とても良い / 口コミ件数 : 22件
価格 : 1,785 円
外資系金融機関を目指す方には最適な本だと思います。 特に投資銀行は普通の商業銀行と違い、外部からは見えにくい分野のためこの本と読むことでM&Aやトレーデイング、損失先送商品等外資系金融機関がこの10数年高収益を上げてきた分野の業務がよく理解できます。 1990年初めにソロモンブラザーズが裁定取引で莫大な収益をあげた手法に関しては非常に興味深く読ませていただきました。日経平均がバブル崩壊後下落して日本中が不況で苦しむ中、裁定取引で莫大な収益を上げていたソロモン。賛否両論あると思いますが、人より先にアイデアを思いつき、実行するあたりさすがだと思いました。 外資系金融機関では、日本の生保が運用難で苦しむ中、通貨オプションで何倍にもリスクをとった日経平均リンク債を多数販売し、その後の株価下落で損失が膨らみ苦しんでくると損失先送り商品を販売して収益をあげてきました。自分で火をつけて、それで苦しむ人を何食わぬ顔をして救済してさらに収益をあげる外資のえげつない部分も伝わってきてました。 表面的な外資系金融機関の高収入、スマートといった表面的なイメージだけでなく、裏の部分もリアルに伝わってくるためこの業界を目指す方には現実とのギャップを埋めてくれる最適な本だと思います。
バブル期の異常な日本とバブル崩壊期の外資の暗躍が網羅的に書かれていてわかりやすい。一つ一つは、ニュースで聞いたり、実際に似たような経験をしたり、または別の小説で見たりした内容かもしれませんが、それがこの上巻をみてはじめて一つの話としての流れが見えてきた気がします。 特にガリバー証券の朝駆け夜討ち根回しや、竜神率いるソロモン証券の攻勢やそれに対する日本勢の相手がどういう仕組みで攻勢をかけているかわからずえたいの知れない不気味な感じでいる様子などがよく表れていて当時を思い出します。多少仕組み債と裁定取引のことがわからない箇所があったので、別の本を参考書代わりに合わせて読む良い機会にもなりました。下巻にさらに期待したいです。
「巨大投資銀行」は、バブルを経て金融ビッグバンから日本経済再生へ移行する金融ドラマである。 主人公は実直な投資銀行家・桂木。日系銀行に失望して外資の投資銀行への転身を機に成功をつかむ。決して順調なビジネス人生ではない。 時代に翻弄され、組織の都合に振り回される。サラリーマンそのものだ。 山有り谷有りの桂木とは対照的に、外資の花形トレーダー竜神は華やかだ。最先端の金融工学と野性的な勘と天性の強運を駆使したビックディールを記録していく。 投資銀行家は、野生の肉食獣のように強くてしたたかだ。決して群れない。甘えもゆるされない。超一流の人間に特有の、シビアさの果ての優しさが随所に描かれる。 例えば才能の豊かさゆえに奇人とさえ呼ばれるホウズィアが、クライマックスで部下である桂木の転身を即決する場面は感動的だ。 極限状態のハードワークで成功した人々の第二の人生は、驚くほど豊かだ。すべての制約から解放され、本当にやりたいことをする。船長となったり、投資の「現場に戻る」場合もある。 多彩な人生ドラマを追体験した読者の胸には、他人の芝生を羨むよりも、自分のすべきことをしよう、という決意が生まれるに違いない。 著者のデビュー作「トップレフト」は衝撃だった。金に群がる人々は、タフでしたたかで油断がならない。しかし、こんなに刺激的でオモシロイやつらもそうそういない。 著者は、ディールの「現場」から見た景色を魅力的に紹介してくれた。愛しているのだ。この業界とここに生きる個性豊かな人たちを。
私自身商社の人間でここまで込み入った投資銀行流の投資には造詣が深くないが、そういう意味も有ってか非常に読み応えのある一冊である。投資や金融に関する専門知識は恐らくプロにしてみれば一部中途半端な内容もあるだろうが、読者全員がプロではない事鑑み問題なしと思うし、専門的知識で疲れてきたなと思うと主人公の生活面など柔らなな部分が適当に散りばめられていたりで、バランスの取れた秀作と評価する。 とにかく、業界人で無い読者にとっては勉強になり、勉強する気で買った訳でもない読者にとっては面白い小説のはず。是非おススメしたい。
本書は上下巻で、M&Aや発行市場での業務のみならず自己勘定でのトレーディングや機関投資家向けセールスを含む広義の投資銀行業務という観点から、1980年代後半から2000年代半ばまでの日本の金融経済を大観する力作です。 今となってはアービトラージという売買手法も知れ渡り過ぎて市場での裁定機会はほとんどないと聞きますが、ソロモン・ブラザーズが東京マーケットでどのように興隆を極めたか、非常に良く記述されていると思います。また、同じ投資銀行といっても各社それぞれに事業戦略の違いや得意とする業務に違いがあるわけで、その違いも良く現れています。 全ての著作に当てはまりますが、著者の綿密な取材や調査と流麗な文章に脱帽すると同時に、今回の大作にも再び敬意を表します。