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地方制度(自治体)改革に関しては、<国−地方>の有り様を変えるような制度改革の系統に属する西尾勝氏の「地方分権改革」論、あるいは別角度からの企業改革手法を使った「行政の経営改革」を指向する上山信一氏の所論などがあるが、当書は地方財政の健全化及びそのシステム設計を具体的に論じた小西砂千夫・関西学院大学教授の著書である。初版は2002年9月であるけれども、この2年前の4月、機関委任事務制度の全面廃止等を図る「地方分権一括法」が施行され、西尾氏の呼ぶ「第一次分権改革」が実現した。 しかしながら、この第一次分権改革は、地方分権推進委員会(諸井虔委員長,1995〜2001年)のメンバーの一人として尽力した西尾氏が総括するように、「主として行政面の改革にとどまっていて、財政面の改革に十分な成果をあげられなかった」(同氏『地方分権改革』)のであった。従って、次は「財政面の改革を成し遂げることこそ最優先の喫緊の課題」(同上)であり、現在も国庫補助負担金、地方交付税及び税源移譲を含む税源配分の在り方を検討する「三位一体の改革」として度々新聞紙上等を賑わせているところである。 第一次分権改革などを踏まえ、自治体側も「行政改革」「財政改革」に取り組んできており、著者が強調するガバナンス等の問題は今一歩だが、情報公開制度の充実や発生主義会計、三セク等を含んだ連結決算の研究などは、当書刊行時に比べ、それなりに進んでいるといえよう。ただ、地方債の議論はさておき、著者が“悪玉目的税”という地方交付税と自治体監査の機能強化について、前者は総務省が普通交付税の段階補正の引き上げ(4千人→1万人)を企図しており、後者については第29次地方制度調査会の審議項目となっている。特に、地方交付税は「ミニマム保障をする中央責任」(神野直彦氏)といった重たい課題が背後に控えており、本書をも参考としつつ、より慎重な論議が必要であると考える。