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銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

とても良い / 口コミ件数 : 66


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1.  とても良い 哲学する河童さん 書き込み日: 2007年04月16日

もっと早く読めばよかった・・・


アステカやインカ帝国がヨーロッパ人に征服されたという歴史的な事実は有名だけれども、なぜその逆では無かったのか、と考えた人はあんまりいないと思う。
つまり、なぜインカ帝国の方がヨーロッパを征服することにならなかったのか、ということ。

人種間に生物学的な差異があるから(ヨーロッパ人の方が優れていたから)、ヨーロッパ人の方が征服できたのだという考え方は、簡単の答えが出るのかもしれないが、やはりどう考えても愚かでしかないし、もちろんこの本の著者ジャレド・ダイアモンドもそんなことは言わない。著者自身が本書を次のように要約している。

「歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない。」

また、タイトルである「銃・病原菌・鉄」はヨーロッパ人が他の大陸を征服できた直接の要因を凝縮して表現したものであるが、著者の考察はそれだけではなく、なぜそれらを持つ者と持たざる者に分かれたのか(なぜ大陸間でこれほど不均衡があるのか)まで示し、そのことが直接的な要因である「銃・病原菌・鉄」とどのような関係にあるのか、までも示している。

扱う内容が歴史なので、著者も歴史家とかなのかというとそうではなく、理系も理系。
歴史と科学が結びつくと、こんなにも面白いのかと思わせられる。どこを読んでも面白いことばーーーーーっかり書いてある。ライオンの肉はおいしいらしい・・・

いきなりアステカやインカの話から始まるのではなく、1万3000年前の話から詳しくしてくれるので、学校の歴史の時間に習ったことを忘れている人でも大丈夫(笑)
と、言うよりも、学校の歴史の時間をつまらないと感じた人ほど読んでみて欲しいなあと思う。

人種間に知的能力の差異があると信じていたり、IQが高ければ頭が良いんだと思い込んでいたりする人は、是非一度読んで欲しい。

☆200個つけても足りない・・・



2.  とても良い blackstarさん 書き込み日: 2006年08月18日

圧倒される知の冒険

 高校時代に学んだ世界史の教科書の冒頭には必ず「四大文明は全て大河のそばで発展した。これは治水灌漑が大規模な土木工事を必要とし、それには複雑な政治形態を持つ大集団がなければならなかったから」といった説明がなされていたように思う。またヨーロッパ人がなぜ他の世界を支配するようになったか?という問いには「科学技術の進歩、特に銃火器の大量生産」が挙げられていた。その裏には「だから日本人は他のアジア人に先駆けて豊かな社会を築きあげることができた」という優越感と、西欧崇拝主義が見え隠れしていたように思う。

 本書は生理学・生物学をベースとしながらも文化人類学のフィールドワークを豊富に行う、正に学際的な知の巨人といえる、ダイアモンド博士の手による「理科系の理論で再構築した人類史」である。先の四大文明の起源についても、別の観点から説き起こし、野生種の植物を栽培でき、大型哺乳類を家畜化できる環境にあった地域で人口の稠密(ちゅうみつ)化が起こり、人口爆発が起こったゆえ社会集団が複雑な政治制度を持つにいたったという見方を示す。また南北のアメリカ先住民はヨーロッパ人の持つ銃によって滅ぼされたとか、白人を神と勘違いしたという説が今まで素朴に信じられてきたが、実は武器よりも(ヨーロッパ人が抗体を持っていた)病原菌によって亡くなった先住民の方が多かったという例も挙げている。
 
 アジアの中でいち早く西洋文明を取り入れた日本人は、今まで「白人優越主義」に捕らわれがちだった。しかし、本書冒頭で博士は、「平均的ニューギニア人は、平均的白人より優秀」と言う。なぜなら厳しい環境の中で生きのびていく知恵を身につけているから。そして「人種的優越」の愚かさを証明していく。西欧の優勢は長い人類史の中ではわずかな割合でしかない。

 本書の説もまたひとつの仮説ではあるが、圧倒的な実例に基づく理論は非常に説得力を持つ。上下巻の大著だが知的興奮を約束する良書。 



3.  とても良い スイート・サイエンスさん 書き込み日: 2006年10月15日

文明発展の背景を解き明かす力作


インカ皇帝は何故ピサロ率いるたった168人のスペイン部隊に敗れてしまったのか。また、そもそも何故、アメリカ大陸を征服したのは旧大陸(ユーラシア大陸)のヨーロッパ人で、その逆ではなかったのか。オーストラリア原住民のアボリジニは何故石器時代から抜け出せなかったのか。アフリカは人類発祥の地であるにも関わらず何故暗黒大陸に陥ってしまったのか。

これらは歴史を勉強した人は誰でも感じたことがある疑問だろう。そして一般的な結論は白色人種がその他の人種より優秀だからといった人種間の優位性に落ち着くことが多い。正直言って自分の中にもモンゴロイドは手先が器用で頭もいいといった先入観があるのは事実だ。

しかしながら本書では文明発展の決定要素は人種ではなく環境だと結論付ける。文明が最も発展したユーラシア大陸とその他の3大陸における、人間の食料となる植物、家畜となる大型動物の分布状況の差と、東西に広がるユーラシア大陸と南北に広がるアフリカ・アメリカ大陸の地相が、文明の発展にいかに決定的な影響を与えたのかを、豊富な事例を用いて判りやすく説明してくれる。

約400頁の本書には人類の歴史に関して、中学・高校の教科書では習った記憶ことがない情報がこれでもかと詰め込まれている。例えばタイトルのGERMS(病原菌)とは何を意味するのかと疑問であったが、文明の発展と病原菌が密接に関係していると知って驚いた。

普段はこの手のアカデミックな本は滅多に読まないが、本書に関しては読後に知識欲が満たされた充実感があり、大ヒットな一冊であった。



4.  とても良い アブラさん 書き込み日: 2008年04月20日

壮大な知的冒険

なぜユーラシア大陸の文明が栄え、アメリカ大陸(ネイティブアメリカン)の文明を滅ぼしたのか。
そのキーワードとなるのが銃・病原菌・鉄である。
ではなぜユーラシア大陸でそれらが発展し、アメリカ大陸では独自に発展しなかったのか。
本書ではその理由を大胆な仮説で爽快に示している。

その理由はいわれてみればたしかにそうだなとうなずけるものであるし、実際、なんとなく
その理由を感じ取っていた人も少なくないと思う。ではなぜこの本が魅力的なのか。
著者は専門分野にとらわれない幅広い教養を持っている。その学際的な知識が絶妙に
絡み合い、人類の長い歴史を描いていく様子がとてもエキサイティングなのだ。

これからの学問は学際的な知識が必要とされていると言われている。
この本こそまさにそれであり、新しい時代を切り開く良書である。



5.  とても良い つぼすけさん 書き込み日: 2006年04月12日

すごい本

世界の富が今のように偏って存在するようになったのはなぜか?
支配する人と支配される人にわかれてしまった原因はなんなのか?
そのような壮大な問いに答えを提供しようとしている、すごい本だ。

かといって小難しい話ばかりが続くのではなく、豊富な実例や統計を元にした、一般の読者にもわかりやすくてなるほどと思わせるような語り口なんである。

タイトルの3つは、スペイン人がインカ帝国を征服できた直接の原因を凝縮してあらわしたものだ。

ヨーロッパ人がインカ帝国を征服できた直接の要因は銃や病原菌や鉄ということになっているが、ではなぜヨーロッパの人間が他の大陸の人間より先にそれらを手に入れられたのか?
その究極の要因を、ミステリーの謎解きをするように、丹念に解き明かしていく様にはかなり興奮させられます。

この問いに対する著者の答えを要約すると
「人種的・生物学的な違いが要因なのではなく、気候や、栽培化・家畜化可能な動植物の分布や、大陸の広がる方向などによる、環境の違いがもたらしたものである。」
というもの。

これを読んだからといって、現実の地域格差をなくすヒントが得られるわけではないかもしれない。
この本の主張も著者による仮説であって、非常に説得力はあるけど丸呑みして信じてしまうのもどうかとは思う。
ただ、人種差別的な考え方を知らずのうちにしてしまっている時にこの本の主張を思い出せるのは、精神衛生上非常によいことのような気がする。

まあそういうことを抜きにしても、とにかくこの本を読んでいると楽しい。

「おれはすごいことを知ってしまった・・・!」

みたいな錯覚(?)が味わえます(笑)

おすすめです。



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