良い / 口コミ件数 : 91件
価格 : 680 円
小説の中だからこそ作れるミステリーという感じ。 現在と二年前のストーリーが交互に展開していって、 それまでの不思議な行動や、些細な会話も全部納得できて、 ストーリー的にもちょっと感動できるラスト。 伏線の張り方がさすがだなと思いました。 なんとも言えない後味を残すのがすごい。
引っ越してきたアパートで出会った青年、河崎に、本屋襲撃の計画を持ちかけられる僕。 その一方で、二年前の出来事が、河崎の元恋人、琴美を通して語られます。 現在にも二年前にも登場するのは河崎。 “二年前”は、河崎にとっては終わっておらず、現在も続いています。 本を読み続けていくうちに、現在と二年前がつながってきて、話の全貌が明らかになります。 所々に話の謎を解くキーワードが散りばめられているので、細部にまで注意をして読みたい本です。
ミステリーなんだろう。 ミステリーなんだと思う。 でも、印象に残るのは人物の心。 人物の心をこれだけ淡白な文章で表現できるのは凄い。 私の場合、人物の心を追って読んでいたので、結構読後はもやもやした。 人の幸せとか不幸ってのは、その人物にしか分からない事であって、 現実なんて、そんなもんで、そして自分は生きていて・・・・・・ そんな感じでもやもやした作品。読後は悪かった。もやもやしたし。 でも、印象に強く残る作品。 好き嫌いではなく、なんかよく分からないけど、凄いなって思う作品。 読後の印象が悪いのに星5つあげたくなる作品。 でもって、読後の印象はいまだにもやもやしてるんですけどね・・・
伊坂幸太郎にあふれんばかりの感謝をしたい。個人としては伊坂のベストに推したい作品。正直、読後言葉を失った。 言うとすれば大いなる想い出の物語。最後のほうに、椎名がひょっこり現れただけ。だけど、椎名がいないとこの物語は完成しない。そこがまた大きなポイントになっている。 人と人との出会いや過ごした時間がどれだけ大きいか。出会ったらいつかは分かれてしまう。本作の登場人物の生き方はあまりにも個性的で、訴えるものがあって、残したものがある。完璧な人間なんていない。だからこそ、人と人との出会いがもたらすものは、かけがえのないものだ、と。解説の言葉を借りるなら、それぞれの人生が交差することでもたらされた奇跡か。 本作が何故爽快な読後感を残すかは、ドルジが関与しているのが大きいのだろう。そしてだからこそ、最後のどんでん返しにつながってくる。意味のないことなんで殆どないと思いながら読み進めないといけないくらい、伊坂はとんでもないトリックスターである。 全体的に、どの伊坂作品よりも優しさを感じる。現実なようで現実のようでない。文体のせいもあるだろうが、登場人物達のおかげでもあるだろう。彼らの会話戦はいつになく楽しい。ほんとに翻訳物を読んでいるかのように。それまでも小さな伏線にしてしまうのだから、全く気が抜けない。最後の最後に彼らの想いや意志がようやく分かる。そのとき、話とはまた別な感動が待っているだろう。彼らとの出会いに、読者も思わず感謝したくなる。素敵な物語を紡いでくれてありがとう。 『重力ピエロ』から繋がるような大事なことはあっさり言ってしまう、そんなスタンスが大好き。宗教を絡めてくるあたりがまた本作の巧さだろう。細かいことを気にしないで、どうせならポジティヴに生きてやろうじゃん。そうじゃなきゃ、前には進めない。だからこそ、生きることは楽しい。
すごい。その一言に尽きる。 物語は現在の普通の大学生・椎名と、二年前の利発的な女性・琴美の間をカットバック形式で進んでいく。 まったく違うような話でいて、河崎や麗子さんといった人物が共通して現れて、片方では本屋襲撃、また片方ではペット殺しとの遭遇といった事件が展開していく。 理解しきれないまま後半に突入すると、急に現在の椎名が体験する奇妙な事件と、過去の現実味のあるスリリングな事件が結びつき始める。そして、冒頭に張られた伏線や二年前の「思い出」が、一気に収斂して行く。 「アヒルと鴨」とは何のことなのか、書店襲撃の意味とは、、、。 読了後、物語すべてを見つめた「神様」ボブディランの歌声が頭の中で渦巻いて離れない。