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価格 : 2,689 円
特に50年代に忘れえぬ力作を数多く手がけたアンソニー・マン監督作品です。多くの西部劇を撮ったマン監督らしく、本編にも西部劇的要素が多く登場します。アメリカ先住民、砦、青服の軍隊、銃撃戦などがそうです。 しかし、これは単純な構図の映画ではありません。ヴィクター・マチュア扮する主人公ジェドは文明から遠ざかったところで生活をしていた猟師。およそ西部劇の主人公たるガンマンではありません。またストーリー自体も、アクションに比重を置いているのではなく、アメリカ北軍が駐屯する砦の中の人間模様と人々の心理が主体となっています。孤立してしまった軍を扱っているあたり、マン監督の傑作戦争映画『最前線』に通じるものがあります。その見地から言えば、これはユニークで面白い。ジェドはヒーローとは呼べないくらい粗野な男だし、ロバート・プレストン扮する大佐も屈折した人格に苛まれる人物です。また、若き日のアン・バンクロフト扮する大佐夫人も不幸を引きずって生きている。これらの人々が型どおりではない触れ合いを見せ、風変わりで面白いドラマを提供してくれています。 背景の美しい山陰、起伏に富んだ美しい台地、その中に陣取る砦、遠目に見下ろす先住民の集落などなど、ここでもアンソニー・マン監督のこだわりである野外ロケが絶大な効果を生み、ドラマに貫禄を与えています。そして、それらの背景の中に配された人物および事物のコンポジションの美しさは相変わらずお見事というほかはありません。 アクションシーンもスリルに富んでいますし、状況設定も味があるのですが、それらをいささか弱めているのが脚本です。文明と未開との間で揺れるジャドの心も決着を見ることなくラストを迎えてしまうあたり、すこし物足りなさを感じますし、ジャドの台詞も未開人にしては洗練し過ぎているきらいがあります。 とは言え、ヴィクター・マチュアとロバート・プレストンはいい味を出していますし、アンソニー・マン監督の美学を十分堪能できる作品であることは確かです。