とても良い / 口コミ件数 : 2件
価格 : 1,680 円
原題は「From Baghdad,with Love」。全米でベストセラーになっているのを知り、原書を買ってみたが語学力不足で読めず、邦訳をずっと待っていた。 2004年イラク。ファルージャに侵攻した米軍第三海兵隊第一大隊、通称「ラヴァ・ドッグズ」が、とある廃屋で一匹の子犬を発見した。のみにたかられ、爆弾のかすとすす、泥にまみれた小さな子犬はラヴァと名づけられ隊員たちが保護。しかしコペルマン中佐の頭のなかに常にあるのは軍規「一般命令1-A」だ。それによると種類に関わらず、家畜や野生動物をペット、マスコットにする、飼ったり世話を焼いたりするのは厳禁なのだ。もしもラヴァの存在が知れてしまったら確実に処分される。 死が隣り合わせにある日常・・きのう共に軍務についていた者が翌日はもういない世界。野犬たちが、放り出された人間の死体に群がる光景。武装勢力は犬や牛、生きた人間にさえ爆弾をつけて敵地へ送り込む。何もかもが麻痺したような戦場で、ラヴァの存在はあまりにも無邪気で無垢だ。 コペルマン中佐はラヴァをなんとかアメリカに脱出させたいと、苦心惨憺する。見ず知らずの人にメールを送り助けを請うた。名乗りを上げた人々の背景もさまざま。従軍ジャーナリスト、大手ペットフードメーカー、爆発物探知犬訓練所、などなど。こうして善意の橋が戦場であるイラクとアメリカにかかり、ラヴァは無事にアメリカへ脱出する。そこに至るまでの計画の大変さは本書を読んでいただくしかない。 海兵隊員として生と死を区別することを求められずにいた中佐にとって、ラヴァとの出会いはいやでもそれを考えずにはいられない日々をもたらした。「同じ時間を使うなら、犬より人を救うべきだったのでは?」という質問に、彼は胸のなかでこう呟いた。そもそも軍人は戦場で命を救うことなど期待されていないのだからと。死屍累々たる戦場で一匹の子犬を救った人々は、戦争によって心に負った傷を犬によって救われたかったのかも知れない。 原書ではモノクロだった写真が本書では全部カラーになっており、これは嬉しかった。
2004年イラク。 ファルージャに侵攻した米軍第三海兵隊第一大隊、通称「ラヴァ・ドッグズ」が、死を恐れることのない殺人マシンの彼らが、とある廃屋で一匹の子犬を発見した。 ファルージャの野犬たちが人間の死体をえさにしてたべているのを目撃してショックをうけた。 小さな子犬はラヴァと名づけられ隊員たちが保護。 しかしコペルマン中佐の頭のなかに常にあるのは軍規「一般命令1-A」だ。それによると種類に関わらず、家畜や野生動物をペット、マスコットにする、飼ったり世話を焼いたりするのは厳禁なのだ。もしもラヴァの存在が知れてしまったら確実に処分される。 基地に食料を求めて群がる犬や猫たちは生き埋めにするか、池に沈めて殺される。 コペルマン中佐はラヴァをなんとかアメリカに脱出させたいと、苦心する。 従軍ジャーナリスト、大手ペットフードメーカー、爆発物探知犬訓練所、などの人々とのメールを通じて助けを求める。 こうして善意の橋が戦場であるイラクとアメリカにかかり、ラヴァは無事にアメリカへ脱出する。 そこに至るまでの並大抵ではない苦労の過程が綴られる一方で、TV画面やニュースでは映し出されない生の賄賂にまみれ、瓦礫にまみれたイラクの戦地の状況がまざまざと目に浮かんでくる。 爆破探知犬としての軍用犬の最後はどうなるのか? 人間そして軍に服従し、戦うことしか知らない犬たちは引退後には一般家庭でのペットには出来ない。 つまり彼らを待っているのは安楽死・・・ショッキングな事実を始めて知った。 イラクの最前線で戦う海兵隊員も軍に服従し除隊したところで、なかなか普通の生活には戻ることは出来ない。 この1匹の無邪気な子犬を通じて、「人間らしさ」のかけらを見つけ出す隊員たち。 この書は「犬」がテーマとしてかかれて入るがその実、イラク戦争の状況と、それに関わる人間たちの心のうちが目一杯詰め込まれている。 「ラヴァー」を助け出す計画とその過程においては読者をどんどんと引き込んでいく、ページをめくる手が止まらない。