とても良い / 口コミ件数 : 16件
価格 : 3,231 円
登場人物のほとんどが死ぬ映画ですから。ただのヤクザ映画でもない、沖縄を舞台に「死生観」を描いた映画だと思う。映画が始まって20分以上(?)して仲間が殺されて死体を運ぶ時に始めて音楽が使われる。額を打ち抜かれた仲間の血が砂浜にじゅっと零れ落ちる音、ラストの銃撃戦では銃撃のマズルフラッシュが車のボンネットに反射するシーンの見事なこと。今まで誰がこんな撮り方をしただろうか。
北野武監督第4作、1993年作品、それまでの3作品は一年一作で公開されていたが、とりわけ前2作品の悲惨な興行状態から2年のインターバルを経て制作された、後に松竹を放逐されてしまう名物プロデューサーが「その男、」の続編風を期待して制作を担当するもすでに監督業になれ独自の北野作風を全開させてしまって興行が失敗したことにたいし後にうらみつらみをつづった文章を有名誌に発表しているので興味のあるファンは図書館で検索されたし、 とにもかくにも本作は興行としては大失敗作、評者など見に行こうとおもったらすでに上映終了となっておりビデオ発売までお預けされた、1週間で上映を止めた映画館もあったときく、それにもかかわらず仕上がりに自信をもち輸出し海外での評価をえることでその後のキャリアをつないだプロダクション側の判断は素晴らしいかった、と作品以上にもっと評価されてもいいはず、 内容はそれまでの3作品のよい点を踏襲し暴力と笑いを絶妙に配置した欠点の見当たらない物語、テーマは死なのだが、よくある主人公が八方ふさがりの袋小路に追い込まれて選ぶ死とは異なり、主人公達の日常にはなぜか生と死がなかよく同居しており、画面から伝わる「怖さ」の比類無さこそが欧州で先に評判をとったことにつながっているとおもう、生と死の同居する日常の舞台に沖縄の寒村の青と茶色がふさわしかったことにも日本人以上に欧州の映画ファンが反応したわけです、現時点までの北野作品でもっとも美しい撮影が実現しているともいえる、 笑いのシーンもぼうっと見れば単なるオフビート風のコメディなのだが、本作に波長の合うファンほど笑いの裏に見え隠れする死神の影が後半になるほど濃くなっていくことに気づくはずです、 北野作品群ではオートバイ事故を境に作風が少々変わる、後にはより娯楽映画に近いものも作られ現在に至る、本作は事故以前のおそらくは北野武本人のなにか人生観のようなものが集約された遺言のような気高さを感じるファンも多いとおもう、
何事も呑み込みの遅い私ですが、今作も一回目観た時は、「?」でしたね・・。 ただ、自分の中で、何回か観れば、自分の中で消化できるだろうという確信がありました。(私は、こういう感じで作品を好きになるケースが非常に多い。〉 2回目観たときにようやく、作品の世界観が掴めてきて、「いい映画だな」と思えるようになりました。 北野監督の作品初めての人には、これから入っても良いんじゃないでしょうか? 僕も、TSUTAYAで借りて、また観ようかな・・・。
北野映画初期作品の中でも抜群にいい作品です。 おそらくこの作品がピークだといってもいいと思います。 沖縄の美しい風景の中で暴力の中にも乾いた笑いがあり、 全編に漂うけだるさ、海と空の青、花を非常にうまくみせています。 映画界の印象派、フィンセントも顔負けです。 そして間の取り方が絶妙です。 ラストシーンの壊れた漁船と鮮やかな雑草とひまわり、 目をつぶれば今も鮮やかに浮かび上がります。 一度見て損はないと思います。
久しぶりに見ましたが、やっぱり凄いですね。北野武は感性の映像作家。シャマランみたいに妙にもったいぶっていないのが、良い。この人、本当に自分の好きなよーに発散しているだけなんだと思います。その発散のシャワーを横から勝手に入って勝手に浴びるのが正しい北野作品の見方なんでは。 という訳で、「ソナチネ」白い砂と青い海、光と影、戦慄と笑い、静寂と突然の死、これくらい「コントラスト」を満載でしかも全体のバランス感覚を失っていない映画も珍しいと思う。武さんの人間力が正にピークだったのでは。「キッズリターン」も大好きですが、今のところやっぱり本作が武さんの「一生に一本」になりそうですね。エレベーターの中の銃撃戦とかももちろん凄いですが、私は渡辺哲が沖縄の踊りをするシーンが好きです。や系の方って冷静に考えるととてつもなく漫画的な訳で、フトそれに気が付いてツボに入っちゃって、怖い人の前で必死に笑いを堪えるような感覚。こういうシチュエーションは武さん独特の世界ですね。 「エクソシスト」を思わせる久石さんの音楽も、主人公がひたひた進む地獄道に相応しいチューンだと思います。