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国鉄経営悪化の構造的な要因から、なぜ分割民営化に行き着くのかが理解できます |
国鉄の経営悪化を引き起こした構造的な要因の考察を軸に、国鉄の経営中枢にいた筆者の実務経験を交えて分割民営化に至る軌跡を辿る。
国鉄は1949年、国による直接経営から独立採算制の公共企業体へ改組し発足。独立採算制の意図するところは、全ての収入を利用者からの運賃収入で賄うという前提だった。一方で、鉄道網の整備・近代化という国民経済および地域経済のための長期のインフラ投資も求められており、こうした国家的なインフラ投資も含めて全て運賃収入に依拠するのは無理があった。鉄道インフラ整備のために国が出資するのが筋であるが、実際には財政投融資という形で長期的に安定した資金を貸し付けることになり、後々の借金経営の大きな原因になったと考えられる。独立採算制とは言え、運賃と設備投資を含めた事業計画が国会の議決により決定されていたため常に政争の具となり、運賃は抑えられつつ借金による設備投資を余儀なくされたのである。
早くも1964年に初めて赤字となり、その2年後には累積赤字に転落、独立採算性の崩壊が顕在化し始める。運賃値上げ、税金投入、合理化、賃金抑制、設備投資の抑制、赤字ローカル線の廃止など、国鉄および政府関係者には課題は明確になりつつあったが、本質的な課題のディスクローズを避け問題を先送りする方向に進んだ。以後20年にわたって問題先送りが繰り返され、借金が雪だるま式に増えていった。
本書から読み取れるのは、分割民営化による抜本改革の突破口になったのは労務問題―なかでも職場規律の是正という具体的に目に見えて分かりやすい問題であったようだ。70年代後半、経営改善のために運賃値上げを承認させ、税金による補助も膨れ上がる一方、ストライキを繰り返し職場規律が乱れた国鉄に対し国民の不満が高まるのを、政治的に看過できなくなったのだろう。80年代に入り第二臨調が発足したのを受けて、筆者ら国鉄内の改革グループが分割民営化の素案を描き、関係する政治家や臨調、さらに臨調答申を受けて発足した国鉄再建監理委員会のキーパーソン達に働きかけていく様は読みごたえあった。 |
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