良い / 口コミ件数 : 10件
価格 : 1,890 円
著者のビルエモットは、1989年に日本のバブル崩壊を予見し、2005年に日本の再復興を公言したイギリス人だ。 非常に示唆に富んだ本である。 一言でまとめると、 日本、中国、インド、それぞれ問題(政治、歴史、戦争)をもっているが、結局この三大国が如何に連携し、アジアの安定のかじを取れるかが重要になってくるとのことだ。 ただ、国際政治の難しさは誰もが知っている。 ちょっとした事件が引き金でマクロ政治経済を動かす。 たとえば、明日金正日が死んだらどうなるか、後継ぎが決まらず軍事政権が独裁になった場合、核を持って何をするかわからない。 アメリカで911級のテロがあり、新大統領がパキスタン侵攻を決めたらどうなるだろうか。インドパキスタン侵攻の誘惑に狩られるだろう。 中国の経済がこのまま沈んでいき、国民が天安門事件以来のデモを勃発させたときどうなるだろうか。中国は世論に押され、北朝鮮侵攻、韓国侵攻、台湾侵攻、または政治の混乱をうけ、チベット/ウィグル地区の反乱デモが起きるかもしれない。 日本のねじれ国会が続き、政治停滞とともに経済の急激な減速・・・。ロシアの新興。大規模な天災。 などなど、何が引き金となって、国際政治を動かすかは誰も予測できない。 ただ、彼の提案としては日本、中国、インド。このアジアの大国がリーダーシップを取って、アジアの平和を保つべきだとのこと。 一点、気になっていたことが、この本を読んでやや解決された。 なぜ、昨今、新興国の発展が目覚ましいのか。 1980/90年代に起こってもよかったが、なぜ今なのか。 それはおそらくイラク戦争だろうということ。 ここで資源の価格のバランスが崩れ、アメリカは軍事費用がかさみ、資源国の台頭が行われた。また、技術は大きく発展することはなかった。だから、模倣するBRICsにチャンスを与えてしまった。技術が発展しないから、先進国の人々は金を使わなかった。新興国の人々におふるの技術を売ることになった。これが市場が新興国に移った理由であろう。 アメリカのリーダーの一決断によって、左右されてしまう世界の危うさ。そのリーダー誰が決めているかというとアメリカ人だ。 オバマか、マケインか・・・・。 接戦である。 オバマもクリントンとの戦いで少々疲弊しているようにも見える。 最近はなぜか平凡に見える。 常にメディアにさらされていることの不利益を感じているに違いない。 マケイン氏が当選した場合どうなるか。 彼はベトナム戦争で散々ロシアに苦しめられた軍事よりの人間だ。 ロシアと一戦交える可能性もある。その時、日本は、、、、 色々なことを考えると、世界の危うさを感じずにはいられない。 東アジア、西アジア、どちらとも危ない地域である。 この地域の平和が世界の平和である。 この地域の中で最も豊かな日本が隣国と協調してリーダーシップを如何にとれるかが、世界の平和の如何を握っていると言っても過言ではない。
この本の評価は、大雑把に分ければ、読者が経済重視か安全保障重視かで大きく分かれるだろう。 経済を重視すれば、グローバルな相互依存が進む中で、日中印が国家単位で対立する可能性はただのアオリのようにみえる。 安全保障をより重視する人は中国の軍事的な評価に対してより深刻な危機感をもっている人もいるだろう。本書では中国の国防費は公表の150%程度としているが、3〜6倍とみる見方もあるからである。 現在このような見解の対立は日中印それぞれの国内でみられる対立ともなっている。 本書の長所であり欠点は、あまり学術的でない書き方にある。そもそも未来を実証的に書くことはできないが、より深いデータへの反論的検証を行い、実証的にすれば、説得力は増すはずだ。しかし、人を引き付ける題だけでなく、ジャーナリスティックな読み易さという点でもとても面白い本である。
(爆笑君) 一人の男が写真に写っていたとする。この男は背が高いのか、太っているのか、ハンサムなの かよくわからない。でも三人で写っていたとするとどうだろう。誰が一番背が高いのか、 太っているのか、ハンサムなのかよくわかるだろう。この本は中国とインドと日本を同時に 「写す」ことによって、よく比較できるようになっている。そういう本だと思うよ。 (激怒君) 爆笑君の読みは浅いね。日本のODAの相手国はインドが一番になっただろ。それはなぜか。 インド経済の発展が見込まれるからだけではないよ。両国とも中国との間に領土問題を抱えて いる。はっきり言ってしまえば「敵の敵は味方」というわけだ。中国を抜きにして、インドと 日本の関係を語ることはできない。「外交戦略には多元的思考が必要」という本だと思うよ。
本書は「日はまた沈む」「日はまた昇る」と、日本経済について深い分析をしているビル・エモット氏によるアジアの展望を著わした本である。 台頭する中国・インドと日本の三国それぞれの現在にいたる経済分析を行ったうえで、それぞれの国が抱える問題と、歴史的な問題や国境問題を踏まえ、これからのアジアのパワーオブバランスを大胆に予測している。 単純にいうならば、これら3国は、難しい力関係にあり、またさまざまな不安定要因を持っている。 特に、第9章の9つの進言は、われわれが進むべき方向性として、おおいに参考になる。 本書の最後に印象深い言葉がある。「ある意味で、アジアはすでにひとつになっている。」
まずは、日本、中国、インド3国の政治経済状況を、実に要領よく纏めて解説している著者のジャーナリストとしての手腕に敬服させられる。特に、我国ではあまり正確には理解されていないインドと中国の間の関係については、日本語になった一般書としては本書の右に出るものは無いだろう。21世紀の今後の世界について、もっとも大きく動くのはアジアであろうという著者の予言には説得力がある。 日本人読者として視点で言えば、恐らく英語を通じてしか情報や文献を得ていないと思われる著者が、ここまで日本についての詳細な観察をしたということには驚嘆する。 しかし残念ながら、それにはやはり限界があると思わざるを得ない点も否定できない。就中、いわゆる歴史問題に関する理解の仕方が、あまりにもステレオタイプである。 著者は、極東軍事裁判が公正さを欠いた過った裁判であったことは認めているのだが、その一方で、日本軍が行ったと喧伝される「蛮行」については、それが果たしてどの程度の歴史的真実であったかについてはあまり関心をしめさず、多かれ少なかれ実際にあったことだという大雑把で且つ一方的先入観から踏み出さない。著者は、この点に関する中国の宣伝に甚だしい誇張があることには感づいてはいるものの、靖国神社の遊就館より南京の博物館の展示の発するメッセージに重きを置いて考察を進めていく。その結果、歴史認識問題に関して今後の日本が取るべき姿勢についての著者の提案なるものは、はなはだ現実性が乏しく、かつその効果が疑わしいものでしかない。 日本が著者の提案に従った行動をとっても、そもそも歴史カードを意図的に使う中国共産党政権の”政治的悪意”を払拭することは出来ないだろう。 しかしこの点について著者を責めるのフェアではないだろう。何故なら、戦後の日本人は、この点について外国人に向かって外国語で、何ら体系だった主張や弁明をしては来なかったのだから。だから本書は、欧米人の目からみた戦後日本がどのように見えているかを知るための良書でもある。