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裁かるゝジャンヌ クリティカル・エディション [DVD]

裁かるゝジャンヌ クリティカル・エディション [DVD]

とても良い / 口コミ件数 : 9


価格 : 3,992 円





クチコミReview一覧
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口コミ件数:9 1 2 次ページ
1.  とても良い ふろすとさん 書き込み日: 2007年05月10日

奇跡のフィルムを収めた貴重なDVD

1928年にオリジナルネガフィルムがドイツウーファ社の火災により焼失し、完全なフィルムは存在しないと言われてきた『裁かるゝジャンヌ』。ドライヤーがオリジナルに使用しなかったフィルムで再編集しました(第二版)が、その第二版ネガも焼失。おまけに製作元は倒産。その後は、世の中に出回っていたポジフィルムをかき集めてかろうじて作品の体をなしていました。しかし、なんと60年近くも経って、製作直後にデンマーク公開のために送られていた完全オリジナル版がまったくの偶然から発見されます。その奇跡のようなオリジナルフィルムをDVD化したのがこのパッケージ。映画評論家のドナルド・リチー氏が、もう見ることが出来なくなってしまったと嘆いていた、ジャンヌが放血術を施されるシーンもきちんと収録されています。画質も極めて良好で、まことに貴重なDVD。ハピネットから出ているもう一つのほうは、オリジナル版ではありません。

映画は、良く知られているジャンヌ・ダルクの異端審問と処刑を描くサイレントの至芸。リアルさを追求するために、余分な要素を全てそぎ落とした映像が見事。音楽もなくタイトルも最小限、審問室や火刑場の全景も写さず、登場人物同士の関係さえ情報として観客に与えません。その上で、徹底したクローズアップ。ノーメイクで皺の一本一本まで超リアルな役者の表情。これを見せられると、私たちは、まず間違いなくファルコネッティ演ずるジャンヌに激しく感情移入します。シンクロします。そして、そのシンクロ状態で向かえる後半の火刑シーン。世の中にはなんという映画を作る人がいるのでしょう。ご自身の目で、是非一度ご鑑賞ください。



2.  とても良い 金子市さん 書き込み日: 2005年08月05日

沈黙こそが

 ジャンヌ・ダルクのような神話的人物の悲劇を描くには、サイレントこそ、それにもっともふさわしい手法であると感じさせる映画史上の傑作。1927年のフランスで、デンマーク人監督カール・テホ・ドライヤーによって撮られた。ドライヤーは構図や演出の厳格さから、小津やブレッソンと並んで論じられることもあるが、全体のかなりの部分がジャンヌの顔のクローズアップでできているこんな作品は、(ブレッソンについては不勉強で何もいえませんが)少なくとも小津は無声時代に撮っていない。これを観たあとは、どんなに時間がたっても、ジャンヌを演じたルネ・ファルコネッティの崇高な顔が頭の中から離れることはないだろう。
 ジャンヌは弁明のためにたしかにしゃべってはいるのだが、観たあとの印象では、彼女の沈黙こそが、その置かれた立場、感情、恐怖、神への強い信仰を、何よりも雄弁に語っているように思えた。
 このDVDを買って観るのはもちろん、機会があれば大スクリーンで観ることもお勧めします。



3.  とても良い シャミ仙太郎さん 書き込み日: 2006年12月30日

確かに定価は少々高い。でもこの品質なら、買う価値あり

このDVDは高品質です。「裁かるゝジャンヌ」は、以前にも別の会社から発売されたことがありますが、画質の鮮明さと透明感において、こちらが圧倒的に優れています。私は今まで本作のことを、何だか女優のクローズアップばかりでボンヤリした映画だなあ、としか思っていませんでした。しかし、このDVDを観たとたん、これは決してそのような“退屈な芸術作品”などではなく、髑髏に蛆虫の湧く描写ひとつ取っても生々しく、生き生きとした、厳格でありかつ怖い映画であることを知りました。

メーカーの皆さま、貴社が発売なさったこの作品は、映画ファンの財産です。どうかこの先も、このDVDを絶版にすることのないよう、お願い致します。



4.  とても良い ヤンマさん 書き込み日: 2008年06月08日

仰角の天才が放つ衝撃作!

クローズアップ・・・この映画を語る上で欠くことが出来ない代名詞である。しかしあまりにも使われすぎたため、直截に映画を観る事の妨げにもなっていたようである。実際、私には抑制と解放の両軸が織り成す大活劇に見えるのである。ラスト近くの場面を思い出していただきたい。民衆の暴動のスペクタクルと町一つを大オープンセットで再現した文字通りの大作史劇なのだ。特に火刑台のジャンヌと数十羽の鳥が飛び立つ場面の対比は忘れがたい。



5.  とても良い ひらじいさん 書き込み日: 2008年11月16日

ルドルフ・マテのクローズ・アップ撮影

 この映画が製作された1928年当時これほど極端なクローズ・アップを多用した前衛的撮影は前例がなかった。当時の人々に全く理解されなかったのも頷ける。このDVDの画期的なのは、撮影当時の一秒間20コマの回転数に戻して収録している点だ。正常な回転数で見ることによって、ファルコネッティの真に迫った顔の表情がいっそう胸に残る。
 撮影したのはルドルフ・マテ。彼はこの後、ドライヤーと「吸血鬼」という怪奇映画で再びコンビを組み、トーキーの時代に入ると数々の名監督たちの撮影を手がけてゆく。フリッツ・ラングの「リリオム」(後にミュージカル「回転木馬」としてリメイクされる)、ワイラーの「孔雀夫人」、ヒッチコックの「海外特派員」、アレクサンダー・コルダ監督ヴィヴィアン・リーとローレンス・オリヴィエの「美女ありき」、エルンスト・ルビッチの「生きるべきか死ぬべきか」、ハンフリー・ボガード主演ゾルタン・コルダ監督の「サハラ戦車隊」、チャールズ・ヴィダー監督リタ・ヘイワース主演の鮮やかなテクニカラー・ミュージカル「カバーガール」、同じコンビで「ギルダ」などなど。「裁かるゝジャンヌ」ほど強烈な表現はその後は見られないが、時に俳優のクローズ・アップになるとぞっとするような妖しげな異彩を放つのはこの人ならではの魅力だろう。ドライヤーは「不思議なインスピレーションの力によって表情が変わっていく様を撮る行為ほど気高いものはない」と語るほど映画の中で人間の顔を重要視した監督だったが、マテが彼から何を学んだか、ということを考えながらこれらの映画を見るのは大変興味深い。残念なのは、監督に転じてからのマテは不遇に終わり、これといった成果をあげられないままB級専門の監督として生涯を終えた。



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