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市場リスク 暴落は必然か

市場リスク 暴落は必然か

とても良い / 口コミ件数 : 13


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1.  とても良い くろとわさん 書き込み日: 2008年06月02日

現代金融物語

・ブラックマンデー前にプットオプションを買い、見事ヤングリタイヤしたトレーダー
・日本の不況時、日本国債の取引等で20億ドル稼いだソロモン日本支店
・ロシア危機寸前に、ロシア国債とルーブルから脱出したソロモン
・流動性の無い優先株をUBSに買わせ、大損させた日本の金融機関
・インターネットバブル時にバリュー投資を貫き、破綻したタイガー・マネジメント

実にさまざま悲喜劇が本書で展開され、さながら現代金融物語である。
また、投資のヒントが満載であり、読み終わるのが勿体無く感じた。



2.  とても良い コンタナトスさん 書き込み日: 2008年08月16日

リスク・暴落・バブルなどを考えるのに良い本。ただし、金融に関する基本的な用語は知っていないと読み通せない。

学問と実務の両方を理解している著者が、著者自身のすぐ近くで起きた暴落について述べている本。理論そのものと、その理論を用いる人々の両方についての多くの含蓄のある本。投資家や金融関係者のみならず、不確実なリスクに晒されている人が読んでおくべき良書。とはいえ、金融に関する基本的な用語やメカニズムは理解していないと読み通せない。そこが、万人向きではなく、残念である。



3.  とても良い 是富金蔵さん 書き込み日: 2008年07月01日

読み物としてもおもしろい

ブラックマンデーのLORのポートフォリオ・インシュアランスからLTCMまで幅広い事例を扱っています。
読み物としてもとても興味深く読めました。
とにかくシンプルにという考えが流石という感じでした。
コキブリとヘッジファンドという章のタイトルはカッコ悪いですが、まさにその通りだと思いました。



4.  とても良い 白河夜舟さん 書き込み日: 2008年10月23日

巨大な災厄をもたらした金融イノベーション

邦訳題名が的外れだというのではないが、原題の”A Demon of our own Design” は「俺たちが魂を入れた魔神」、つまり人間ファウストが契約を結んだ悪魔を思わせる。これが投資世界にかかわるものであることを知らせるために副題は「マーケット、ヘッジファンド、そして金融イノべーションの災厄」となっている。「魔神」とはこの「災厄」の元凶であり、著者によればその災厄は現状ではほとんど避けがたい。それが今や現実のものになってしまったことはわれわれが身をもって知るところである。
それではこの魔神の正体は何か。それは一言でいえば「市場の複雑性」(高度にレバレッジを組み込んだ多種多様な金融商品の市場)とその市場内部あるいは相互間の「密結合」状態(本来はプロセスの構成要素が緊密に連携している状態を指すエンジニアリング用語)である。これだけではまだ抽象的にすぎるかも知れないが、ここから現実に起きている事態、つまり各種のデリバティブズの流通とそれが招来するシステミック・リスクに思いを及ばせることは可能だろう。著者は「金融商品を単純化し、レバレッジを減らすことが、金融市場の制度設計を修正する処方箋である」という。(それは正しい結論だと思われるが、07年に出版された本書が現下の危機が不可避だったと主張しているわけではない。)
本書は幾つもの投資銀行でリスク・マネジメントの実務に従い、半ばは学者でもある著者の実践と研鑽にもとづいた力作である。ここに紹介した結論に到達する以前に描かれた80年代以降の投資銀行各行の浮き沈みはこの世界に渦巻く欲望の強烈さと幾多の大銀行がそれに立ち向かい、危うく立ち直った、リスクの巨大さを改めて思わせる。賢人賢者と讃えられる投資世界の大御所たちがITバブルでは一敗地にまみれていることも興味をそそる。著者はヘッジファンドとは定義不能と考えているようである。たとえそうでないとしてもその定義には明らかに手を焼いている。そうとすればリスクを対象とする本書を細部まで理解できなくても恥とするには当たらない。



5.  とても良い しおぴーさん 書き込み日: 2009年05月05日

完全市場のもろさを暴露

原題は"A Demon of our own Design"「我々が創りし悪魔」で、自分たちがこの「不安定な金融マーケット」を創ってしまったことについての、懺悔の意味が込められているのでは。著者が働いてきた投資銀行、ヘッジファンドという少し前の最先端、サブプライムショック後の今では「衰退していく恐竜」にもたとえられる業界モノ。その変遷と彼らが巻き起こした金融イノベーション、そしてその弊害として頻発するようになった「暴落」リスクについて。マーケットの急激な変動が過度のレバレッジによって発生することは他著者も指摘している通り。著者は根本原因のレバレッジそのものの規制を主張している。

逆に空売り規制などのよくある「市場に対する規制」には一貫して反対の態度。というのも、規制を作れば対応するシステムがさらに複雑になり、思いもかけぬところで暴落リスクが顕在化する、というもの。

量子力学やカオス理論、ネットワーク理論、生物学などを援用し、
「全てのリスクを見通すことはできない」
「密結合したシステムは脆弱」
「過度の最適化は想定外リスクに対して無力」
という主張はおっしゃる通りで、説得力が高い。

マーケットが理想とした「情報が瞬時でいきわたる完全効率市場」は、システムとして非常にもろいということは大きな皮肉。金融システムはグローバル化することにより世界のマーケットを密結合に変えてしまい、NYでの出来事がロンドン、東京、そして新興国マーケットに多大な影響を及ぼすことになった。それを粗結合に戻すことは「情報の流通を遮る」ことになり、大きな困難が伴うだろう。

とすると、彼の主張する
「アクセラレータとしてのレバレッジを強く規制すること」
は非常に的を射ているのでは。
#それだけでは弱いかもしれないが、他に選択肢がない、という意味で。
訳は非常にこなれていてレベルが高い。金融用語もきっちり理解して訳していることがよくわかる。他の翻訳ものも、このくらいのレベルでがんばって欲しいなあと思う。



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