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なぜ、アメリカ経済は崩壊に向かうのか―信用バブルという怪物

なぜ、アメリカ経済は崩壊に向かうのか―信用バブルという怪物

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1.  とても良い 白河夜舟さん 書き込み日: 2008年10月15日

墓穴を掘った市場万能主義

「バブルは予知できないし、それを防ぐことは出来ない」と言うのがグリーンスパンFRB前理事長の不可解な弁明である。しかしバブルを予測し懸念した人がいなかったわけではない。グリーンスパンは彼らを無視しただけでなく彼らが具申する意見を積極的に妨害した。このようなグリーンスパンの確信の拠って立つところは、ミルトン・フリードマンを総帥とするシカゴ学派の市場万能主義のイデオロギーである。それはウオール・ストリートの利益を代弁するものであることによって世界的な潮流となった。マスメディアも手遅れになってから初めて問題の大きさに驚いた。レヴァレッジが多用される各種の金融派生商品が膨張させたバブルは単なる「資産バブル」ではない。それは膨張係数が高いだけでなく、強烈な浸透力で経済システムの根幹をなす信用制度を蝕む「信用バブル」となって世界を震撼させている。
著者はこの問題にいち早く着目し、この予言的な書物は今年3月に出版された。原題は「一兆ドルのメルトダウン」であり、バブルのもたらす破壊は1兆ドルに及ぶことを示唆している。その後に発表されたIMFの推計では「信用収縮」に関連する評価損とデフォルトの合計の予測中央値は9,450億ドルである。本書の視野は広く政治経済の動向全般にわたっているが、後追いになったマスメディアが小出しにしてきた、サブプライム・ローンに始まってCDS(信用デフォルト・スワップ)に至るまでの各種の金融商品の羅列に幻惑され続けてきた読者には第3章以下にある説明がとりわけ有用である。
それにしても驚きに満ちた本である。ここに描かれた政界、ウオール・ストリートの腐敗、拝金主義は想像の上を行く。しかも著者の柔軟な思考は「1980年代に経済政策が政府中心型から市場重視型に変化したことは80年代と90年代にアメリカ経済の回復をもたらす決定的な要因になった」と述べて、金融派生商品が経済の効率化に貢献したことを十分に受け入れている。しかしその上で、今や「市場重視が問題の解決に役立つ考え方ではなくなり、問題そのものになる時期がきたのだと思える」という結論に到達している。易しい本ではないだけに翻訳に丁寧さが欠けているのは残念である。



2.  とても良い とよぴ〜さん 書き込み日: 2008年10月15日

いま起こっている現象を知る

読む時点で内容の価値が変わるでしょう?
今回の世界同時金融危機は一言で言えば『金融収縮』なのだが
単純に膨張したレバレッジが収縮に向かうレベルではなく
長い間、金融工学のインチキなデリバティブ手法によって積み上がったことの崩壊
最先端をいった金融工学の清算がはじまっている感じがする。

よくよく考えれば変な話なのにその時々には変に思えないのがバブル現象でしょう

まぁ今回の一件で無茶をしたヘッジファンドや投資銀行などは精算されて堅実で健全なる金融業界への回帰に期待をしたい

   高い収益の時には会社が潤い
   損失が出た時には社会が負担する

・・・ここにもっともっと疑問を持つべきでしょう?
本来、金融はカネを必要としている人や会社にカネを融通してくれるだけの地味な産業なはずである
それがいつの間にか花形企業と呼ばれ高学歴者がこぞって金融業界に向かう
他の業界に比べて利益率(ROE)が高いことや平均年収が高いことも疑問に持ってもよい
モノを創り出さない金融業界にとってこれらは価値の高いことではなくリスクが高いビジネスをしていることの裏返しでもあるのだから・・・。

いま起こっている現象とは結局、無理を通して無に還っているにすぎない
レバレッジを掛けて駆け上った世界の経済は投資の限界に達したときに
溢れかえって暴れたカネが世界経済の首を絞める方向に一斉に向かい出した・・・。
これで文明が崩壊することは考えられないが回復には非常にカネと時間の掛かる作業でしょう?



3.  とても良い 毒ギョウザさん 書き込み日: 2008年11月07日

魔法の代償

 サブプライムに端を発する金融混乱の原因、展望への考察。当初の見込みをはるかに上回る一兆ドルと言う数字は、11月時点では既にとっぴなものではなくなってしまっている。民主党支持の筆者のバイアスは若干感じられるが、よくまとまっている。一部金融商品の説明で難解な部分もあるが、一般向けと言ってよい内容。
 本書を読んで感じたのは、これがけしてサブプライムだけの問題ではなく、証券化という魔法のツールを手に入れた直接金融の構造的問題なのだということ。債権の証券化は資本の流動性を爆発的に高め、間違いなく経済を成長させるが、貸し手のコミットメントははなから存在しないから、必ずバブルに通じる。といって、いまさら商業銀行主体の護送船団方式にも戻れないだろう。本書の唯一の弱点はそういう意味での「今後の展望」が無いところだが、それは誰にも分からないのかもしれない。



4.  とても良い テイルポーターさん 書き込み日: 2008年07月12日

表紙を目を細めてみると!!

表紙を目を細めてみると、どくろに見えるようにつくってますね。面白いデザインです。
サブリミナル効果を狙ってるんでしょうか。



5.  とても良い 少子化問題に直面しようとしない日本さん 書き込み日: 2009年05月21日

アメリカの人材の層の厚さと質の高さを痛感する好著、日本のエコノミストが束になっても敵わない

早くから証券化商品の危険性を嗅ぎ付け、2008年初頭には1兆ドルの巨額損失(原題はトリリオン・ダラー・メルトダウン)を警告していた著者による、実に質の高い著作。日本のエコノミストのいかなる著書よりも当書1冊の価値の方が高いと断言できる。今更に強欲資本主義を批判している泥縄評論家たちの遥か先の高みに、当書は既に到達している。

ヘッジ金融主体からポンジ金融主体へと、リスクを忘却し不用意にレバレッジを高めてゆく過程は今後も繰り返されるであろう。ミンスキーの理論もコンパクトに纏められており、門外漢としては大変に勉強になった。感謝したい。

他のレビューにない重要な点を3つ挙げたい。この日本社会のためにも。

著者はアメリカの保守派とリベラルが交互に優位に立つ政治サイクルの存在を指摘し、いずれの陣営ともに長期間政権を維持してゆく中で自身の欠点を露呈し腐敗してゆくこと、従って特定の政治勢力が勝利を収め得る期間が限られていることを指摘する。

また、アメリカ経済が市場という神に懸命に奉仕した結果が産油国と中国の台頭であり、アメリカの繁栄を支えていた循環構造が終わったことも明示している。

同時に、これまでのアメリカの繁栄を支えたのは教育や交通網、インターネットインフラなどへの投資であり、政府による賢い予算配分が大きな成果をもたらしてきたことも指摘しており、最盛期を過ぎたアメリカの活力が尚も力強く息づくであろうことを予感させる。

日本経済の方が深手を負っているのも或る意味当然である。経済や社会の構造を一変させ得るダイナミズムから我々が学ぶものは依然として多いと考えざるを得ない。



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