とても良い / 口コミ件数 : 4件
価格 : 4,242 円
荻原家を突然襲う悲劇「妹の失踪」同居していた伯父は、自殺。父親の病死、母は宗教にのめり込み、弟は精神病院へ入院してしまう。それをどのように纏めあげるのか、熊切監督の着眼点が見ものだ。抑圧された感情や体験を言葉や行動として外部に表出して、心の緊張を解消していく様が荻原家の人間模様を土台に上手く表現されている。
主人公の荻原祐一郎役を演じる加瀬亮の演技力も見どころ。この作品の奥行きを上手く表現。すごい役者だ。
内容だけを見ていると、目を覆いたくなる部分、耳を塞ぎたくなる部分が多くありそうですが、情緒というものが大切にされていて、登場人物たちの心の変化が美しく描かれているので、SMルームでのシーンや自傷シーンなどもみやすいです。バックに流れる曲、要所に出てくる鏡越しの風景…、色んなものが合図となって、作品の中に見ている私を引き込んでいきました。重要となる、SMルームでのマスターベーションを強要されるシーンは、主演・加瀬亮さんの圧倒的な演技力によって、リアルかつ美しいものになっています。主人公の心の鍵とも言える女王様の言葉に、何度見ても私は泣いてしまいます。
この作品の原作を読んでから見ました。原作と比べて削られているところもありましたが、核となる部分は濃く、登場人物の心情がじわじわと伝わってきました。驚くべきは、加瀬亮さんの演技力だと思います。ただリアルで、圧倒されるばかりです。最初に見たときは、ほとんどまともに見ることができなかったのですが、何度も見返すうち、祐一郎と同じように、私もナオミの台詞に救われたような気がします。
結局、祐一郎が一番の被害者である。 家族のほかのものは、宗教や自殺を通して妹の失踪を乗り切っていく。彼は間にはさまれて、自分の家族が堕ちていったり、想像の世界を描くところを見て、彼らの面倒を見ることしかできない。 だが、SMの女王・ナオミとのセッションで、彼は自分自身が閉じ込めていた「中身」をさらけ出して、楽になる。自分がずっと終わらせたかったことを、終わらせようとする。 とても重い本作だが、ハッピーエンドである。 もしそうじゃなくても、希望はまだある、ということを感じさせるラストであると思いたい。 ちなみに、加瀬亮の熱演と、熊切和嘉の演出、カメラワークなども見ものである。