 |
私がこれまで観た映画のベスト3に入る、古代歴史物洋画の最高傑作 |
リドリー・スコット監督の映画は数バージョンが乱立する傾向があるが、グラディエーターの映像は監督がベストとする劇場公開版(155分)と数シーンが追加された長尺版(171分)の2種類だけのよう。特典映像は、数年前に私がCDサイズのボックスに収納された劇場公開版のDVDを購入したときは、歴史家による剣闘士の実態の解説、上記数シーン、音楽担当のハンス・ジマーの活躍ぶりが目玉だったのに対し、本作のものは06年発売の完全版スペシャル・エディションと同様、映像のメイキングが主。私は皇帝等の人物像が鮮明となり筋にふくらみが増した長尺版が好きだし、特典映像もCGの使われ方が詳しい本作の方が良い。(さらにディスク1枚分特典映像が多いエディションもあるが。)
映画本編について、まずstrength and honorを重んじるローマ兵や剣闘士の心意気にしびれる。CGで再現されたコロッセウムや冒頭のゲルマン人との戦闘の迫力には脱帽。監督の光と影の魔術も、皇帝との対決場に昇降機で主人公が向かう場面等で健在。コロッセウムに赤い花のようなものを散らせる美意識も鋭い。本作は平和な家庭生活を求めた男の物語でもあり、冒頭と終わりの麦畑のシーンが心に染みる。
ラストで毅然と命令を下す皇帝の姉の気高いこと! 剣闘士仲間の友情・信頼も感動的。主人公の死体を有志が運び去り、無人のコロッセウムの土に自由となったジュバが形見の人形を埋め、カメラがローマの荘厳な街並み全体を俯瞰し、エンド・クレジットが流れて行く、その一連のシーンにリサ・ジェラルドの神秘的な声の歌がかぶさるエンディングに高揚感を覚え、映画の醍醐味に酔いしれる。塩野七生氏のローマ人の物語第11巻で指摘されているように、皇帝と姉の確執等、史実との相違は多々あるが、そんなことはどうでもよくなる。本作は間違いなく、ローマ帝国を舞台にした最高の映画だ。 |
 |