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ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版

ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版

とても良い / 口コミ件数 : 6


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クチコミReview一覧
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1.  とても良い Dr.Shigeharu Mutohさん 書き込み日: 2009年05月26日

初版翻訳本が出たころには、文系学生、院生がよく持っていたものです。御洒落のつもりかな・・・。

これは世界中でよく読まれました。早熟に生まれた多才D. R. HofsutaderのFascinating Bookです。本当は、原著か20周年記念版ではない初版翻訳本が私は好いと思いますが、“This book applies Godel's seminal contribution to modern mathematics to the study of the human mind and the development of artificial intelligence.”なる内容じゃ文系関係者には無理というもの。それなら昔のクヤシサをというわけで。本著の宣伝文“「本当は何を書いた本なのか?」という多くの読者を悩ませ楽しませてきた問いに、著者自ら答える序文を収録する。”にひかれてお読みになるのも好い事です。しかし、著者は「わたしが十五歳の頃に興味をもっていたような事柄に関心のある、十五歳の頭のいい連中」に読んでもらいたいと答えている。初めてお読みになる方は夏休みの等の数日間に集中してお読みになってごらんなさい。きっと、未知の領域から得ることが多いでしょう。難しいけれども楽しい本です。文系、理系は問いません。翻訳は素晴らしい出来です(大先輩も訳者の一人)。これは、INVITATION TO “ GODEL, ESCHER, BACH “です。この本のレビューは野暮でしょう。私自身1979年、1985年にキチン読んだからこそお薦めするのです。これも脳力になる。



2.  とても良い ガアタさん 書き込み日: 2006年06月28日

現代版「生命とは何か」

1989年のペンローズの「皇帝の新しい心」よりもちょっと前、1985年に出版された本の新版です。作者もはじめに書いているように、この本の内容を一口で説明することは出来ません。というのも、一口で説明できないから、こんなに長くてメタ構造の本になったと思われるからです。

全編を通じて、アキレスと亀の漫才とも禅問答ともいえるような対話とエッシャーの絵が挿入されています。
二部構成になっていて、第1部では、おもにゲーデルの不完全性定理を軸にさまざまな話がかかれています。といっても、バッハやエッシャーの話、それ以外のいろいろな話も登場します。
第二部は、心、意識、人工知能、コンピュータといった内容が中心になっています。ゲーデルの不完全性原理については、他の研究者の意見を紹介し、反論したりしながら、作者の考えが述べられていますが、これも一口ではどうとは言えない流れです。

不正確さを承知の上で敢えてまとめるならば:

低次の系は完全であることが可能だが出来ることが限られている。この低次の系を包括するより高次の系はこの低次の系で分からないことが分かるが、その系の高度さ故に不完全さを持つ。さらに「この高次の系」より高次の系は、「この高次の系」の不完全さを完全に出来るが、自身の不完全さがまた存在する・・・
と、複雑・高度な系は不完全にならざるを得ない。永遠に出てくるマトリョーシカの様に、終わりはない。

人工知能が本当に進歩して、考える力を持つようになったら、それはたぶんあまり役に立たない。なぜなら人間と同じで、気まぐれでミスを犯す存在だから。

というような感じを受けました。

ペンローズの「皇帝の新しい心」や「心の影」とあわせて読むと視点が異なっているので、相補的に見えてくる気がします。



3.  とても良い 蔵研也さん 書き込み日: 2008年01月03日

論理学と美、AIを考察する現代の古典

私はこの本を20年前に読み、
こんなすばらしい本が存在しえるのか!と
たいへんに強い衝撃を受けましましたが、
最近もう一度読み返してみました。

まずホフスタッターは、「この分は誤りである」という
有名なエピメニデスのパラドクスの
自己言及性からくる矛盾について説明します。

その後、形式システムとはどのようなものかを
簡単な例をあげて読者にわかりやすく説明し、
その実例について考えます。
ついで、それは数論でもおなじであることを示し、
ゲーデルの不完全性定理を納得させます。

ホフスタッターの主観では、バッハのカノンの主題の再帰性、
またエッシャーの絵に描かれるもつれた階層性についても
ゲーデルの定理と審美的に絡み合っているのです。

全編を通じて登場する、蟹とアキレス、アリクイなどの対話劇が
本書の芸術性を一層高めています。
特に対話劇「蟹のカノン」は、バッハのカノンを言語的に再構成したもので、
本書のなかでも特に美しいものです。

その後知性の本質について、またAI論について、
また意識の問題について、自己言及の立場から論じます。
なお、ホフスタッターはこの著作の後、
この意識の自己言及性の立場から
「Minds’ I」 や「I am a strange Loop」 などを書いています。

この点、無理に本書に難癖をつけるなら、
著者は人間知性が特殊だとは主張していないのですが、
AIの限界も強調するため、どっちの立場なのかあいまいな点でしょう。

この本を読まずしても、ゲーデルの定理を語ることは可能ですが、
それはゲーデルの定理を理解する人にとって、
たいへんもったいないことだと思います。
本書は哲学に興味のあるすべての現代人の必読書といえるでしょう。



4.  とても良い yokoyamaさん 書き込み日: 2006年12月02日

「知能」の本質を考察した本

「知能」の本質を考察した本である。
といっても、知能とは何かはまだ分かっていない。
そこで、知能の周辺を記述することで、知能とは何かを浮き上がらせようとしているのか。
ところで、一部に、日本語訳オリジナルのジョークが含まれているようだ。
「このジョークは英語で何と言っているのだろう」と思って原書をあたったら、ジョークではなかった。
おそらく柳瀬尚紀氏の仕業だと思う。



5.  とても良い じゃーさん 書き込み日: 2009年05月23日

脳みそをぐーるぐるとかき回されたい方にお薦め

 この本は、無限に追いつけないパラドクスで有名なアキレスと亀の2人の対話を通して、科学と芸術における類似性や矛盾、再帰、ヒトゲノムなど様々なテーマが、「不思議な環」を形成することを綴ったエッセイであり自己言及であり、ああ、とにかくぐるぐるめっこなのだ。

 ゲーデルは数学の世界で不完全性定理を唱えた人物、エッシャーはだまし絵で有名、バッハは言わずとしれた大作曲家である。
 自己が自己に言及したり言語をその言語で記述するメタ言語は、巡り巡って矛盾を生み、元に戻ってくる。二次元の中で世界を記述する絵画では、登り続けた階段が同じ場所に戻る矛盾も生まれてしまう。聴いていて美しい音楽は数学的な美しさも持ち、親和性の高い調正に転調を繰り返しながらもいつの間にか元の調に戻ることも可能である。
 情報基礎科学とは数学と芸術と音楽と様々な関係があるのである。文句なしに面白かった。さらに、おそらく英語でのだじゃれを何とか日本語に訳した苦労も忍ばれるのである。全体論と還元論の比喩に、蟻のコロニーと蟻の個体を使い、エッシャーの絵「蟻のフーガ」を挿入し、フーガの技法をもじって「フーガの蟻法」と段落名が付いている。もう、楽しいやら苦しいやら。脳みそをぐーるぐるとかき回されたい方にお薦めです。



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