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ハードワーク~低賃金で働くということ

ハードワーク~低賃金で働くということ

とても良い / 口コミ件数 : 10


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1.  とても良い くろやぎさん 書き込み日: 2005年12月06日

貧困層を消費社会へ立入禁止する過酷なアルパトヘイトを描く

 英国の女性新聞記者が、最低賃金で働く者の生活を体験した、一種の「潜入取材」記録です。

 著者が確保した住まいは、不潔で悪臭に満ちた低所得者向けの団地の一室でした。ベッドや最低限の家具を購入し終わると、限度いっぱいまで借り出した低所得者向けの貸付金はほとんど底をついてしまいます。
 仕事が決まると同時に生活保護は打ち切られ、著者は「最初の給料日までどう暮らしたらよいのだ」と、憤りに駆られました。

 実際に著者が経験した仕事は、荷物の運搬係、給食のおばさん、託児所、飛び込み電話セールス、早朝清掃、ケーキ製造所、老人ホームの介護補助など。
 著者は職探し段階から担当者の気まぐれに振り回されます。やっと採用されても、待っているのは過酷な肉体労働と仕事のじゃまをする規則の数々。たとえば、老人ホームのトイレで受け持ちの老人が倒れたとしても、老人に手を貸してはいけない。定められた器具を使わなくてはいけない。もし何か事故があっても雇用主は責任を取りません。

 あらゆる不条理を経験した著者が政治に向ける言葉は激烈です。

  金持ちはさらに裕福になり、貧しい者は所得と資産の両面で取り残され
  る時代が始まったのだ。

  ほかのすべての人たちが生きている消費社会への「立ち入り禁止」。
  過酷なアルパトヘイトだ。

  貧しい人たちが飢えていないのなら、それでいいじゃないか、といえる
  だろうか。いえない、と私は思う。

 経験と理論の両面から訴える社会正義は説得力があります。

 少しだけアメリカの現状を書いていますが、英国よりはるかに悪いのが実態です。社会保障が整っていないため、死にたくなければ働しかありません。当然、就職率は高くなりますが、これはいわば強制労働のようなものだから、賃金が低く抑えられます。

 日本が悪い意味でアメリカの後を追わないよう願うばかりです。



2.  とても良い 柴犬太郎さん 書き込み日: 2006年01月20日

とりあえず「やってみた」というのは買い

いろいろ突っ込みを入れたくなるところはあるが、低賃金の職種に就いて、公団に住む生活を体験してみるというのは貴重な姿勢。
 イギリスの公的医療サービスの明らかに不可欠な仕事が派遣会社などを通じて低い給料で働く人により運営されているのには驚いた。
 日本でも派遣会社の台頭が著しく、長者番付に派遣会社社長が登場しているが、低コストの労働力を供給するためのシステムで稼ぐ長者の存在意義が良く分からない。
 作者の「必要な仕事をしている人たちなのに、何故その仕事で得る収入で生活ができないのか?」という疑問にはうなずける。それで回っていかない社会はやはりどこかおかしいのではないかと思える。
 もうひとつ印象に残ったのは子供の「機会の平等」に関して。親の競争の結末が家庭環境であるとしたら、子供が生まれる家庭を選べない以上、子どもの「機会の平等」を保障するということは親の競争の結果に対してやはり最低限の保障をする必要があることになる?(子供を親から切り離して宿舎に入れるなら別だが・・)
「機会の平等」と「結果の平等」は家庭を通じてリンクしている?と考えるべきなのか?「親の敗北」が「子の不利」になるようではやはり「機会の平等」が保障されていないということになる。
 いちじるしく「機会の平等」のない「競争社会」は「弱肉強食」としかいいようがない。
 ・・・日本とわが身に置き換えて見れば、とにかく子どもの教育費だけは惜しんだらいけないとうことか。



3.  とても良い ブルースカイさん 書き込み日: 2009年12月16日

リアルさは楽しめる

ジャーナリストである著者が,自分の略歴を隠して,低賃金の職業に派遣されたりする本。
給食のおばさん(日本では何故か高給だったりする)や,清掃作業員,介護ヘルパー,ケーキ工場の箱詰めなど,基本的には現場作業。
時給900円前後で働く姿は,日本の現代とかぶる部分がある。ただし,日本のそれよりは雇われている側もドライだったりする。流動性は高い。
住まいは公団住宅。それも犯罪多発の団地だったりするので,非常に興味深い。

著者も,ややゆとりをもって取り組んだ企画だったからか悲壮感は少ない。現代日本の雇用問題と比べても,行政の手厚さは感じられる。何とかなっている感じも,無きにしも非ず。

地方行政に関わっていたり,厚生労働省の出先機関に居る人は是非読んで欲しい。リアルな感じぐらいは楽しめる。



4.  とても良い ファイン千葉さん 書き込み日: 2010年02月04日

賃金はアヘン

何でもある豊かな国で能力不足で低賃金労働をしている人たち。望んでいる力を取得すればいいだけだがそれができていない。クルマを買えて運転免許証が取れて欲しい情報を見れるパソコンや携帯電話を取得した感覚をリサイクルすればいいだけ。欲しいものを手に入れた実績がある。そこで負担した手間の感覚や感触を使って才能を伸ばせばいいだけ何でもある豊かな国で盲目になっている一凶は自己愛。先進国の人は与える前に権利をもらう思考がある。そこを越える意識を出せない限り盲目となる。利他して報酬をもらう。人の為に果たした行為の後に豊かになれることに気づけた。



5.  良い 三十郎さん 書き込み日: 2007年08月08日

体験ルポは貴重

 公共部門のスリム化、合理化のもとに公共の福祉が犠牲にされ、市民生活の根幹が破壊されていく現実を描写した秀作。中産階級の女性である著者がよくここまで挑戦できたと思う。彼女は、最終的に変える場所があるから良かったのであるが、彼女と働いていた人たちはその過酷な労働環境の中でひたすら耐えながら働いていかなくてはならない。
 小学校の給食は、サッチャーリズムで入札制に変り、子どもの栄養事情よりもコストが最重視される本末転倒の現象が起こっている。一箇所で数校分の食事を限られた時間と人数で作らなくてはならない現実とその中から抜け出せない労働者の現実がある。それを理解しようとしないマネージャーたち。社会や職場の人間関係は分断され、質は、悪化する一方である。
 本書の中には、ないが、有名な若い英国人シェフが給食革命の番組に出演して、食育をテーマに貧困化した給食の復活を目指している。新自由主義経済の後の反省と回復の兆しが、ほんの少しではあるが、芽吹き始めたのは、うれしいことである。
 しかし多くのハードワーカーの現実は、本書にあるように、まだ冬の状況で厳しく、安心できる状況とは、程遠い。日本も現政権では、この路線を踏襲するようで恐ろしい。
 最後にシモーヌ・ヴェイユやフランスの労働司祭のように現場を体験して自説を主張する人が結構いるのに比べて単なる机上で編み出された主張が多いわが国の状況は、少々寂しい気がする。



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