とても良い / 口コミ件数 : 13件
価格 : 2,100 円
ある社会(文明)が崩壊するのか、存続できるのか? 時空を超えた世界各地の社会の事例を選択し、これを考察している。著者はもともと科学者、生物学者であり、人文系学者の著作とは異なり、あたかもよく計画された科学的実験の結果と考察を見るようである。 上巻では、イースター島、マヤ、ノルウェー領グリーンランドなどの崩壊が語られる。イースター島の場合は最もシンプルな実験であり、考察がしやすい。イースター島という「閉じられた系」に入り込んだ人々を崩壊に至るまでの経過をじっと観察したようなものである。 そして、いくつかの存続を可能にした社会(この中には江戸時代の日本が含まれるが)が語られる。さらには現代に目を移し、ルワンダの悲劇や中国、オーストラリアなどの社会の問題が考察がなされる。 社会が存続していくには施政者の役割も無視できないが、人口の増加に関するマルサス理論は、現在でも厳然たる事実である。中国の強引な一人っ子政策などは、もしかしたら将来、賞賛されることになるかもかもしれない。 本書では、以上の考察を踏まえて地球的規模の環境破壊、地球温暖化の問題などについても触れられる。しかし、将来に向けて処方箋を示すことは著者の主目的ではないだろう。まずは壮大なロマンとして本書を楽しみたい。
この本を上巻だけでやめてしまった人は、是非、下巻も読んで欲しいと思います。たしかにボリュームはありますが、もともと原書は1冊の本なのですから。内容については他のかたのレビューや出版社のレビューに譲りますが、とにかく、われわれに静かな警告を与えてくれる書物→現代人の必読書、といえるでしょう。もっと早くこういう本に出会いたかった!
これまでの教科書では、文明の盛衰については社会の時間に政治・経済学的に 語られることが多かったため、文明の存在する環境は、現在とあまり変わらない、 ある程度不変のものという前提のもとに構築されていた。 そもそも文明について考えるのが、文系の学者さんが多いためであろう。 そうすると、文明を築き滅ぼす主体はあくまで人間であって、 環境は従属するものということになってしまう。 しかし、本書は、これまでの文系の視点だけではなく、そこに所謂理系の視点を 持ち込むことによって、環境との相互作用により文明は盛衰することを 見事に示している。 そのように考えれば、砂漠などの現在は不毛の地に過去の大文明があった ことの意味が分かってくる。 不毛の地に文明が発達したのではなく、文明の発達による環境破壊によって 不毛の地になってしまったのである。 今語られる環境問題にしても、今になって急に深刻になった温暖化やエネルギー問題だけに 単純化することはできない。 地域的な環境問題というのは、人類文明が始まってから続いているのであり、 現代ではそれが地域だけの問題ではなく、地球全体の問題になってきた という視点で、考え直す必要があろう。 地域環境の破壊により崩壊してきた地域文明を考えると、全地球環境の破壊に直面している、 現代地球文明は、まさにグローバルな崩壊の危機に直面しているといえる。 現代文明の行く末を考える上で欠かすことのできない好著といえる。
下巻は、それぞれの国の都合による文明の姿が描かれます。自分たちさえよければと言うご都合主義が見え隠れします。 誰も「ガイア」としての地球に目を向けず、自国の利益にのみ執着しているように感じます。 出生率が下がり続けている日本は、何をせずとも滅びに向かっているのかもしれません。
克明な各文明の分析については他の方のレビューに譲り、下巻の巻末で持続可能な社会への具体的な処方箋を記述していることを特記したい。 製品選択や投票行動、政府や議員への資源管理への要請、もっと身近なところでは「環境保全なんてやはり建前」という知人に「いや、もうそうは言ってられない状況だろう」とこたえることでも事態は変わりうる。我々が黙認し続ければ、事態は破滅的になるだろうし、何かを始めることで回避できる可能性は高まるだろう。