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「する」のではなく「墜ちる」恋愛/原題は「動かないで(そのままでいて)」 |
外科医のティモーテオの勤務する病院に、15歳になる彼の娘アンジェラがバイク事故を起こし意識不明で運び込まれてくる。長時間にわたる手術の最中、ティモーテオの胸に去来するのは、娘が生まれる前の日々。美しく聡明な妻クラウディアとの何不自由ないはずの生活。そしてかつて愛した貧しい、イタリアという名の娘…。 社会的地位と経済力を持ち、そして美しい妻と愛娘もいて、ティモーテオの人生には何ひとつ欠けたものが見当たらないほどです。それゆえに彼とイタリアとの道ならぬ関係は、およそ人々の理知を超えた世界にあるものです。 清く正しく生きることが人生における大人の「たしなみ」だと私たちのほとんどは教わってきたはずです。しかし、その「たしなみ」すら寄せつけないほどの恋愛が、この世には確かにあると思わせるのがこの映画です。恋愛というものは「する」企てとは限りません。時にそれは、制御のきかない、ひたすら「墜ちていく」ものとなる場合もあるのです。 ティモーテオは決して妻を愛していないわけではありません。妻もまた、ティモーテオに対する気持ちを失ってはいません。この二人の関係は、ごくありふれた日常の風景です。その変わらぬ家族の肖像に本来は紛れ込むことを許されないティモーテオとイタリアの関係は、真摯であればあるほど言い知れぬほどの哀切さを伴って私たちに迫ってくるのです。 なおこの映画は意外と家内制手工業のようなつくりです。監督・脚本はティモーテオを演じているセルジオ・カステリット。原作小説はその妻であるマルガレート・マッツァンティーニが書いたベストセラー。彼女は最後のシーンでティモーテオとすれ違う女性としてカメオ出演しています。また二人の息子がティモーテオの少年時代を演じているとのこと。 |
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