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M&A国富論―「良い会社買収」とはどういうことか

M&A国富論―「良い会社買収」とはどういうことか

良い / 口コミ件数 : 2


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クチコミReview一覧
評価の高い順 評価の低い順 書き込み日の新しい順
口コミ件数:2 1
1.  とても良い 財津和人さん 書き込み日: 2008年09月13日

新しい時代の「M&A」とは何か

 グーグルの追撃をかわそうと、マイクロソフトがヤフーに買収を提案したのは今年の1月。5月に交渉が決裂するまでの間、ヤフーCEOは交渉の重要な節目に全従業員に手紙を送り、一方のマイクロソフトも買収後にヤフー従業員をつなぎとめるため15億ドルを用意していたと報じられた。
 本書では、最も重要な生産要素が機械設備から人的資本へとシフトした「ポスト産業資本主義」の時代における「M&A」とは何か、について、会社の仕組みの基本から説き起こすとともに、米国等諸外国の制度と実務、更には会社買収を巡る最新の時事なども引用し、説得力のある解説がなされている。その上で、国富の最大化という視点から、あるべき会社買収ルールを提示しており、完成度の高い仕上がりになっている。
 会社法に係る専門性の高い内容であるにも拘わらず、非常に読みやすい構成になっており、最近の日本社会のあり様に疑問を持っている一般の読者から、企業買収に関わる実務家まで、幅広い読者に受け入れられるのではないだろうか。
 注文を付けるとすれば、内容ではなくタイトルに対してかもしれない。「M&A国富論」というのは確かに本書の内容を正確に言い表していようが、出来の悪いコンサルタントの低級なノウハウ本と混同されてしまわないか。そうした装丁に惑わされず、官僚、法曹等を含め多くの読者の目に留まることを願って止まない。



2.  普通 麒麟児さん 書き込み日: 2008年11月23日

メインは第5章(と第7章)

岩井克人氏の近年の法人企業論(二階建て構造論(法人企業=モノにしてヒトという両義的存在)やポスト産業資本主義論(人的資本の重要性)をベースに、あるべき会社買収の姿(スキーム)について、具体的な立法政策にまで踏み込んだ提言の書。(叙述は平易。尤も岩井氏の考えや近時の企業買収トピックをご存知の方は、敢えて全て読まずとも具体的提言部分である第5章(と第7章)を読めば足りよう。)

該提言は基本的には米国型TOBと英国型SOAの折衷であり、極めて先見的な着想であると思うものの、私見ながら幾つか疑問を感じた。例えば、(1)対抗提案は本当に否定すべきなのか(157頁以下、今日の競争社会では同時期に同じような検討を真摯に行なっている買収者は幾らでも存在していよう)、(2)、公開買付期間が長過ぎないか(146頁、であれば「別途買付けの禁止」は廃止すべきと考える)、(3)個別最適(企業ミクロ)と全体最適(国富マクロ)の調和性について余りにも楽観的過ぎないか(108頁以下、株主が国富のことまで考えて行動し得る(行動すべきな)のか)、等々。

それにしても、「二階建て構造」をゲゼルシャフト的社会とゲマインシャフト的社会の接続と喝破した冨山和彦氏の整理はさすが(203頁)。



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