アル・パチーノの出演作の中では異色だと思います。青年との心の交流を描いた作品、なんてパチーノの路線からは多少外れています。ところがこれが万人が楽しめる秀作になるのですから不思議です。自殺をしようとして止められたフランク(パチーノ)がチャーリーに I'm in the dark と叫ぶシーンがあります。この人はそれまで、肉親の姪にさえ言えなかったこの言葉を、チャーリーにいうのですよね。苦しんでいることを他人に言った、それも自分の息子のような年の若者に叫ぶように吐き出したことで、彼の心の何かが変っていく。このシーンは見事でした。パチーノはこの盲人役のため、盲学校に通ったそうです。実際、見えているのに見えてない「ふり」をしているのではなく、目の焦点を意識的にずらすことで、見えない状態にしたのだそう。名優とは身体機能までをも操作するものなのか、と驚きました。パチーノのプロ根性が作り出した名作、といえると思います。