から抜け出してきた撮影技法も秀逸。画面全体がまるで銅版画を思わせる不思議な構成にも驚かされた。ハリウッド映画のようなコンピュータ・グラフィックやCGでは絶対に味わえない独特の雰囲気がある。これだけ疑った素晴らしい映像を見せるのはかなりの知恵と苦労があったと思いますし手抜きなしに丁寧に作れているのが画面から伝わってきます。もちろんユーモラスな描写やほのぼのなムードも満載。そして、冒険アクション的な要素も盛り込まれていますので、大いに楽しめます。滅多にお目にかかれない大変珍しい掘り出し物の映画だと思います。大必見に値する面白い名画です!。