良い / 口コミ件数 : 70件
価格 : 1,680 円
学校を卒業してから約二十年、成果主義と歩合制の会社で生きてきた。脱落せずにここまで生き抜いてこれたのだから、決して敗者ではないと思う。その私が自信を持って言う。著者は正しい。 サラリーマンは多少(もちろん安すぎるのは論外)給料が安いぐらいでは会社は辞めない。だが仕事がつまらないと、すぐ辞めてしまうものである。その意味で「頑張った人には仕事の面白さで報いるべき」というのは、まさに至言。別に著者がこれまでの年功制を無条件に絶賛しているわけでないことは、多少の読解力を持つ人間ならわかるはずだ。著者はここで「完璧なあるべきモデル」を描ききっているわけではない。しかし、成果主義よりは人間の本質に近い「あるべき方向」をこの本で示しているのだ。これだけでも十分に価値があると思う。 成果主義の会社で働く人に質問。何でこんなに皆が認める「嫌な奴」が上に行くのだ、と思ったことはありませんか?成果主義の勝者は、社内で力のある上司に気に入られるか否かがすべてである。数字で結果が出る営業であっても、売る商品も対象顧客も誰もが全く同じということはありえない。そういう意味で本当に客観的な指標などこの世には存在しない。過剰な成果主義は、かえって属人的かつ原始的なものだ。その意味をこの本はじっくりと解き明かしてくれる。
「学者・エコノミストが選んだ2004年ベスト経済書」という帯のコピーがあるが、「学者・エコノミスト」の部分に反発し(私にとってつまらない本だと思っていた)、やり過ごしていた1冊です。
しかし、これは大きな間違いでした。すごく説得力のある1冊です。なぜ「成果主義」がダメ日本にとって)ということがこの本を読めばストンと腹に落ちました。言葉の定義から、情緒的主張を展開するだけの類書とは一線を画しています。必須の一冊です。
著者が指摘するように、経営にはブームがある。 正しいか正しくないかを見抜けない経営者は、浮き草のように流される。 私が勤める会社でもご多分に漏れず、ROE、時価会計、シェアードサービス、 コンプライアンス、成果主義…等々、完全にブームに乗ってきた。 どれもひっそりと消えたが、成果主義だけは"実害"を残してまだ蔓延っている。 社員間の雰囲気が悪くなり、特に有能な人の士気が下がっている。 成果を残せない人が会社にしがみつき、優秀な人が辞めていく。 真に成果主義を謳うなら、必然的に億単位の報酬まで用意すべきであろう。 1千万、2千万の世界で数字を合わせをしていては、単なる人件費削減である。 成果主義導入に失望し、真っ先に辞めた超優秀な友人が、 「こんな端金欲しさに、頑張ったんじゃない」と言っていたが、 成果を上げて、それなりの報酬を得た人にも虚しさがつきまとうなら、害悪そのものである。 本書にあるように、「頑張った人には仕事の面白さで報いるべき」だ。 「人は人の評価を正確にはできない」という前提で、人事制度を構築しなくてはならない。 本書は、目の覚める良書である。
企業に働くものとして本書の問題提起は現場の感覚に合致する。成果主義に頼らなくとも、適切な人材選別を行ってきたとの記述には全く同感です。プロ野球の年俸制とのアナロジーで論じている方がいらっしゃるが、成果主義の一つの問題は成果の計測が困難な業務部門が多いことにあることを見落としておられるようで、全くナンセンス。また、成果主義による賃金制度を、労務費削減のツールとして論じられている方もいらっしゃるが、本書の問題提起とは論点がずれている。成果主義の導入理由を「従業員のモチベーションを高めるため」「労務費削減のため」どちらと捉えるかということで、多くの企業では建前は前者、本音は後者と思われるが、それが広く納得を得られるものとは思えない。
団塊ジュニアが定年を迎えるころには賃金上昇カーブが復活しているのではないか。兎角今の日本企業(経営者)は、外資系コンサルタントを重用しすぎるきらいがあるが、彼らの意見は意見として、肝要なのは、彼らの問題提起を鵜呑みにせず、自分の頭で考え抜くことではないか。自分を取り巻く状況は自分が一番良くわかるはずである。
要するに「成果主義」はみなダメなのである―こう断定する本書については、既に様々な書評が書かれており、レビュアーたちの賛否が分かれ、毀誉褒貶も確かに激しい。 著者の見解を謬見とするか、卓見とするか…。しかし、「輸入学問」としての経営‘学’、経営‘思想’の日本における右顧左眄ぶりなどは、本書でよく理解出来る。 本書を「啓蒙書」と想到する私は、掛け値なしに著者の所思に共鳴する。全くもって「異議なし!」なのだ。そして我々は、もう少し「日本的経営(※)」に対する自信を持っても良いのではなかろうか…。 ※ 「終身雇用制」という日本型雇用保障に関しては、武田晴人氏の『日本人の経済観念』(岩波書店、1999年)第4章の論述が大変参考になる。