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小倉昌男 経営学

小倉昌男 経営学

とても良い / 口コミ件数 : 45


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1.  とても良い サラリーマン太陽さん 書き込み日: 2006年03月03日

感動的です。

この手の経営に関する本を読んで、『面白い』とか『学べた』と思ったことはありましたが、感動したのは初めてです。
本書に込められたメッセージは非常に解りやすくて、本質的な正論は難解ではなくシンプルなのだと再認識しました。世の中で間違っているようでまかり通っている事はいくつもあると思いますが、間違いは間違い、正しい事こそ正しいのだと安堵感を覚えます。
思わずヤマト運輸に転職したくなりますので、上司と喧嘩した日は読まない方がいいかもしれません。



2.  とても良い afpeaceさん 書き込み日: 2006年08月27日

「地域社会への貢献」を企業目的の本音に

 日本の宅急便史は昭和五十一(一九七六)年に遡る。このサービスと市場を創造・開拓、今日に至るまで成長させ、かつ自社ヤマト運輸の「クロネコヤマトの宅急便」をブランドとして定着させた故・小倉昌男氏。彼の「経営学」に関心を覚えるのは、第一に宅急便という業態とサービスに一消費者として馴染み深いからです。運転手が側道停止時に左扉から乗降する便宜を計った改良型トラック、集荷・配達に訪れる好印象のセールス・ドライバー(SD)、昨日送ったとの連絡を親元から受けるや今日指定時間通りに配達される荷物…。本著「経営学」は、普段消費者の立場から身近に接触し観察するヤマト運輸について、それら個々のサービス改善・向上を司った背後の経営者哲学と、その適用の過程・結果を説明してくれます。第二は、巻末にある「経営リーダー10の条件」にもある「高い倫理観」と「論理的思考」です。氏は“企業の存在意義は…地域社会に有用な財やサービスを提供し、併せて住民を多数雇用して生活の基盤を支えることに尽きる”と言明します。資金繰りに苦悶し利潤追求に時間とエネルギーを奪われるのは、企業経営者として忌避できぬ事実。しかし“利益は手段であり、企業活動の結果。”氏は「高い倫理観」に根ざし“社格”と“社徳”を備え地域社会に貢献する、という理念の体現自体を、企業目的の本音に据え気骨をもって生き抜いていたのです。“サービスが先、利益は後”と繰返し論及していることと相まって、全編を通じてその信条を証していることに、私は本書の一つの大きな意義を見出しました。またその目的と手段・結果の主体と客体関係も、「論理的思考」関係なのです。第三は、氏の経営信条と業績は、日本が世界に紹介して誇りうる一つの好事例と思うからです。素朴でそれでいて入念に著された価値ある一冊です。



3.  とても良い Jabbさん 書き込み日: 2007年04月04日

宅急便サービスの革命

どの業界においても、革命を起こした方は素晴らしいと思います。私の周囲には、小倉氏を評価する方がとても多いようで。私は人に薦められて本書を手に取りました。読みかけの状態ながらも「あの著書はいいですね!」と興奮して周囲に言っていたら、「何をいまさら・・」という表情をされながらも、「そうでしょう。ああいう人が流通を変えてきたんだよ」と相手から更なる熱弁を振るわれたりすることもありました。

このときは軽くショックを受けました。小倉さんの功績はコンセンサスを得ていて、ビジネスの世界で常識なのかと。私の無知と、属する環境もありますが・・。今のまだ未熟な状態でこの本を紹介されて良かったと思います。今後の糧に充分に活用したいと思います。

本著は、とてもシンプルにまとめられた「経営実践禄」です。私に本著を薦めてくださった方は、「第15章の7」を念頭に置かれていたのだと思います。私の職種を考慮したうえで、会社とトップの露出についての示唆をいただきました。「第15章の7」は私の課題そのものを突いていたので、改めて自分の職種を極めようと思いました。

トップの大胆な決断が会社組織を変えていくドラマチックな状態を、渦中にいたはずなのに客観的に観ている視点に感心します。社会的にスゴイことをしているのにも関わらず、小倉氏の語りは実直で余分な修飾語がなく、淡々と筋を語っていきます。人間は自分の功績を誇張してしまうのに、この方の謙虚さには脱帽です。

本当にシンプルな経営書です。企業として、第一に「生活者に何を提供することができるのか」という観点に立っていて、はっとさせられることが沢山です。生活者が望むことに応えるサービスの提供に、ひたすら応える姿勢は素晴らしい。経営者としても、世襲でありながらも引き際の鮮やかさが印象的です。

以下、私自身の体験を交えての感想を・・

始めの方に述べられていますが、私の実家はヤマト運輸の「取次店制度」の恩恵を受けていました。だから、思い入れのあるシステムなのです、クロネコヤマトさんは。過疎地で取次店の業務拡大をするのが遅かった地域だと思いますが、毎日毎日、おおよそ決まった時間にヤマトのセールスドライバーさんが集荷に来てくださいました。幼い頃に店番をしていて、荷物が毎日あるわけでもないのに、毎日来てくれるのか不思議で仕方がありませんでした。とてもサワヤカなSDさんだったのですが、彼の仕事が腑に落ちませんでした。私が、利益というものについて、ぼんやりと疑問を持った初めての事例だったのです。「毎日、1日2回も巡回してて、無駄じゃないの?」と思いました。

一方、荷物を持ち込んだ近所の方が「○○に住む息子(娘)に、米を送ってあげるのよ〜」「今年はたくさん山菜が採れたからね〜」などと話し込んでいくのを見聞きしていると、宅配便は家族の繋がりを担うものなんだなぁと感じていました。過疎地にとって翌日配達の宅配便は、とても大切なものだったのです。田舎の人間にとっては、娯楽施設もなく、子どもなどの家族のことを考えるのが一番の楽しみでした。あの頃は、テレビチャンネルも少なくて、ネットもなかったですし。

私自身も、田舎を出てからずいぶん宅急便のお世話になりました。ありがたかったなあ。

・・などということを思いながら本書を読むと「小倉昌男さん、ありがとう!」という気持ちでいっぱいになります。過疎地にこれほどのインフラを作り上げるのは、やっぱり並大抵ではなかったと思います。個人宅配サービスに賭ける小倉さんの決意が伝わってきて感激です。今では、あの地域において「クロネコヤマト」はなくてはならないサービスになっています。



4.  とても良い mkuさん 書き込み日: 2003年05月08日

経営の真実と戦略の本質を学べる一冊

 「企業の目的は利益ではなく、永続することにある」と著者の小倉はこの本で述べている。

 この本は、一弱小運送業者にすぎなかったヤマト運輸が、宅急便というそれまで日本に存在しなかった画期的なビジネスを立ち上げ、そしてそれを普及させたプロセスについて、また、そのプロセスにおいてどのような思考が展開されたのかについて、当事者である小倉昌男が論理も明快に語る大変貴重な一冊である。

 だれもが「儲かる訳がない」と思って手をつけなかった宅配ビジネスに対し、「儲かる仕組みを作れば、世のためになる」と考え、そのビジネスモデルを構築した小倉の経営者としての優れたビジョンと、それを実現する能力、情熱は、読む者の心を打つ。

 それと同時に、読む中から戦略の本質とはビジョンとその実現にあるのだという、ビジネスの根本的な原理について学ぶこともできる。著者の小倉はきわめて論理的であり、テキストとしても優れていると言えるだろう。

 これは、タイトルにあるように、まさに実学としての『経営学』そのものであり、他の経営者が自分の実績を自慢するために書いた凡百の「ビジネス書」とは全く異なる次元にある。
 経営の真実と戦略の本質を学びたい方は、是非手に取って頂きたい一冊だ。



5.  とても良い ダチョウ平雅作さん 書き込み日: 2005年07月17日

ノブレス・オブリージュの体現者、「義憤の志士」を追悼して

 本書は、ヤマト運輸において氏が何を見て何を学び、如何に考えを得てきたのかを示す「第二創業」および宅急便という「イノベーション」のケーススタディと言える。
 また、巻末に認められらた「経営リーダー10の条件」は氏の経営哲学を表象している。曰く「論理的思考」「時代の風を読む」「戦略的思考」「攻めの経営」「行政に頼らぬ自立の精神」「政治家に頼るな」「マスコミとの良い関係」「明るい性格」「身銭を切ること」「高い倫理観」の10である。

 この時に臨んで、氏が世に問い・具現化した「宅急便」が我々の生活にもたらした利便を振り返って再考してみるべきだし、追随した他社の人々は尚更であり、これが生まれた経緯と実践を見つめ、我々自身の行動において生かすべきことは何かを真摯に問うてみる価値がある。
 文面から迫り来る氏の経営者像は、決してビジョナリストではないし元来のオプティミストではない。むしろ価値観と信条の人である。この良心に触れた時、彼に眠る強大なマグマが火柱を上げるのだ。「義憤の志士」という表現があるなら、それが一番適切かもしれない。三越に対する義憤、運輸省に対する義憤、郵政・郵便局への義憤、また、パイを守ることに終始しパイを拡大することを考えない視野狭窄な従業員の集団思考(グループ・シンク・バイアス)への義憤である。
 一方、彼の企業家としての行動態度の根底には「ジョブ・クリエイション」があるのだと強く思う。長距離・大量輸送を華としてきたドライバー達に、家庭の主婦からの「ありがとう」の言葉を与えた。今では、ヤマト運輸に働く人の数は、わが国屈指の域にある。時として「選択と集中」は重要であるが、これを笠に着てヒトキリをするのでなく、働く者に新たな仕事を創り出すことが、氏の戦略的思考の本質なのである。
また、彼のアイデア借用の姿勢は極めて徹底している。牛丼、JALパックから、猿真似のエビゴーネンではなく本質をプリコラージュしていくのだ。「新しいアイデアとは新しい場所に置いた旧いアイデアである」とは良く言われるが、彼が生んだイノベーションの本質もここにある。
 最後に、人間の八徳には「仁」と「義」がある。仁は最高の徳とされるが、義を重んじた彼の行動は、結果、仁に至ったのだと思う。また、昨今のCSR「ブーム」とは次元の違うノブレス・オブリージュ(道徳的義務感)を胸にし、正すべきは正すを信条とした希代の企業家が、自らの経営の実践において錬磨し昇華してきたフィロソフィーが、この一冊に凝縮している。伊藤肇曰くの「精神の貴族性」、「第5水準のリーダーシップ」(『ビジョナリーカンパニー2』)を持った経営者なのだ。昭和の経営者の巨星の最期の時に際して、本書および『経営はロマンだ!』から益々そう感じるのである。

 巨星の逝去に当りそのご冥福を祈り、しかし、彼が事上磨錬のなかで昇華したビジネスに対する姿勢がひとつのロール・モデルとしてこれからも模範として受け継がれていくことは疑う余地がない。



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