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おんなのことば (童話屋の詩文庫)

おんなのことば (童話屋の詩文庫)

とても良い / 口コミ件数 : 12


価格 : 1,313 円





クチコミReview一覧
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口コミ件数:12 1 2 3 次ページ
1.  とても良い シロフォンさん 書き込み日: 2006年04月04日

大きな詩人の小さな本

茨木のり子さんの訃報を知り、偉大な才能と良識とを備えた「大人」が、また一人いなくなってしまったのだなあ・・・と思いました。そしてこの本を読み返してみたのでした。

茨木さんのまなざしは、内にも外にも厳しく、同じくらいやさしく、詩はユーモアにまぶされ、みずみずしく軽々としている。敷居の高さを感じさせず、それでいて凛としている。自分の感受性の湖を、それが弱いものであれ強いものであれそのままそっくり枯れてしまわぬよう守り続けよと訴える。それはとても難しいことだけれど、勇気づけられもする。恋の詩もある。現在進行形の恋ではなく、いつか現れるべき人を待つ詩など、可憐でいとおしい。

本書は文庫サイズのハードカバーで、装丁・画も落ち着いたかわいらしさがある。『倚りかからず』は本棚に置きたいが、本書は会社の事務机の中に、鏡台の引き出しに(デスクやドレッサーではなくこんな表現を使いたくなる)ひそませておき、時々取り出して読むのがふさわしいように感じる。「汲む」という詩があるが、今回久しぶりに読み返してみて、年代や状況によって、同じ詩でも「汲む」ものが異なってくることに気づいた。それがすぐれた詩のもつ魅力というものなのだろう。

こんな詩が書かれている。
   さくらふぶきの下を ふららと歩けば
   一瞬
   名僧のごとくにわかるのです
   死こそ常態
   生はいとしき蜃気楼と (「さくら」より抜粋)
今年の桜の前に茨木さんは逝ってしまわれた。心からご冥福をお祈りします。



2.  とても良い さん 書き込み日: 2000年11月27日

言葉の可能性

茨木のり子さんの言葉は、私の中の触れられたくない部分に光を当てます。強く厳しい視線で、自分を再認識させ、顔を上げて歩き出すための強さも奮い立たせてくれます。同時に、優しく暖かい視線で囲まれた自分に気付かされるのです。



3.  とても良い mineko72jpさん 書き込み日: 2004年01月17日

忘れかけていた優しさを思い出させてくれる

学生時代の国語の教科書以外で詩に触れたことのない私が初めて買った詩集です。どの詩も大変素敵ですが、特に「汲む」という作品は、毎日の仕事に追われて渇きがちな私にすーっと染み込んでいった、素晴らしい詩です。「初々しさが大切なの 人に対しても世の中に対しても」というフレーズを目にした途端、男性の多い業界で負けじと肩肘張っていた私の心を不思議な温かさで満たしてくれ、それまでの余裕のなくなっていた我が身を振り返ってハッとしました。世知辛い世で、忘れがちなものを思い出させてくれる、宝物です。



4.  とても良い futoriさん 書き込み日: 2005年05月10日

なぐられる

文庫本サイズ、それでいてハードカバーの美しい装丁の詩集です。
茨木のり子、国語の教科書で恐らく誰しもが目にした事のある名前でしょう。
あら、カワイイ本。
そう手にとって表紙を開けると、
「自分の感受性くらい」という詩があらわれます。

【ぱさぱさに乾いてゆく心を ひとのせいにはするな】

で始まり、

【自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ】

で終わります。

私はショックでぐらぐらしながらこの本をそのままレジに持って行きました。

こんなはずじゃなかった。
昔はばりばりしごとをしていたのに。
こんなに偏屈なこと思わなかったのに。
臆病になってしまったのはいったい何のせいなの。

そんな思いにとらわれたことのある方、
一度、茨木のり子さんに「ガツン!」と殴られてみてはいかがですか?



5.  とても良い patellaさん 書き込み日: 2006年01月14日

あたたかくて小気味のよい痛みをくれる

 茨木のり子さんの六冊の詩集から選んだアンソロジー。茨木さんの詩の中で心に残ったものがたいていおさまっていて、文庫本サイズという小ささもここちよいです。
 どの詩もときにはそっけなく、ときには強く、胸をゆさぶり、叩き、突き刺さります。その痛みもどこかあたたかくて小気味が良い。やっぱり代表的なのは冒頭の「自分の感受性ぐらい」でしょうか。「自分の感受性ぐらい 自分で守れ ばかものよ」の三行は、何度読んでもどきりとします。あまり頻繁にどきりとするとそれに慣れてしまいそうなので、「ほんのときたま」読むようにしているぐらいです。
 「人間は誰でも心の底に しいんと静かな湖を持つべきなのだ」と書く「みずうみ」。この心の底の湖が「聴く力」の中の「ひとのこころの湖水」であり、「大男のための子守唄」の大男が「清水を汲み上げてこなければならない」泉なのでしょう。
 心の湖も静かであるばかりではなく、ときには茨木さんの詩のような刺激で揺さぶり、あふれさせておかないといけないように思います。そうしてあふれ、解き放たれた心はまた、どこかに流れていくのでしょう。優しく、時には激しく。

 出版の童話屋さんの「あとがきに代えて」に、著者の「詩のこころを読む」が言及されています。「詩のこころを読む」もとても良い本で、茨木さんの文章も素敵なのですが、童話屋さんの書くとおり、茨木さんご自身の詩は載っていません。茨木さんの詩に触れるのには、このアンソロジーはとても良いと思います。
 本のタイトル「おんなのことば」は掲載された詩のひとつからとられたものですが、特に「おんな」にこだわって読む必要はないと思います。



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