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古い硬直した組織の中で、伝統や規律が重んじられ人々は窮屈な思いを強いられる。そこへきて、近年、高度かしたシステムのみが発達し、使いこなす事が困難な道具の前に人は翻弄される。 どこかの大企業で聞くような話しですが、ここはアメリカ海軍、ある最新鋭設備の戦艦を初めて指揮した艦長の物語。 人心術とタイトルにありますが、これは人が人を尊重し、相手の能力を最大限に引き出す努力をし、その喜びに勝利した記録。読んでいて、実に心が晴れ晴れしてきます。 「部下の身になって、何が一番大事かを考えてみる」 このシンプルな方針を元に、著者は「きみがしている仕事で もっとよいやり方はないか?」 と常に聞いて回り、良い提案は艦内放送ですぐさま全員へ伝達。 時には頭の固い上司や、無難に済まそうとする同僚へも懸命に抗議をする。 そこにあるのは、思いやりを持ち、部下を成功させようと奮闘する熱いリーダーの姿。 国籍を問わず、人としての素晴らしさ、 そして、リーダーとしての素晴らしさに、胸が熱くなります。 ビジネス書を一万冊読んだ著名な方が、(思わず涙がこぼれた本)と紹介していましたが、それもうなずけます。 前例に拘らず、自分の理想を実現する為に、時には不安を抱えながら、真剣にそして熱く戦う、 普段知る事のない戦艦の中での出来事を元に、臨場感あふれる描写で紹介されるエピソードも面白く、すらすら読むことができます。 元トリンプ社長の吉越さんが訳をして、巻末にはこの話を活かす為の「3つのポイント」まで紹介されています。 これは是非、読んで欲しいですね。
軍隊は巨大な官僚組織だ。特に現場の戦闘集団である軍艦の中は、一糸乱れぬ「上意下達」のピラミッド型組織である。しかし最近の米軍では「自律分散型」のフレキシブルな組織を志向し始めているそうだ。(苫米地英人著 心の操縦術 参照) おそらくこの著者が艦長として誘導ミサイル駆逐艦ベンフォルドを指揮した2年間の多くの成功体験が、米軍という大組織の変革に一役買っているに違いない。 内容もさることながら、まず訳がとても良い。自然な日本語でぐいぐいと読ませる。 さて、内容だが、「組織の効率化」という美名のもと、軍隊でもビジネスでも組織の中に人間が埋没してしまい、一人ひとりの人間性が顧みられることは少ない。いや、現場の指揮官は矛盾を目の当たりにするのだが「これまでもそうだった」「俺も我慢してきた」「そうはいっても仕方が無い」と問題に目をつぶってきたのが実情だ。しかし、このアブラショフ艦長は違う。彼は部下一人ひとりを大切な人間として扱った。 「我々の部下たちは、みな誰かの息子か娘だ。我々はその子どもたちにきちんと接する義務を背負っている。」 「部下の潜在能力には限界はない。部下にレッテルを貼ることをやめ、彼らを機械のように扱うのをやめれば、彼らの業績は向上する。誰もが生まれつき才能を持っているのだ。」 その上で、つねに部下に「君がしている仕事で、もっとよいやり方はな無いか?」と、自発的に自分の仕事に向き合うことを要求し、仕事を「楽しんで」行うための提案を促した。そして上手くいった場合は、すぐに褒めた。良いやり方は艦内でどんどん共有し、他の艦でも共有できるよう上層部に提案した。その際、アイデアを出した部下の功績をアピールすることを忘れない。本書でも、「褒める」「相手の身になる」など自己啓発本でおなじみの項目がたくさん出てくるが、表面的な取組みでなく、まさに300人の乗り組み員一人ひとりに情熱を傾ける著者の人間性には心を打たれる。決して部下を甘やかすわけでなく、軍人として、プロとしてのパフォーマンスをきちんと要求する。しかしその目は慈愛にあふれている。 最後に著者がベンフォルドに艦長として着任した時の自分自身への3つの誓いを紹介しておこう。 食事の質を良くすること、訓練の質をよくすること、毎年できるだけ多くの人間を昇進させること。 ビジネス本、自己啓発本の枠を超え、読了後に「人間っていいな」という気持ちにさせてくれる本である。お奨めします。
海軍ということで思い出したのは、山本五十六の 「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば人は動かじ」 を思い出しました。 軍隊のような構成員の能力が均一化していない組織では、 具体的な目標を掲げ、自発的に行動するよう促すことが 重要なのだということがわかりました。 であるなら、構成員の能力が最低限保証されているような 企業という組織では、もっと有効にこうした考え方や手法を 活用できるのではないかと思いました。 リーダーになったら必読です。文句なく、★5つ!
片やアメリカ海軍の艦長、片やプロサッカーコーチ。だが、2人には意外にも共通項があります。管理職に昇格する以前に、管理職補佐としてトップの視点からの組織運営のノウハウを習得した/部下に過酷な鍛錬を課さず、その自主性を尊重する/より大きな組織の中での中間管理職として、上層部もうまく利用しながらチームを固い絆で結ぶ/など・・・。ジョゼ・モウリーニョの輝かしい成功の秘密が、意外のもこの本から分かるかもしれません。そして、インテルでなかなかモウリーニョらしさがチームに浸透しない理由も、上のようなチーム重視の管理術が、個の力重視の戦い方でそこそこの結果を出してしまうインテルでは機能しにくいからなのでは? もちろん、モウリーニョに興味はなくとも、組織をまとめる立場にあって悩める全ての方に、強くお勧めいたします!
読後、しらけた気分になるビジネス書は最近多い。 『何を今さら』 『本気で言ってる?』 とか思ってしまう事もある。 こう言う事を知りたかったし、 真実というのは、物語であり、学びであり、哲学だ。 涙が溢れるのを止めることができなかった。