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良い経済学 悪い経済学 (日経ビジネス人文庫)

良い経済学 悪い経済学 (日経ビジネス人文庫)

とても良い / 口コミ件数 : 9


価格 : 780 円





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1.  とても良い yyasudaさん 書き込み日: 2005年09月24日

さすがはクルーグマン

今や日米両国において最も人気のあるエコノミストであるクルーグマン教授が書いた初期の頃の啓蒙書です。この本は書き下ろしではなく、すでに別のジャーナルで発表された13の論文を集めた論文集ですが、国際経済学に関するいくつかのトピックに関して素人にも分かり易く説明した論文を選んで編集しているので、経済学の知識がない方でも無理なく読み進めることができます。本書の全体を通じて彼が強調している点として

・国と国との関係を企業と同じように捉えて「競争」を強調するのは事実と一致しないばかりか危険ですらある
・貿易の効果(とりわけ負の効果)が数字の根拠がなく語られることが多いが、きちんとデータをみながら分析することが大切である
・経済学の標準的な理解と現実のデータに照らし合わせるならば、多くの場合において巷で喧伝される貿易の負の側面は存在しない、あるいは無視できるほど小さい

などが挙げられます。具体的な中身としては、標準的な経済学と矛盾する自説を唱える俗流経済学者の著作を斬りながら、彼らが金科玉条の如く崇め奉る「競争力」という概念を否定的に論じた第1章『競争力という危険な幻想』、極めてシンプルな2国間モデルを用いて、南北間貿易が先進国に与える影響を分析した第4章『第三世界の成長は第一世界の繁栄を脅かすか』、アジア経済の高成長の牽引役が技術進歩ではなく生産に対する要素投入の増加によってほぼ説明できることから、当時盛んに言われた「奇跡」は何も見られないという衝撃的な結論を導いた第11章『アジアの奇跡という幻想』などが個人的には面白かったです。逆に、日本ではあまり馴染みのないNAFTAに関して論じた第9・10章あたりは少々退屈かもしれません。

まだクルーグマンの著作を読まれたことがないという方は是非この本から挑戦してみて下さい。本書を通じて経済学の魅力、そしてクルーグマンの世界に酔いしれること間違いなしです!



2.  とても良い ghost001さん 書き込み日: 2002年10月01日

通説を批判する良書

この本が書かれたのは、クリントン政権下で、戦略的貿易政策と称して、保護主義的な圧力が強まった頃でした。クルーグマン教授は、政策を支える誤用学者の唱える通説を、経済学的な立場から鋭く批判しています。例えば、巷で重要視されている「競争力」とはいったい何を指しているのか?また途上国の経済成長は、先進国経済にとってマイナスの影響をもたらすというのは、正しいのか?など、中国はじめ東アジア諸国の追い上げに脅威を感じがちな日本にとっても、参考になる部分が多い本だと思います。



3.  とても良い ほそみちさん 書き込み日: 2006年12月24日

クルーグマンのトンデモ経済学説批判本

クルーグマンの手による<元祖>トンデモ経済学説批判本。色々な所で蔓延っている戦略的通商論やマクロでの国際競争力市場論の誤謬を徹底的に批判しています。しかも、主張の内容は比較優位のよる貿易の経済的なメリットと貿易による国内経済への影響力が過大評価されていることの2点に集約されているので、論文が非常に高度な内容にもかかわらず分りやすく読めます。



4.  とても良い ま2007さん 書き込み日: 2006年08月08日

貿易の経済的意味に関する一般向け解説集。良書。

著名な経済学者クルーグマンによる一般向けの解説を集めた本。一昔前のアメリカ(現在や日本においても似たようなものだろう)に跋扈していた無責任な主張、中でもとくに貿易に関する間違った認識と煽動を批判し、何故間違っているか、そのような間違いが何故危険かを非常にわかり易く述べている。一言で言うと貿易はプラスサムゲームというだけなのだが、その説明が明快であり、間違いが何故広まるかに関する説明もあるので読んでいて気持ちが良い。ニュースキャスターやエコノミストに「これ読んで勉強しろ。君にはちょっと難しいかもしれないけどね。」と言ってプレゼントしたい本である。

「寄せ集め」の体裁をとっているために、丁寧に書き下ろされたまともな本や丁寧に加筆修正された本と比べると読みにくいところもあるんだけど、そのあたりは許容範囲と言えるでしょう。不勉強な評者にとっては貿易に関する説明の仕方と旧ソ連とアジア新興工業国のある面における類似性の指摘が目から鱗の落ちるものでした。



5.  良い FreshAirさん 書き込み日: 2008年11月24日

2008年ノーベル経済学賞受賞!という帯につられて買いました

「決定的な点は、限られた市場をめぐる企業間の競争とは違って、貿易がゼロサムゲームではなく、ひとつの国の利益がほかの国の損失になるわけではないことだ」「国際競争によって国が存続できなくなることはない」「貿易相手国より生産性が明らかに劣っている国でも、貿易によって通常、打撃を受けるのではなく、恩恵を受けることになる」

2008年ノーベル経済学賞受賞!という帯につられて買ってみた。予想よりちょっと古い内容の本だった。インターネットは出てこないし、ソ連が出てくるし、クリントン政権だし、Euroの誕生はまだ疑問視されているし、中国は成長を始めて間もないし、インドはほとんど無視されているし、資源や食料の高騰や、地球温暖化も出てきません。

ただ、古いがゆえに、その後の歴史を照らし合わせて読めば、著者の見識が果たして正しいものだったかの検証と確認を行いながら読めるという利点がある。そして、その答えは、おおむねYesである。

例えば、一国の成長が生産性の向上による発展なのかそれとも単に投入量の増加によるものかの見極めが大切であり、その立場から分析すると、当時脚光を浴びていたメキシコ経済の成長は、単に投入量の増加によるものでしかなく、成長する筈だという前払いを受けているだけだからブームは終わる、という指摘は鋭い。実際、その通りになり、その後メキシコ経済は長期低迷に入っている。また、日本脅威論や、旧共産主義国への脅威論に対する当時の分析も、おおむね正しい結果になっているように、私には読める。

レスタ・サローらの並み居る超一流の学者達を敵に回して、経済学の基本から離れることなく徹底的に反論を行い、自由貿易と経済の関係の本当の姿を力強く解説する。絶対優位と相対優位の考えなど、特に自由貿易の経済原理の解説はわかりやすく、時代を超えて一読する価値がある。

ただ、内容は素晴しいけれども、やっぱり本書では扱っている世界が昔すぎて、多少隔世の感があり、かなり控えめにいってもちょっと古い。このため、どなたにも薦められるという本ではないかもしれない。



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