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誰も知らない [DVD]

誰も知らない [DVD]

とても良い / 口コミ件数 : 121


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1.  とても良い Takaさん 書き込み日: 2005年10月17日

是枝監督の想像力

ネットで現実の「西巣鴨子供4人置き去り事件」について
調べてみる。うーむ、現実はもっと厳しい。映画の方が
かなり救いがあるかんじだ。是枝監督が冒頭でフィクション
だというテロップを出したのもわかる。もしこの事件を
ノンフィクションで映画にしていたら、映画としての
価値が下がるのは目に見える。

この映画を芸術作品としてだけではなく商業作品の面も
併せ持つことを可能にしたのは、何を隠そう是枝監督の
想像力だ。僕も願うなら、現実の西巣鴨事件が
映画のような物語だったらどんなに素晴らしいかと思う。
もちろん僕は現実の少年がどのような暮らしをしているか
今はわかる余地もないので比べてもしょうがないのだが…。

結果として是枝監督の想像力がこの事件を再注目させるに
いたったのだけは確かだ。是枝監督のノンフィクションと
フィクションの中間点を見出す表現方法が、手厳しい
現実から想像力という翼を獲得するという素晴らしい
架け橋になってくれることを願う。翼というと何か
逃避みたいな響きがするなぁ。

そうではなくて、彼が表現したいのは、ディレクターノート
にも書いていたが「救い」なのだと思う。
ここにいてもいいんだよ。生きていてもいいんだよ。
そういうメッセージが彼の作品群の根幹をなしている
のかもしれない。



2.  とても良い ようぞうさん 書き込み日: 2005年05月28日

「時代」と「こころ」

 これは時代をとらえた秀作で、全体のトーンやドキュメンタリーのような編集とカメラワークも秀逸。何ものかを「悪」とするのではなく、置かれた状況のなかで精一杯自分の大切なものを守ろうとする少年を描く。実際の事件の時は「鬼母」扱いで悪趣味な週刊誌あたりに叩かれていた母親も、身勝手で幼稚ではあるが、いわば社会的弱者で、彼女なりの幸福を追求したがっていた一人の女ととらえれば、ただ憎めばいい存在ではないことがわかる。「私は幸せになっちゃいけないの? 一番勝手なのはあなたのお父さんじゃないのさ。私達をほったらかして出て行って」と自分の息子に向かって叫ぶ姿は悲痛だ。
 四人の子ども達だけの世界は、部屋は荒廃し、電気も水も止められて、しだいに行き詰まっていくが、この四人の「誰も知らない」共同生活を、監督はただの不幸、悲惨、悲劇としては描いていない。彼らは彼らなりに支え合い、特に(カンヌで賞をもらった柳楽くんの演じた)長男は、施設にでも福祉事務所にでも、行こうと思えば行けたのに、四人だけの、監督の言う所の小さな「ユートピア」を守ろうとした。子ども達を一回も学校に通わせず戸籍にさえ入れていなかった母親を、彼らは憎んでいない。これが監督の視点だ。いかなる環境下でも、異常と思われる空間にも、人の愛や幸福への希求が存在する。ただ、この先進国、世界第二位の経済大国の片隅で、「誰も知らな」かった彼らの半年。母子という関係が生まれてからなら十数年を彼らがこのように生きざるを得なかったのはなぜなのか。我々は社会をどう変えていかなければなからないのか。この映画では実はメインではないのだが、そうした問いかけも感じざるを得ない。



3.  とても良い tkselementさん 書き込み日: 2005年03月12日

一人でも多くの、大人、に見てもらいたい映画。

 ある意味、これこそ日本映画のもつ力ではないだろうか。
 派手な描写や音楽もなく、淡々と進む物語。しかしそんなものが必要ないくらいにこの映画の映像には観客を引き込むパワーがある。
 とにかく見ていてつらい。子供たちの自然の演技が見せる無邪気な笑顔が、大半の大人の心理をぐっと押さえつけてしまう。
 この映画に何かを訴えかけるようなメッセージ性は感じられませんでした。ただそこに起こった事実を突きつけられる様な、感情の入り込む余地のないドキュメントのような作りに、かえってたくさんの事柄を考えらされる気がします。
 少年の事件などが起こると、「近頃の子供は・・」と言う言葉をよく耳にします。しかし、ことはそんなに単純ではありません。まずはやはり「近頃の大人は」、私はその言葉のほうが先にくる気がします。この映画に出てくる大人たちは身勝手な人たちばかりですが、実際このような大人のなんと多いことか。やるせなくなります。
 一人でも多くの人たち、いえ多くの大人たちに見てほしい映画です。



4.  とても良い hironobu_suzukiさん 書き込み日: 2005年04月13日

演技というものを超える映画

「蝿の王」という物語の対極にある映画だなと思いました。蝿の王は子どもだけの閉鎖的な世界における人間性の喪失と残酷さがテーマです。それに対し「誰も知らない」は人間性というものは喪失せず、やさしさに満たされている、というテーマを持って作ったのだと私は感じています。この兄弟姉妹を取り巻く環境にもかかわらず彼らは兄弟愛という絆でピュアな世界で生きている。そこに苛められ疎外されている少女が加わる。このストーリーを冷静に考えると、これはファンタシーの世界です。しかし、観客はドキュメントと錯覚してしまうほどの映像にどんどん引き込まれしまい、まるで目撃者のような錯覚に、あるいはそこにいるような錯覚に陥ってしまいます。丁寧な時間をかけた撮影で、その場に居合わせたような気にさせる監督の力は本当にすごい。たとえば、かわいい末っ子が膝枕でまどろみながら夢と現実をいったり来たりしている(演技ではなく本当に!)映像を見ると、「いったいどれだけの時間を費やしてこのシーンを取ったのだろう」と驚きます。長男・明役で柳楽優弥がカンヌ映画祭最優秀男優賞を史上最年少で取ったのですが、これは演技というものを超えて彼という人間が成長する姿をフィルムで捕らえたのが、この賞に結びついたのでしょう。そう考えると、これは一種の奇跡の映画なのかも知れません。



5.  とても良い 大竹ママさん 書き込み日: 2006年10月13日

中学生以上の人には是非見てもらいたい映画

「誰も知らない」は、2004年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、長男役の柳楽優弥が日本人初となる男優賞を、しかもカンヌ史上最年少で受賞し当時大きな話題となった作品。
興味はあったが、「母親に置き去りにされた4人の子供たちの話」ということで、今まで何となく見るのを避けていた映画である。

ドラマ好きの私にとって「誰も知らない」の淡々と進む映像手法と、子供達の演技というより自然に口から出ているセリフに、「何なのこれは?」と当初退屈感とイライラ感さえ覚えた。
しかし、中盤から、セリフの少ない、観客に考えさせる、そのリアリティーあふれるストーリーの中にぐっと自分は引き込まれていった。
子供たちの手や足のアップで観客の心にセリフ以上のものを訴えかける映像技法がなんとも印象的。
主役の長男役の柳楽優弥の目にも引き込まれる。(俳優としての将来が楽しみ)

ストーリーの元になった実話は東京都で1988年に発生した保護責任者遺棄事件で、とても残酷な事件だったが「誰も知らない」では残酷な部分はカットされ、新たな登場人物が加えられて子供(中学生以上?)と親が一緒になって鑑賞できる映画となっている。

また長男は兄弟思いの優しい心を、ずっと持ち続けた少年として描かれているのが救われる。
貧しくても兄弟皆仲良く一緒に暮らすことに幸せを感じている子供たち。
何ともいとおしく、悲しい。

児童相談所に行けば学校にも行けて食べ物に困らない生活になるはずなのに兄弟がバラバラになってしまうことを長男は一番恐れているのだ。
「誰も知らない」では、どんな悲しい状況になっても泣いている子供は一人もいない。

食べ物の好き嫌いの激しい、わがままな小2の自分の娘に見せたい映画であるが、ディープな問題がいろいろ入った映画なので、まだ見せたくない。

映画のラストが、すっきりしない仕上げになっているのは、映画で描けなかった残酷な事実を観客自身で事件を調べて知ってもらうという目的があったのだろうか?

「誰も知らない」は、中学生以上の人に是非見てもらいたい映画のひとつである。

P.S (2006.1.1追記)
昨年末から今年にかけて、自動車のCMにYOUと柳楽くんが親子役で出ていて「誰も知らない」の幸せな続編を見れたようで、とっても嬉しいです。(本当は続編ではないのですが)



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