「入門」書としては、大変よい出来映えだと思います。 「ファシリテーション」というはやり言葉を知りたくて本書を読みました。「また米国流のはやりのひとつなのか?」と、少し疑ってかかっていました。 本書では、最初に、「なぜこういう考え方が出現したのか」を、「組織論」「戦略論」にからんで、 「リーダーシップ」「マネジメント」との違いを解説してくれており、ここが一番よかったです。 「リーダーの役割は目的をたて、組織の方向性を決めること(Whatを示す)」、 「マネージャの役割は目標を達成すること、それをどうやって達成するか(How)を示すこと」です。 でも、環境変化が複雑さを増し、変化のスピードも加速度的な今日、リーダー、マネージャが組織を引っ張っていくのも困難になってきました。 少数の人間が組織を率いるのが現実に会わなくなってきました。 そこで、個人一人一人が考え、相互作用で物事を組織全体で行っていくことになります。 ところが、個人個人は価値観、意見、バックグラウンドなどがバラバラです。そこで、ファシリテーション(意志決定支援者、創発支援)が注目されることになった、とのことです。 米国は他民族、多人種国家ですし、営利組織だけでなく、非営利組織活動も活発だと聞いていますので、 明確な概念や方法論などが米国から日本にきた背景も納得できます。 ですが、本書を読むと、ファシリテーション、ファシリテーターの必要なスキルは、広くで深く、人間力が必要なようです。 日本も、個人の自由と価値観の多様性が早いスピードで変化していますので、会社だけでなく、地域社会、友人関係など、 ファシリテーションが必要な場面、機会は多いと思いますので、一度は、この分野を整理しておくのも損はない、と考えています。 でも、なんとなく、ファシリテーションの役割は、 「世話人」「まとめ役」など、呼称はなんでもいいのですが、 日本には昔から存在していた、という感じもします。 概念に名前を付け、それを学問的に体系化するのは、やっぱり米国流は上手ですね。 本書に言及されている参考文献も、今後の勉強に役立ちますし、 「ロジカルシンキング」「図伝える」など、思考技法のガイドがあるのも役に立ちます。 |