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手際よくまとめられた、戦国時代の有名合戦に関する通説論破 |
本書では桶狭間の戦いから大阪冬・夏の陣まで、戦国時代から選ばれた14合戦と、江戸時代初期の島原の乱、それらを合わせて15大合戦と称している。川中島の戦いと島原の乱以外は信長・秀吉・家康の何れかが一方の当事者である合戦が選ばれており、厳島の戦い等は選ばれていない。したがって、本書は戦国時代終盤から江戸時代初期にかけて、合戦の観点から眺めた天下人たちの戦略・戦術の要約ということができるだろう。いかにこれまで通説とされてきたもの(例えば長篠の戦いでの鉄砲三段撃ち対信州騎馬軍団という図式)があやふやな資料や勝者側に都合のよい俗説の流布によって歪められてきたかを知ることができる。本書は同じ著者の「戦国時代の大誤解」と重なる記述が多い。同著では簡単に片付けられていた事項(例えば現実の長篠の合戦に関してわずか4行で攻城戦としか説明されていなかった)が本書では具体的な合戦の様子に関しては地図とともに詳述されている。そして関が原の戦いではあやうく家康が武田勝頼の役を演じさせられる可能性があったことがよくわかった(同時に、石田三成は決して凡将ではなかったことも)。逆に山崎の戦いで天王山の取り合いはなかったということについては合戦以外の項目も数多く取り上げている「戦国時代の大誤解」の方が詳しい。その点、本書は読者に不親切だと思う。
本作は新書で市井の歴史ファン向けには武将たち(姉川の戦いで活躍した高天神衆等、歴史の影に埋もれた人たちにも焦点をあてている)の行動・動機・そして運・不運について真に近い姿を手際よく知ることのできる重宝な本である。しかし、上述の点のように著者等の他の作品にも精通していないとわかりにくい箇所がある点があるのが惜しい。 |
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