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八甲田山 特別愛蔵版 [DVD]

八甲田山 特別愛蔵版 [DVD]

とても良い / 口コミ件数 : 18


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1.  とても良い rs6さん 書き込み日: 2008年01月06日

指揮論を超える雪山への畏敬

新田次郎著の「八甲田山死の彷徨」は、長らく我が社の指定必読書だった。そこにはリーダー論が語られているからだ。映画も同様で、指揮官はどうあるべきかを明確に示している。しかし、30年以上もたった今日、原作を読み直してみると、むしろ新田次郎の「雪山に対する畏敬の念」が浮かび上がってくる。それは恐怖、あこがれ、尊敬といったものが入り交じったモノだ。新田次郎の墓(分骨)は、スイスのアイガー北壁が一望できるクライネ・シャイデックにある。彼の目は人間の判断の正しさや間違い、生と死の分かれ目を遙かに超越したものを見ていたことがよく解る。



2.  とても良い nanpakkuさん 書き込み日: 2005年06月03日

組織と自然と人間と

新田次郎の原作を映画化した有名作品。高倉健、北大路欣也らの熱演に見入ってしまう。
八甲田山のいかに厳寒期の風雪が厳しいものかが、3年に及ぶロケの末、圧倒的な説得力で描かれている。

八甲田山といえば青森の風雪吹きすさぶ険しい山。
そこで明治時代に陸軍の兵士が多数死んだことは有名である。
しかしその悲劇は戦争によって引き起こされたものではなく、厳しい自然界に人々が翻弄された末の出来事であった。

いまひとつ、この作品が書籍も含めて多くの人に受け入れられた背景には、組織論的な問題提起がなされていたことがあげられる。このことは映画と映画の解説でも語られている。
脚本の橋本忍氏は「製作時には組織論的なことはまったく意識していなかった」といっているが、内容を見てゆくと明らかだろう。

しかしこの映画の真の意図は、このような組織論的な問題を追及することではなく、実は自然の脅威というものを人間が征服し、これを傲慢にも克服しようとする姿勢と、それに逆らわずに迎合する謙虚な姿勢という、この両者の違いを浮き彫りにするものであると脚本家は言っている。複合的なメッセージの詰まった作品である。



3.  とても良い チーダさん 書き込み日: 2005年12月23日

自然に生かされる人間

非常に奥の深い作品です。
当時の「明治」という時代の背景や、極限状態に達した人間の本質、
自然に対する人間のおごり、一個人の、一瞬の判断力、軍隊内での権力問題。
あまりにも深すぎるがゆえに、様々な印象や感想を鑑賞者は持つであろう、この作品。

しかし、私が鑑賞中、一番感じた事は、意外にもシンプルで、
「人間は、自然には敵わない」ということだった。

小さい頃には良く見かけた空き地や公園が減り、最近では緑に触れることが非常に少なく、
そういった自然が持つ力に疎くなっている現代人(私を含めて)にとっては、ハッと気づかされるものがある筈である。

「天は我らを見捨てたか・・・。」
あまりにも有名すぎる、この名言ともいえる台詞が、実は非常に大きな
意味を持つものだと、この作品を見て、やるせない思いがしました。

様々な角度から自分を見つめなおす事ができたこの名作に感謝!!



4.  とても良い masasigeさん 書き込み日: 2006年10月01日

壮絶 明治の気概 組織の不条理

圧倒的リアリティと迫力の映像、迫真の演技。

雪と吹雪と風の凄まじさ。
まさに、これは、戦争だ。
日露戦争の厳しさが、ひしひしと伝わる。

三國連太郎 の狂気の演技は特筆物。
誤ったリーダーシップの悲劇がひしひしと伝わる。
歴史の教訓が、未だ生かされず。
無能無謀な権力者が世界中で続出する現実は悲しい。

津軽の美しい4季の風景は、自然と共生する事の重要性を静かに諭している。



5.  とても良い philosophiaさん 書き込み日: 2009年02月11日

「愚行」のひとことでは済まされない近代日本の国民的悲劇

「八甲田山」は、荒れ狂う自然の猛威に立ち向かう人間のドラマであり、同時に、日本軍にみる「組織の失敗」の事例研究にもなっている。しかし、もしこの映画が単に軍の愚行を描いたのであれば、それは経営学の素材にはなっても、人々の心に残る作品にはならなかっただろう。

 この映画が見る人の心をうつのはむしろ、それがいわば「近代日本の悲劇」を象徴的に示しているからだろう。危険な雪中行軍が決行された背景には、日清戦争後、三国干渉に遭遇した日本が、「臥薪嘗胆」を標語とし、国をあげて大国ロシアとの戦争に備えていたことがあった。当時の日本にとってみれば大変な背伸びである。国全体が無理するなかで、無謀な計画もまかり通った。しかし考えてみれば、雪中行軍や日露戦争に限らず、明治から昭和までの日本の歴史は無理な背伸びの連続だった。植民地化を免れるため、列強に対抗するため、戦後は経済大国を目指して、近代日本は無理を重ねて成長していったのだ。

 そうした無理が、大は戦争から小は通勤電車の混雑まで、多くの人間的犠牲をもたらしたことは確かである。そこに生じた幾多の過ちが今日批判されるのも当然だ。しかし、では日本は無理をせず、東アジアの片隅で小国としての幸せを求めればよかったのだろうか。19世紀や20世紀初頭の世界はそのような生き方を許す世界だったのだろうか。後知恵はさておき、当時の日本人はそうは考えなかった。弱肉強食の世界にあって、国を守り、列強に伍していくためには、無理してでも戦わなければならないことがある。そう思っていたからこそ、多くの日本人は黙々として国難に殉じたのである。

 八甲田で死んでいった将兵達は、直接には無責任な上官たちの犠牲者であった。しかし大きく見れば、彼らは無理を重ねて成長していった近代日本の人柱であったともいえる。「八甲田山」が「国民的」な悲劇として日本人の琴線に触れる理由はそこにあるのだろう。



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