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戦国15大合戦の真相―武将たちはどう戦ったか (平凡社新書)

戦国15大合戦の真相―武将たちはどう戦ったか (平凡社新書)

良い / 口コミ件数 : 6


価格 : 798 円





クチコミReview一覧
評価の高い順 評価の低い順 書き込み日の新しい順
口コミ件数:6 1 2 次ページ
1.  とても良い アダム・スミスさん 書き込み日: 2003年09月29日

歴史を複眼的に見ることを教えられる

戦国、江戸時代の戦争・戦闘について、通説に一々異論を唱えた本である。著者は防衛庁や警察に勤務した経験があるようで、戦闘のいわばプロから見た異論を唱えている。よく「歴史から学ぶ」と言われ、家康や信長の戦争指導は経営にも応用できるなどと言われる。しかし、この本を読むと、彼らの勝利も偶然の所産であり、その後「勝者が歴史を作る」の法則に従って、英雄視された面があることが分かり、改めて「学ぶべき歴史」とは何かを考えさせられる。本書で不満な点は、通説に疑問は投げかけるものの、自分の解釈を、詳しくは述べていない点である。史料の制約などもあろうが、次には、仮説でも良いから、鈴木説の詳細な展開を期待したい。



2.  とても良い tashkentさん 書き込み日: 2003年10月20日

再発見!!

戦国時代から江戸時代にかけての、よく知られている合戦のお話しを取り上げているが、散々世に問われているものとは一線を画している。必ずしもロマンチックなものではない、“時代なりのリアリズム(常識)”を掘り下げてみようというような内容である。

通説について「一寸待ってくれ…本当にそうだろうか?」と問い掛けている。何処となく、SFやアニメや特撮の物語の設定を科学知識で突っ込むような類の話しに通じるかもしれない…
非常に痛快で、列車の旅の最中も含めて、一気に読んだ一冊である…



3.  良い かっちゃんさん 書き込み日: 2004年07月04日

戦国の戦いの実情は時代小説のようにカッコよくはない

 星3つを標準とした場合、「○○の真相」と言いながらも、必ずしも真相に迫りきっていないもどかしさもあるように思うのと、時折「運」や「ツキ」で説明するところもあり減点1。

 しかし従来の定説や合戦譚を覆した解釈は興味深く、戦国の敗者として有名な明智光秀や石田三成に同情ともいうべき評価を与え、戦国の英雄とされる信長、秀吉とりわけ家康に対して厳しい評価をする姿勢には新鮮さを感じるので加点2。

 著者がなぜこうした姿勢をとるのかということに多少関係していると思うが、あとがきに紀州雑賀国人衆の末裔であるとの記述...このコメントが楽しいのでおまけで1点。



4.  良い pph1さん 書き込み日: 2004年10月23日

実際の戦争とは、結構地味なものなのだ。

昔の戦争というのは、その多くが古今東西、後世の者の想像で書かれている場合が多い。最大の原因として、信頼できる資料の不足がある。実際に戦争を指揮したものがその経緯を書き残すことがきわめて少なく、だいたい周辺の文筆家が戦闘の参加者からあれこれ聞いて書くのだが、参加者は自分の武功を強調するので、中には失敗が成功に転換してしまうこともある。実際戦闘シーンでは指揮官が自分の位置も確認できないほど混乱する場合も多く、戦闘全体を把握するのは、個々に独立した指揮をとれる師団が発達し、参謀本部が確立された近代にならなければほとんど不可能だった。というわけで、合戦話などというものは様々な尾ひれがつき面白く事件性を高めて宣伝されることになる。信長や秀吉や家康などの勝者は常に天才で全てを把握し、計算どおり勝つことになり、光秀や三成など敗者は失敗を重ね墓穴を掘り滅んでいく・・本書はこういった因果応報論的なありきたりな合戦話でない。本書を読めば、信長は戦術的に新しいものは何も生み出していない事。秀吉は将兵の命を生かそうと水攻めを行ったのではない事。家康の活躍は、ほとんど江戸期の御用学者の創造である事。光秀や三成は勝者に匹敵する(あるいはそれ以上にベストをつくし)最上の作戦を行った。ただ偶然、運にめぐまれなかっただけである事、信玄や謙信の単なる領土境界線をめぐる地味な戦いも、男のロマンなどなかった事などがわかってくる。実際、原典にあたって歴史を調べていくと、本当に計算どおり勝った真の名将などいるのだろうかとも思う。アレクサンドロス、ハンニバル、カエサル、ジンギスカン、ナポレオン、リー、ロンメル、パットンなど世界戦史で最高に神話化した戦歴を持つ連中でさえ、たまたま運にめぐまれて勝った場合が多いのだから、まして信長や義経クラスが軍事的天才であるわけはないのは当然。戦争とは結構地味なものなのだ。新書版ではあるが納得させる解説になっている。



5.  良い ともぱぱさん 書き込み日: 2008年01月04日

手際よくまとめられた、戦国時代の有名合戦に関する通説論破

本書では桶狭間の戦いから大阪冬・夏の陣まで、戦国時代から選ばれた14合戦と、江戸時代初期の島原の乱、それらを合わせて15大合戦と称している。川中島の戦いと島原の乱以外は信長・秀吉・家康の何れかが一方の当事者である合戦が選ばれており、厳島の戦い等は選ばれていない。したがって、本書は戦国時代終盤から江戸時代初期にかけて、合戦の観点から眺めた天下人たちの戦略・戦術の要約ということができるだろう。いかにこれまで通説とされてきたもの(例えば長篠の戦いでの鉄砲三段撃ち対信州騎馬軍団という図式)があやふやな資料や勝者側に都合のよい俗説の流布によって歪められてきたかを知ることができる。本書は同じ著者の「戦国時代の大誤解」と重なる記述が多い。同著では簡単に片付けられていた事項(例えば現実の長篠の合戦に関してわずか4行で攻城戦としか説明されていなかった)が本書では具体的な合戦の様子に関しては地図とともに詳述されている。そして関が原の戦いではあやうく家康が武田勝頼の役を演じさせられる可能性があったことがよくわかった(同時に、石田三成は決して凡将ではなかったことも)。逆に山崎の戦いで天王山の取り合いはなかったということについては合戦以外の項目も数多く取り上げている「戦国時代の大誤解」の方が詳しい。その点、本書は読者に不親切だと思う。

本作は新書で市井の歴史ファン向けには武将たち(姉川の戦いで活躍した高天神衆等、歴史の影に埋もれた人たちにも焦点をあてている)の行動・動機・そして運・不運について真に近い姿を手際よく知ることのできる重宝な本である。しかし、上述の点のように著者等の他の作品にも精通していないとわかりにくい箇所がある点があるのが惜しい。



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