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誰も知らない [DVD]

誰も知らない [DVD]

とても良い / 口コミ件数 : 125


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1.  とても良い ようぞうさん 書き込み日: 2005年05月28日

「時代」と「こころ」

 これは時代をとらえた秀作で、全体のトーンやドキュメンタリーのような編集とカメラワークも秀逸。何ものかを「悪」とするのではなく、置かれた状況のなかで精一杯自分の大切なものを守ろうとする少年を描く。実際の事件の時は「鬼母」扱いで悪趣味な週刊誌あたりに叩かれていた母親も、身勝手で幼稚ではあるが、いわば社会的弱者で、彼女なりの幸福を追求したがっていた一人の女ととらえれば、ただ憎めばいい存在ではないことがわかる。「私は幸せになっちゃいけないの? 一番勝手なのはあなたのお父さんじゃないのさ。私達をほったらかして出て行って」と自分の息子に向かって叫ぶ姿は悲痛だ。
 四人の子ども達だけの世界は、部屋は荒廃し、電気も水も止められて、しだいに行き詰まっていくが、この四人の「誰も知らない」共同生活を、監督はただの不幸、悲惨、悲劇としては描いていない。彼らは彼らなりに支え合い、特に(カンヌで賞をもらった柳楽くんの演じた)長男は、施設にでも福祉事務所にでも、行こうと思えば行けたのに、四人だけの、監督の言う所の小さな「ユートピア」を守ろうとした。子ども達を一回も学校に通わせず戸籍にさえ入れていなかった母親を、彼らは憎んでいない。これが監督の視点だ。いかなる環境下でも、異常と思われる空間にも、人の愛や幸福への希求が存在する。ただ、この先進国、世界第二位の経済大国の片隅で、「誰も知らな」かった彼らの半年。母子という関係が生まれてからなら十数年を彼らがこのように生きざるを得なかったのはなぜなのか。我々は社会をどう変えていかなければなからないのか。この映画では実はメインではないのだが、そうした問いかけも感じざるを得ない。



2.  とても良い tkselementさん 書き込み日: 2005年03月12日

一人でも多くの、大人、に見てもらいたい映画。

 ある意味、これこそ日本映画のもつ力ではないだろうか。
 派手な描写や音楽もなく、淡々と進む物語。しかしそんなものが必要ないくらいにこの映画の映像には観客を引き込むパワーがある。
 とにかく見ていてつらい。子供たちの自然の演技が見せる無邪気な笑顔が、大半の大人の心理をぐっと押さえつけてしまう。
 この映画に何かを訴えかけるようなメッセージ性は感じられませんでした。ただそこに起こった事実を突きつけられる様な、感情の入り込む余地のないドキュメントのような作りに、かえってたくさんの事柄を考えらされる気がします。
 少年の事件などが起こると、「近頃の子供は・・」と言う言葉をよく耳にします。しかし、ことはそんなに単純ではありません。まずはやはり「近頃の大人は」、私はその言葉のほうが先にくる気がします。この映画に出てくる大人たちは身勝手な人たちばかりですが、実際このような大人のなんと多いことか。やるせなくなります。
 一人でも多くの人たち、いえ多くの大人たちに見てほしい映画です。



3.  とても良い Takaさん 書き込み日: 2005年10月17日

是枝監督の想像力

ネットで現実の「西巣鴨子供4人置き去り事件」について
調べてみる。うーむ、現実はもっと厳しい。映画の方が
かなり救いがあるかんじだ。是枝監督が冒頭でフィクション
だというテロップを出したのもわかる。もしこの事件を
ノンフィクションで映画にしていたら、映画としての
価値が下がるのは目に見える。

この映画を芸術作品としてだけではなく商業作品の面も
併せ持つことを可能にしたのは、何を隠そう是枝監督の
想像力だ。僕も願うなら、現実の西巣鴨事件が
映画のような物語だったらどんなに素晴らしいかと思う。
もちろん僕は現実の少年がどのような暮らしをしているか
今はわかる余地もないので比べてもしょうがないのだが…。

結果として是枝監督の想像力がこの事件を再注目させるに
いたったのだけは確かだ。是枝監督のノンフィクションと
フィクションの中間点を見出す表現方法が、手厳しい
現実から想像力という翼を獲得するという素晴らしい
架け橋になってくれることを願う。翼というと何か
逃避みたいな響きがするなぁ。

そうではなくて、彼が表現したいのは、ディレクターノート
にも書いていたが「救い」なのだと思う。
ここにいてもいいんだよ。生きていてもいいんだよ。
そういうメッセージが彼の作品群の根幹をなしている
のかもしれない。



4.  とても良い nutsackさん 書き込み日: 2004年10月04日

みんなさがしている…

人はいるのに無機質な街並み、ココロの居場所をさがす少女、身の置き場をさがす兄弟。
「子供を大事にしよう」なんてことは分かっている。
「育児放棄は犯罪だ」、そんなことは知っている。
でも、みんな自分の居場所を守るのに精一杯で、振り返ることをしない。

おそらく子供にとっては大きな傷だろう。
しかし、明日は来る。
だから、彼らは失った居場所をさがす、生きるために。
立ち上がろうとする強さと、迫りくる焦燥感とを感じた映画だった。

子供だけではない。私達の多くが孤独を感じ、居場所をさがしている。
寛容さのかけらもない世の中など誰も望んでいなかったのに…。



5.  とても良い ソコツさん 書き込み日: 2004年12月27日

世間のすきまにある愛情

あらすじだけを聞くとカンちがいしそうなのだけれど、「かわいそうな子供たち」を見せるための作品ではまったくない。そういう意図が少しでもあれば、それはそれはいやらしい作り物になっていたことだろうと思う。「社会派ドキュメンタリー」みたいなのではなくて(だから所々「不自然」な部分はある)、あるフィクショナルな、されどリアルな家族の暮らしを事細かに描いた映画なのである。その生活の細部がひたすらいとおしい。カップめんがめちゃくちゃ美味しそうで、お腹がすいてくるではないか。「お年玉作戦」がとことん切なくて、涙が出てくるではないか。他人をやさしく無視する世の中の外に放り出されたけれど、いやむしろ、この時代の世間の外に出ることができたからこそ、まれにみる「愛」があふれた家族の物語をそこでつむぐことが出来た。カンヌで脚光を浴びた少年をはじめ役者たちは確かにすばらしい。けれど、やはり監督の力がすごい。この映像世界を心のなかでみていた彼のまなざし、それこそが貴重である。



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