とても良い / 口コミ件数 : 3件
価格 : 5,040 円
朝鮮戦線を舞台に、襲い来る共産軍に苦戦しながら456高地に後退する小隊の壮絶な銃撃戦を描く、1956年製作・『アンソニー・マン監督』の傑作戦争ドラマ。 【マーク・ベンスン中尉指揮下の歩兵小隊が、456高地に向って後退する中、負傷した大佐を運ぶモンタナ軍曹と遭遇するが・・・・・・。】 ベンスン中尉(主演:ロバート・ライアン)とモンタナ軍曹(主演:アルド・レイ)の2人の葛藤劇を盛り込み、無気味に忍び寄る狙撃兵の攻撃・大地を揺るがす敵の砲撃・地雷源などで犠牲者を出しながら後退する中、戦闘経験を積み重ねたモンタナ軍曹の機転を利かす活躍(:さすが古参兵)は痛快で、ラスト・シーンの高地占領の銃撃戦シーンは壮絶! モノクロ作品ならではと思うが・・・・・・。 (余談:TVシリーズ『コンバット』の「サンダース軍曹」役で一世を風靡する、今は亡き【ヴィック・モロー:1982年に撮影中のヘリコプターの落下事故で死去。】が脇役で登場するのは見逃せれない。)
第三者から戦争を見た娯楽性ではなく、あくまでも戦場そのものでの臨場感を味わうことに重きを置いたこの作品については従来から賛否両論ありましたが、昨今では著しい再評価がなされています。イギリスの『ハリウェル・フィルムガイド』は「娯楽性を欠いた戦争映画」と本編を酷評していますが、アメリカの映画評論家レオナルド・マルティンはこれまでの「変わり映えしない戦争映画」という批評を近年改め、「定石を打破した型破りな戦争映画であり、一層知らしめられるべき作品である」と高く評価しなおしています。たしかに、戦場におけるなまめかしいリアリティを表現するために極力無駄なエッセンスは排除して戦闘そのものと、その前触れともいえる歩兵たちの張りつめた心理を抽出して映像化しているあたりは後年の『プラトーン』や『シン・レッド・ライン』に通じるものがあり、時代を先取りしていると言っても過言ではありません。 アンソニー・マンのいつもながらの主張であるランドスケープとその中に放たれた人物を含む各要素とのコラボレーションはこの作品にて真骨頂の域に達します。戦場と化した荒涼たる大地の上でロバート・ライアン扮するベンソン中尉は疲れきった静のエネルギーを湛え、アルド・レイ扮するモンタナ軍曹はぎらついた動のエネルギーを発散させます。彼らに従い歩く小隊は、二人の男から放たれる相対するエネルギーによってようやく突き動かされているかのようです。それに呼応するかのように劇中全体を静のシークエンスと動のシークエンスとが著しい対比を成していることによって醸し出される独特の運動サイクルが支配します。ライアン、レイ、そして戦闘によりショック状態に陥ってしまった“大佐”に扮したロバート・キースがそれぞれ好演。 そのうえでマン監督は戦う男たちの行軍する空間をローアングルショットやクローズアップを駆使しながら臨場感たっぷりに造形し、観る者をその中に同化させることに成功しています。破壊された戦車から立ち上る煙、兵士たちが触れる草花や踏みしめる砂利、敵兵がその背後に隠れる木々、そしてその場の空気感までがリアルに、克明に、そして詩的に描写されているあたりは、まさに空間造形の天才アンソニー・マン監督の独壇場。その意味においてこれは決して単なる型通りの娯楽作品にはもともとなりえるはずはなく、まさに戦争という非日常的かつ過酷な状況下で複雑に揺れる生の人間心理を体感するための実験的フィルムであるとすらいえるのではないでしょうか。マン監督のこうした作家的実験精神の賜物なのか、『最前線』は通常の戦争映画とは一線を画した極めてオリジナリティに富んだ、たとえるなら静寂さに満ちた虚無感とぴんと張りつめた緊張感とを併有した極めて味わい深い芸術性をも持ちあわせています。近年本編がアンソニー・マン作品を代表する傑作であるとの評判を得ているのはまさしくこうした芸術性にあるのです。 本編で見られるような映像作家としてのビビットな感覚と技量を持ってすれば、アンソニー・マンは多くの傑作戦争映画を撮れたはず。しかし、本格的な戦争映画はこの『最前線』のみ。アンソニー・マン研究の第一人者ジャニーン・ベイシンガーが「アンソニー・マンは生涯のうちただ1本しか戦争映画を撮らなかった。しかし、それで十分事足りたのだった。それは『最前線』が彼の芸術性の顕著な表れであり、最も偉大な戦争映画の一つとなったからである」と述べているのが印象的です。かのフランソワ・トリュフォーは本編を「生涯のフィルム」の中の一本に定め、マン監督自身も生前「『最前線』は私の会心作です。すごく気に入っている」と語ってこの作品をこよなく愛したのです。 2009年に映画批評ウエブサイト「They Shoot Pictures, Don't They?」が発表した厳選2001作品からなる「古典フィルムリスト」へのエントリーを果たしました。
釜山橋頭堡へ追い詰められていた頃の設定なので、まだ米軍は兵力的に充実してなく 日本から急遽派遣した部隊と一部の海兵隊を以って、ウォーカー・ラインを死守していた という状況です。 実際にこの作品で描かれているような、小部隊による高地奪回劇があったかまでは知りま せんが、全編に渡ってとても緊張感が漂っています。 ベンソン中尉の率いる小隊は朝鮮人民軍の攻勢から難を逃れ、高地を目指して再び進軍を 始めますが、そこに戦闘神経症に陥った大佐をジープに乗せた歴戦の勇士“モンタナ”軍曹 が現れます。 本国への帰還を強く要望する彼を何とか説得し、共に目的地を目指し進みます が・・・・。 巧妙に草木で偽装した狙撃兵や集中的に狙ってくる砲撃、辺り一面に広がる地雷原、味方に 変装した敵兵士など、いくつもの難関が待ち受け、兵員が一人また一人と戦死して行き、体力 的にも精神的にも極限の状態に追い詰められます。 さらに、ベンソンとモンタナの確執により 自軍も分裂の危機に迫られます。 この作品において特に印象深いのは、やはりモンタナが上官のベンソンに反抗するところです。 戦闘経験が豊富で多くの知識があるため、たとえ上の命令でも非合理的だと判断した場合は、 どうしても不服に思い反発してしまうのでしょう。 SPRでも途中でライベンがキレて 任務を放棄しようとする描写がありますが、こうした行為はある意味で前線の真理を突いた ものだと思います。 冷静に全員をまとめる中尉と、反抗的だが頼もしく心強い軍曹の掛け合いが見ものです。