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オリジナリティーに富む実務書、さりげない記述に博識がにじむ |
本書は2部構成からなる。前半は退職給付の再構築のためのDC(確定拠出年金)、DB(確定給付企業年金)の解説と既存制度からの移行の解説である。後半は企業年金の基礎知識として、給付設計・退職給付会計・年金現価率・財政運営基準・資産運用の基礎を解説している。 本書の優れている点は、第1にさりげない記述に著者の博識がにじんでいる点であり、このため制度の背景から理解できる。例えば、ポータビリティーの議論について、中途給付の無い欧米と中途給付が一時金としてある日本では異なる点についての指摘がある。また、退職給与引当金税制の廃止も、国際競争力の強化の観点から法人税を引き下げたことによる点を言及している。第2に教科書的な説明に止まらず、実務的に重要なノウハウを披瀝している点である。例えば既存の退職給付を確定拠出年金に切り換えたところで、それまでの勤続にかかわる給付に関する費用の認識は必要になる点である。第三に著者自身のオリジナルなアイデアが書かれている点である。例えば企業年金に関する問題点の多くが受給者に関するものであるとして、「退職者年金通算センター」を提案している。第四にユニークな図解がある点である。特に図1−3の退職金・企業年金の見直しの視点の図は一時金を後払いと前払いに分けて非常にわかりやすかった。 |
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