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ダイバーシティ

ダイバーシティ

とても良い / 口コミ件数 : 10


価格 : 1,890 円





クチコミReview一覧
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口コミ件数:10 1 2 次ページ
1.  とても良い にこさん 書き込み日: 2008年07月22日

子育てにも示唆あり!!

本書は、ファンタジーを読みながら「社会学ってこんな感じかな?」といったイメー
ジを持つ事ができるのではないかと思います。挿絵も素敵ですし、『私の服』、
『7つのボタン』の設定も興味を引くので、ファンタジーが好きな人であればど
んどんと読み進められるのでは。主人公ミナが遭遇する”関門”として「カ
ントの道徳哲学」、「囚人のジレンマ」「統計の選択バイアス」「事後確立」な
どが紹介されますので、高校生が大学の専攻を考える上での一助にもなるのではないでしょうか。

ただ、それだけではなく、子育て中の母親にとっても示唆となる部分がかなりあ
りました。例えば、最初の話である「6つのボタンのミナと・・」では子供が肯
定的なアイデンティティを持つことの重要性を感じましたし、2つめの「ライオ
ンと鼠」では、著者が地下鉄の中で遭遇した親子のやりとりを例に、日米の「恥」
の概念の違いや「子育ての規範」について述べておられ、”私ならばどうするだろう??”と思わず胸に手をあてて考えてしまいました。



2.  とても良い えふさん 書き込み日: 2008年07月20日

物語を通して、ダイバーシティの大切さを学ぶ。

 まず、ファンタジーは、なかなか楽しめた。ミナという若い女性の冒険物語とでも言うのだろうか。ミナは航海士になり、ひとりで魔法使いカズのいる島に出かけていく。島についたら、場所場所に関門があって、選択を間違うとカズには会えないかもしれない。その困難を乗り越えていく話だ。

 その話の中に、社会学理論や論理学など社会科学の知識が織り込まれている。ミナは、島の住民の謎かけを論理的に解きながらカズのいる城に向かって道を進んでいく。

つづきはこちらへ
http://kaerukaeru999qqq.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_1.html



3.  とても良い Q2さん 書き込み日: 2008年08月11日

「さめた頭脳と温かい心」に満ちた味わい深い一冊

 本書は社会科学的思考法の優れた入門書であると同時に、著者の「さめた頭脳と温かい心」がにじみ出た珠玉の作品集であると思う。
 前半の社会科学的ファンタジーには、随所に社会科学的な問題が秘められており、その部分について自分で考えるだけでも、社会科学的なものの見方を読者が身につけられるような工夫がなされている。しかし、このファンタジーをよく読むと、実はさらに重要なメッセージがあることがわかる。通常のファンタジーであれば、主人公が望みのものを手に入れてハッピー・エンドということになるのだろうが、著者はそのような形でこの話を終わらせてはいない。著者がそのようなよくあるタイプの結末を選ばなかったことで、この話はむしろ、「自分には何か足りないものがあるのではないか」と思い悩み、またそのことで差別やいじめなどを受けている人たちに対して、暖かい言葉をかけるものになっているように思う。
 後半の教育劇では、日米社会の比較が取り上げられている。ここでも、へたをすると安易な「文化決定論」に陥りがちなトピックを、著者はうまく料理し、現代社会において規範形成・合意形成はどのように達成されるのが望ましいか、という普遍的な問題へと読者を導いてくれる。また同時にこの教育劇は、そのような合意形成について考えるにあたって、「対話」がどのように重要な役割を果たすかについての事例としても読めるようになっている。
 読めば読むほど味わいの深い本である。



4.  とても良い g−ms購入者さん 書き込み日: 2008年07月26日

「一粒で何度でも美味しい」ちょっと不思議で知的な読み物

山口一男著、『ダイバーシティ』はちょっと不思議な本である。一作目の『六つボタン・・』はファンタジー小説であるが、同時に社会学(的考え方)の入門書でもある。二作目の『ライオンと鼠』は劇の台本のようであるが、日本文化論や、ディスカッションを通じた知的生産法の本でもある。

1作目の『六つボタンのミナとカズの魔法使い』は、社会科学的なファンタジー小説と銘打たれている。ミナという少女が、あるモノを求めて魔法使いカズに会いに行くが、その間に、様々な難関を潜り抜け、成長していくという話である。

ミナがクリアしていく難関・難問は、社会学の考え方を利用したものである(たとえば、「囚人のジレンマ」「予言の自己成就」など)。このファンタジー小説を読んでいくことで、楽しみながら、自然に社会学の考え方を学んでいくことができるという仕組みになっている。

同時に、ファンタジーのストーリー自体も正統派で楽しめるものとなっている。少女がコンプレックスを克服して成長していき、人はそれぞれ異なっていてもよいのだと、ダイバーシティを肯定するように導かれる過程を描いたストーリーは、読者を引き込んで一気に読ませる力があり、読後に希望と清涼感を与えてくれる。

2作目の『ライオンと鼠』は、教育劇と題されているが、山口一男教授の日本文化論の授業の1コマをフィクションも加えて描き出したものである。「空気が読めない(KY)」を忌避する若者の話など、最近の日本の文化現象をとりあげて分析しており、最新の日本文化論、日米比較文化論として興味深い。

また、山口教授と学生とのやりとりは、アメリカの一流大学において、教員と学生とがディスカッションを通じて新しいアイデアを共同で生み出していく、その知的生産の過程を生々しく捉えた、稀な書物である。日本の教員でも、ディスカッションを授業に取り入れたいと願いながら、うまくいかないで悩んでいる人は多いと思うが、この作品のやりとりは参考になると思った。

『ダイバーシティ』は一冊で色んなことを学べ、同時にエンターテイメントとしても楽しめる、「一粒で何度でも美味しい」、不思議で新しい読み物だと思う。



5.  とても良い M.A.さん 書き込み日: 2008年08月01日

子供から大人まで、夏休みの素敵な旅を味わえる一冊

 1作目はファンタジー。多くのファンタジーは、関門ごとに敵を倒しながら旅を続けて目標を達成する。しかし、ミナは違う。当然お気楽な旅ではないが、相手も自分もハッピーになれるよう、社会科学の考え方を駆使しながら軽やかに、カズに会うために関門を超えていく。神秘的な絵と読みやすい文章、そしてカズに導かれ、私たちも一つ一つ装備を手に入れながら冒険する気分を味わえる。クライマックスの「森」ではどきどきするし、最後に明かされるエピソードにはあっと驚くと同時に心がじんわりとした。

 2作目の「ライオンと鼠」では、イソップ物語を手がかりに、ヤマグチ教授とゼミ生が日米2つの社会について考える。KYといって相手を非難する傾向から陪審員制度まで幅広く話し合うこのゼミの魅力は、安易な日米批判ではないことだ。たとえば、空気を読みすぎることがなぜ個人や社会にとって望ましくないか細やかに考えていく。このゼミは「見学」しているうちに加わりたくなるほど刺激的だ。多様な背景の下で生まれ育ち、個性と能力を持って生き生きとしている学生の姿をみて、読者は本書のタイトルの意味を実感するだろう。

 社会学者の書いたこの本から、高校生や予備校生は進路を考える手がかりも得られそうだ。大学の授業やオープンキャンパスで取り上げるのもきっと楽しいはず。本書で主に紹介されるトピックに加えて、青年心理、家族関係、合意形成など現代日本社会の問題についても触れられているからだ。詳しく学びたい人向けの解説もある。この本からは社会科学を学ぶことと社会とのつながりを感じ取ることもできるだろう。
 もちろん、社会科学の知識がなくても子供から大人まで楽しめる内容であり、夏休みにお勧めしたい1冊である。



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