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デザインの生態学―新しいデザインの教科書

デザインの生態学―新しいデザインの教科書

良い / 口コミ件数 : 12


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口コミ件数:12 1 2 3 次ページ
1.  とても良い jdcさん 書き込み日: 2005年09月13日

目からウロコが落ちるデザインの本

いわゆる「デザイン論」をあつかう本はあまたある。
例えば、これからのデザインはどうあるべきか、デザインにいまなにがもとめられているのか、デザインはいつでも社会をうつす鏡だった…というような、「デザイン」の周辺をうろうろしてけっして核心にふれないような本である。
しかし、この『デザインの生態学』は「デザイン」そのものを実践者の立場から、正面切って率直に論じている画期的な本で、これから決定的に重要な本になっていくと思う。
デザインとはそもそも何か、どのような発想と判断とプロセスを経てデザインが成り立っていくのか、過去から現在までの良質で豊富な実践例をあげられながら、しかもアフォーダンスの視点も組み込みつつ、デザイナー/建築家の実制作に役立つ「デザインの生態学」という大きな試みが、深澤直人と後藤武と佐々木正人のリアルな語りをとおし提示されている。
しかも付録や用語解説集が充実していて、これらを読むだけでも現代デザインのことがよくわかる。とくに巻末名言集はめちゃくちゃおもしろい。デザイナーや建築家、美術家が何を考えて物づくりをしてきたのかがわかる。
一気に読めるが、読み返してもまた楽しい。



2.  とても良い さん 書き込み日: 2004年09月03日

深沢直人の本として星を5つ。

アフォーダンスについては、いまだによくわからない。
魅力を感じて追っかけているが、ちかごろの佐々木正人氏の発言(アートや実践への接近)は、どんどん話をややこしくしている気すらする。

その一方で、「おお!」「なるほど!」「うんうん!」という感じで胸に飛び込んできたのは、深沢直人さんの言葉。

(深沢さんは、auのインフォバーや無印良品の換気扇型CDプレイヤーや、さらにはデザインブランドの「プラスマイナスゼロ」で有名)。

深沢さんの言葉を抜き出してみると、

・自分も他人もすべて入った入れ子状態のものを「環境」と定義
・(「はまる」とは)暗黙のあいだにセットされたものの合意の瞬間。デザインというのは「はまる」ことを探すこと。

・すでに存在しているという感覚を大事にしている。自分が生み出すのではなく、すでにあるものの中から探してくる
・First WowとLater Wow。最初に見て「ワォ!」と喜ぶ「First Wow」は、実はたいしたことはない。一瞬遅れて「あー!」と思う(これが「Later Wow」)。この時間のずれがいいなと思う。

などなど。どれも魅力的。

深沢さんがあげる実例もおもしろい。街での観察がとくに。
鉄柵の上におかれた牛乳パックや、冷蔵ケースに並んだオレンジーナや、バス停脇の緩やかにへこんだガードレールなど。

ところでこれを見て思い出すのは、建築家・塚本由晴による「メイド・イン・トーキョー」という試み。
というわけで、建築家代表としては塚本さんにぜひ参加してほしかった。



3.  とても良い さん 書き込み日: 2004年09月03日

新しいものの見方

〜「新しいデザインの教科書」と副題にあるが、読み終えてその言葉に偽りはないと思います。生態学者の佐々木氏・プロダクトデザイナーの深澤氏・建築家の後藤氏がそれぞれ中心となる3つのディスカッションと、中心となった人物がそこに考えを付け足していくという構成。さらに参考図書リストや、言葉の解説、歴史上の人物の名言集も収められています。

〜〜
流行りの「アフォーダンス」や「生態学的視覚論」に関して、佐々木氏が解説しており、正しい理解をえることができる。それをどうデザイン・カタチへと実践していけそうか、はたまたされてきたのかを、深澤氏・後藤氏が様々な事例を紹介しながら解説しています。

〜〜
私は生態学的視覚論やアフォーダンスの勉強をしていますが、それでもこの本から学ぶことは非常に多かったです。アフォーダンスに対して誤った理解がされていることが多々ありますが、この本を読めばアフォーダンスがなんなのかを知ることができると思います。

〜〜
中でも深澤氏の文章には非常に興味をそそられました。デザインだけでなく言葉に対してもミニマリスト。文章自体が非常にシンプルですが、それでいて的確で共感を呼ぶその語り口にどっぷりはまってしまいました。私たちに馴染みのあるプロダクトを紹介しながら、というのも非常にわかりやすくてよいです。
〜〜
後藤氏の部分は、アフォーダンスとは離れますが、建築というプロダクトよりも大きなスケールで、デザインにおける「関係性」=生態学を解説してくれています。

如何に世界を見るか。その新しい方法論を見せてくれているような気がします。
とにかく一冊持っておいて損はないと思います。〜



4.  とても良い 漆原次郎さん 書き込み日: 2004年08月08日

新しいデザインの啓蒙書

 著者は生態学者、プロダクトデザイナー、建築デザイナーの3人。それぞれがあるテーマの「主(ぬし)」となって鼎談をリードし、そこに解説を加える。各テーマは、アフォーダンス(佐々木氏)、デザインの着眼点(深沢氏)、建築の手法(後藤氏)といったところ。

「新しいデザインの教科書」という副題は誇張ではなかった。読み終えた後もずっととっておきたい本だ。
 本に書かれてあることに初めて触れる方にとっては、どれもが新鮮な考え方と感じるだろう。

 代表的なものが、佐々木氏が提示しているアフォーダンスだ。環境はつねに「情報」を発し続けているもので、人間や生物がその情報をキャッチしたときに、生物の環境に対する新たな有用性がそこに生まれるという考え方である。そうした考えを得て周りを見渡せば、なにもかもが新鮮に見えてくる。

 このアフォーダンスという概念を知った上で深沢氏の章(第2章)を読むと、深沢氏のデザインの発想が見えてくる。換気扇のようなCDプレイヤーに見られる深沢氏のデザインは、他の人のプロダクトデザインとなにかちがう(と思っていた)。でもそのちがいを言葉にするのが難しかった。そのちがいを深沢氏は「はまる」という絶妙な言葉を使って表現しており、その言葉が出てきた瞬間に、なるほどと合点する。そしてこの深沢氏の解説によって、アフォーダンスに対する理解が強化される。
 本のどこをとってみても、著者3人の発した言葉が有機的にからみ合い、補強しあっている。全体としてこの本1冊で、いろんなことを学んだなと思うことができるわけだ。



5.  とても良い さん 書き込み日: 2004年05月18日

思考と実践のために

〜 デザインもアートも、そして建築も、近年はジャンルを超えて語られることが多くなった。棲み分けされていたジャンルがいわば崩壊し、それにともない多ジャンルをまたぐ言葉が模索されるようになる。この書籍もすくなくともその要請をも受けて作られたのだろう。しかし、メインの三つの鼎談を通して、著者の三人が語る言葉の中にはかならずしもクロスジャン〜〜ル志向への賛美が含まれているわけではない。彼らはあくまでそれぞれの、つまり深澤直人氏はデザイナーとして、佐々木正人氏は生態心理学者として、後藤武氏は建築家として、語っている。優れた芸術家の言葉がそうであるように、実践と思考の結果から導き出された言葉はひとつのジャンルに留まらず、あらゆる作り手に影響を与えるだろう。そしてこの書籍は、〜〜結果として、優れてクロスジャンル的な新しい言葉の創造に成功している。
〜〜
 深澤氏の、環境からデザインを立ち上げていく方法論は佐々木氏の研究するアフォーダンスに近接し、建築の中に独自のスケール感と身体性、そしてその関係性を見出す後藤氏の言葉もまた、佐々木氏の環境と身体の関係に目を向けた言葉に近接する。佐々木氏の原理的な思考と言葉は、作り手の実践をその底辺から定義づける。そこには幸福な「入れ子」関係がうま〜〜れている。文字を追いながら、私たちは思考と実践の有意義な出会いの場に居合わせることになる。
〜〜
 また付録としてさまざまなジャンルおよび時代の詩人や思想家、芸術家、デザイナーなどが残した制作にまつわる短いセンテンスとその解説も含まれ、芸術家や思想家などを配置することでその本質と関係性をとらえようとするためのダイヤグラムなども収録されている。
 
 思考と実践を続けるために、すべての作り手にお勧めしたい本である。〜



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